カルシウムと代謝異常(読み)かるしうむとたいしゃいじょう

家庭医学館の解説

かるしうむとたいしゃいじょう【カルシウムと代謝異常】

 血液中のカルシウム濃度が正常以下に低下している状態を低カルシウム血症、正常以上に上昇した状態を高カルシウム血症といいます。
 血液中のカルシウムは、たんぱく質に結合しているものと結合していないもの(イオン化カルシウム)とがあります。このイオン化カルシウムが、神経や筋肉の興奮などに深くかかわっています。したがって、低カルシウム血症、高カルシウム血症に基づく症状は、イオン化カルシウムの増減により現われ、総カルシウム濃度とは無関係です。
◎低(てい)カルシウム血症(けっしょう)
 血清中のカルシウム濃度が、8.5mg/dℓ以下に低下している状態をいいます。
 ネフローゼ症候群や肝硬変(かんこうへん)、高齢者など、血液中のたんぱく質濃度が低い人では、よく低カルシウム血症になっています。これは、血液中のたんぱく質が減少することで、たんぱく質に結合するカルシウム量が減少し、血液中の総カルシウム量が減ってしまうからです。しかし、イオン化カルシウムの濃度は変わっていませんので、症状の出現はなく治療の必要もありません。
●原因
 慢性腎不全(まんせいじんふぜん)(「慢性腎不全」)、副甲状腺機能低下症(ふくこうじょうせんきのうていかしょう)(「副甲状腺機能低下症(上皮小体機能低下症)」)、ビタミンD不足・作用不全などでおこります。また、過換気症候群(かかんきしょうこうぐん)(「過換気症候群」)などで、血液がアルカリ性になった場合は、イオン化カルシウムがたんぱく質に結合するため、低カルシウム血症となります。
●症状
 血液中のカルシウム濃度と症状の強さが一致するとはかぎりません。血液中のカルシウム濃度が急激に変化するほど、症状が強く現われます。
 カルシウム濃度が、6.0~6.5mg/dℓに低下すると、手指や足にしびれ感やテタニー症状(痛みをともなって筋肉がかたくけいれんする症状)が出現します。ひどい場合には、全身にけいれんがおこってきます。生命の危機をきたすことはあまりありません。
●治療
 しびれ感やテタニーが出現すれば、緊急の治療が必要です。カルシウム剤の静脈注射を行ないます。
 軽症であれば、カルシウム剤やビタミンD剤を内服します。
◎高(こう)カルシウム血症(けっしょう)
 血清中のカルシウム濃度が、10.2mg/dℓ以上に上昇している状態をいいます。
●原因
 悪性腫瘍(あくせいしゅよう)(がん)が原因となることがもっとも多く、40~50%を占めます。つぎに多いのが副甲状腺機能亢進症(ふくこうじょうせんきのうこうしんしょう)で10~20%です。その他に急性腎不全(きゅうせいじんふぜん)や甲状腺機能亢進症、サルコイドーシスにともなうことがあり、薬剤(ビタミンD剤、チアジド利尿薬(りにょうやく))によってもおこります。
●症状
 初期では、多尿による口の渇きがおこり、程度が強くなると吐(は)き気(け)、腹痛、食欲低下などの消化器症状、筋力低下、倦怠感(けんたいかん)さらに意識障害が現われます。また、意識障害がなくても、不整脈(ふせいみゃく)や心停止(しんていし)で突然死することがあります。急速に進行した場合には脱水による腎機能障害、徐々に経過した場合には尿中のカルシウム増加にともなう尿路結石(にょうろけっせき)や骨粗鬆症(こつそしょうしょう)をきたします。
●治療
 まず、原因となっている病気を治療します。血清カルシウム濃度が、12~13mg/dℓ以上に急に上昇した場合、緊急の処置を要します。脱水の改善と尿中へのカルシウムの排泄(はいせつ)を促進するために、生理食塩水とともに強力な利尿薬を使用します。これらの処置を行なっても、血清カルシウム濃度が低下しない場合は、骨吸収抑制剤や副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン薬を使用します。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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