キャベツ(読み)きゃべつ(英語表記)cabbage

翻訳|cabbage

デジタル大辞泉 「キャベツ」の意味・読み・例文・類語

キャベツ(cabbage)

アブラナ科の一年草または越年草。葉は肉厚で幅広く、重なり合って大きな球になる。夏、とう立ちして淡黄色の4弁花を総状につける。ヨーロッパ海岸地方の原産で、野生種は結球しない。日本へは明治年間に渡来し、野菜として栽培。多くの品種がある。甘藍かんらん。たまな。 夏》
[類語]玉菜甘藍芽キャベツ

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精選版 日本国語大辞典 「キャベツ」の意味・読み・例文・類語

キャベツ

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] cabbage ) アブラナ科の一、二年生の栽培植物。ヨーロッパ原産で、日本では明治初期(一八七〇頃)から栽培されている。短い茎に多くの厚く倒卵形の緑白色の葉が密に重なり、内側に巻いて大きな球をつくる。初夏、葉の中央部から高さ約六〇センチメートルの花茎をのばし、アブラナに似た淡黄色の十字状花を多数つける。植物学上、ハナヤサイメキャベツ、ハボタン、ブロッコリは同一種とされる。和名カンラン。たまな。ぼたんな。結球かんらん。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「いと大きやかなる甘藍(キャベージ)を聴衆に日々演説の独鍛錬(ひとりけいこ)をしけり」(出典:春迺屋漫筆(1891)〈坪内逍遙〉政界叢話)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「キャベツ」の意味・わかりやすい解説

キャベツ
きゃべつ
cabbage
[学] Brassica oleracea L. var. capitata L.

アブラナ科(APG分類:アブラナ科)の越年草。タマナ(球菜)、カンラン(甘藍)ともいう。茎は太くて短く、茎頂にボタンの花状に葉をつける。葉は平滑、肉厚で幅が広く、白粉を帯びた淡緑色、成長するにつれて中心部に葉が密生し、結球する。この葉球の内部の葉を食用とする。さらに成長すると、葉球が開き、花茎を出して淡黄色の4弁花を総状花序につける。

 ヨーロッパ南部の海岸地域原産で、野生種は有史以前から利用されていた。野生種は非結球性で、結球性のキャベツの記録が現れるのは8世紀末以降である。13世紀には広くヨーロッパに広まり、とくにイギリス、フランス、ドイツ、オランダで品種改良が進んだ。日本への渡来は、18世紀初めころオランダ人によって長崎にもたらされた。『大和本草(やまとほんぞう)』(1709)に蛮種紅夷菘(おらんだな)と記載されている。同書の記述によると、渡来したものは非結球性ないし半結球性で、紅紫色の系統であったらしい。「味佳(あじよし)」と記されているが、食用として発達せず、観賞用に栽培されてハボタンが生まれた。結球性のキャベツが初めて栽培されたのは幕末、安政年間に入ってからで1855年(安政2)ころである。明治初年に新宿御苑(ぎょえん)、三田育種場、北海道開拓使などにより欧米の品種が導入されたが、日本の気候に適合せず、大正から昭和にかけて、民間育種家の努力により、日本の気候に適した品種が育成された。今日では、品種と栽培法、栽培地の組合せにより、周年出荷されている。

 キャベツは播種(はしゅ)、収穫期の違いによって、春キャベツ、夏秋キャベツ、冬キャベツに分けられる。春キャベツは9~10月に播種し、苗で越冬して翌年の晩春から初夏にかけて収穫する。主産地は千葉、神奈川、茨城、愛知、兵庫、福岡、熊本、鹿児島など大都市周辺の諸県である。品種は結球が容易で品質のよい中野早生(わせ)やサクセッションの系統のものが用いられる。夏秋キャベツは2~6月に播種し、6~9月に収穫する。群馬県の嬬恋(つまごい)や長野県の八ヶ岳(やつがたけ)山麓(さんろく)など高冷地や北海道が主産地で、群馬県は全国の夏秋キャベツ生産の5割を占める。品種は、2~4月の低温期播(ま)きには、コペンハーゲン・マーケットや黄葉系サクセッションの系統、4~6月播きには札幌や南部の系統が用いられる。なお、第二次世界大戦後に台湾から導入された品種の葉深(ようしん)は、暖地の秋どり栽培の作型の確立に貢献した。冬キャベツは、6~8月に播種し、10月から翌年4月にかけて収穫する。関東地方以北では寒さのために球が腐敗するので、比較的暖地が主産地で、愛知県の渥美(あつみ)半島、鹿児島、千葉、茨城などで生産が多い。品種は、南部、黒葉系サクセッション、葉深などの系統が用いられる。

 なお、今日、キャベツの品種のほとんどが一代雑種になっており、固定品種は使われない。

 栽培は、苗を育てて畑に定植する方法がとられ、一定の大きさに達した苗が低温にあうことによって花芽が分化する。その後の高温と長日によって花茎の伸長と開花が促進されるので、幼苗期を低温で経過する春キャベツや夏秋キャベツは、とう立ちしないよう注意が必要である。苗齢と低温感受性の関係は品種によっても異なり、本葉2、3枚の苗から低温に感応する品種もあり、本葉12、13枚の苗でも低温に感応しない品種もある。害虫による被害が多く、アオムシやヨトウムシは葉を食害し、アブラムシ類は葉の汁を吸う。ネキリムシやケラは幼苗期の根を、ダンゴムシナメクジは茎葉を食害する。

[星川清親 2020年11月13日]

文化史

ギリシアでは、ピタゴラスがその効用を説くとともに品種改良を試みている。ローマの大カトーは『農業論』(前160)のなかで、キャベツの消化促進作用を賞賛し、また3品種をあげるが、その一つは葉が重なり合って大きな球になっていると述べられ、結球性がうかがえる。アジアへの渡来ははっきりしないが、アレクサンドロス大王が兵士に食べさせた話が伝えられているので、その遠征中にもたらされた可能性が強い。台湾には、17世紀にオランダ人によって伝えられた。日本での民間栽培は、津田仙(つだせん)が1872年(明治5)に手がけたのが最初で、当時は甘藍(かんらん)とよばれて1個1朱(しゅ)の値で売られたという。

 中世のスコットランドでは、11月1日の万聖節の前夜に未婚の青年たちが、収穫の終わったケール(キャベツの祖型)畑で未来の配偶者を選ぶ占いをした。目をつぶった男女が畑のケールを引き抜き、その茎の大小や曲がりぐあいで体格を、また切り取った茎の味で気だてを占ったという。キャベツ畑から赤ん坊を拾ってくるという俗説には、このケール畑で未婚の男女が集い、結ばれるという行事の影響も考えられる。

[湯浅浩史 2020年11月13日]

食品

今日のキャベツはすべて結球性であるが、球の形により平型(扁球(へんきゅう)形)や立型(円筒形)など、また葉の緑色のもののほかに紅紫色のムラサキキャベツ、あるいは葉にしわが多いチリメンキャベツなどがあり、それぞれ品種がある。和風、洋風、中華風を問わず、生食(せいしょく)、煮物、漬物、サワークラウトザウアークラウトともいう。一種の酢漬け)、油炒(いた)めなど、さまざまな料理に用いられる。近年は、生食向きに葉質が柔らかく、葉色が緑色系の品種や、葉球の小ぶりのものが好まれる傾向がある。100グラム当り、タンパク質1.4グラム、ビタミンAはカロチンで18マイクログラム、B1、B2をそれぞれ0.05ミリグラム、Cを44ミリグラム含んでいる。ムラサキキャベツや葉が赤色のアカキャベツはサラダ用に近年需要が増加している。チリメンキャベツはキャベツの1変種で、フランスのサボア地方が起源なのでサボイキャベツともよばれ、葉は緑色で縮み、主として生食用で、欧米では利用が多く、生産も盛んで、日本でも注目されつつある。キャベツの仲間には、非結球で次々に葉をむしり取って食べるケール、カブのような球茎を食べるコールラビー、多数の側芽が小さな球葉になり、まるごと食べられるメキャベツなどがある。ハクランはハクサイとカンラン(キャベツ)の種間雑種複二倍体で、両親の中間的特性をもっている。葉質はキャベツより柔らかく、生食に適しており、煮物や漬物にもよい。

[星川清親 2020年11月13日]

『農山漁村文化協会編・刊『野菜園芸大百科8』(1989)』


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改訂新版 世界大百科事典 「キャベツ」の意味・わかりやすい解説

キャベツ
cabbage
Brassica oleracea L.var.capitata L.

アブラナ科の一・二年草。カンラン(甘藍),タマナなどともいう。西洋から導入され改良同化された野菜のうちで,最も日本人の嗜好に合い,生産量が多く重要なものの一つに数えられている。

原産はヨーロッパで,地中海沿岸から北海,大西洋沿岸などに野生種が自生しており,それらの野生種から改良されて現在のようなキャベツができ上がった。ヨーロッパでは古くから利用されており,数千年前から古代イベリア人が野生のものを利用していた。その後,地中海に侵入し土着したケルト人により,ヨーロッパ各地に栽培が広められた。このようなことからキャベツの語源はケルト語の方言に由来している。紀元前までのキャベツは結球性のない葉キャベツであり,結球性のキャベツはイタリアで成立したものと考えられている。13世紀ころには軟結球型のものがヨーロッパ諸国に広がり,一次的な分化はイギリス,フランス,ドイツ,オランダで行われ,さらにヨーロッパ全土からアメリカに渡って二次的な分化が行われた。日本への渡来は約800年前とされ,その後,17~18世紀に再導入され,《大和本草》(1709)に〈おらんだな〉〈さんねんな〉などの記録がある。しかし,これは非結球性の観賞用のハボタンのことで,野菜としての利用ではなかった。結球性のキャベツが導入されたのは安政年間(1854-60),本格的には明治に入ってからのことで,明治初年には北海道や東北地方など欧米の気候に似た地域への導入が盛んに行われた。明治末期から大正,昭和の初めころには日本の風土に合った日本独自の品種が成立するようになった。第2次大戦後には,日本独自の育種法として自家不和合性利用による一代雑種法が確立して多数の品種が育成され,この分野の品種改良では世界をリードするまでになった。このような経過をたどり,西洋野菜のうちでは,真っ先に日本で最も重要な野菜の一つとなった。

茎は地ぎわがややくびれるが,太くて短く,生育するにつれて多数の葉をつける。冷涼な気候条件では,形成された多数の葉が展開することなしに集合し,結球状態を呈する。葉は大きく,直径30~50cmくらいになる。葉形は広円形,倒卵形,広披針形など各種の形がある。葉面は,蠟質に富み白色を呈するものが多いが,蠟質を欠くものもある。葉色は一般に緑色,濃緑色のものが多いが,紫キャベツのような黒紫色のものもある。葉面は一般に平滑のものが多いが,ちりめん状に多くのしわのあるものもある。結球は,扁平,腰高,球形のものが多いが,円錐形,楕円形のものもある。球重は1kg前後のものが多いが,著しい場合は10kg以上に達する。生育が進み,一定の大きさになったものは,低温を経過して4~5月ころに,とう立ちし,1~1.5m程度伸長した主茎は盛んに分枝し,黄色の十字花をつける。

基本型として17の品種群に分けることができ,さらに熟期によって,早生,中生,晩生に分けられる。ヨーロッパ諸国やアメリカなどそれぞれの品種の育成環境により,耐暑,耐寒,耐病性などに特異性が認められる。現在日本で流通している品種は,それらの基本型品種を基にして改良され,一代雑種育種法により育成された品種が大半を占めているが,各種の系統が交配されて,一つの流通品種が成立しているので,純粋品種としての扱いは困難である。今までの日本の品種育成に重要な役割をはたしてきたものとして,早生系の育種ではジャージー系とアーリースプリング系を,中生系ではサクセッション系を,また夏まき系ではアーリーサマー系をあげることができる。日本での基本作型は,春まき,夏まき,秋まきに分かれる。また地域の立地条件により,冷涼地,高冷地,中間地,暖地などの諸型に分かれる。これらの作型を組み合わせることにより,寒高冷地または沖縄などを除けば,ほとんどの地域で周年栽培が可能となっている。キャベツはとくに土質を選ばないが,排水の悪い土地には適さない。病虫害には比較的強く,連作も可能であるが,最近,根こぶ病,軟腐病,萎黄病の被害が多くなっているので注意する必要がある。害虫としてはアオムシ(モンシロチョウの幼虫)やコナガの防除につとめる必要がある。主産地は関東地方で,とくに群馬県,千葉県が多い。キャベツ類は種内分化した品種群が多く,普通にわれわれが食べている結球するキャベツをはじめとして,腋芽(えきが)が結球するメキャベツ,結球しないケール,花蕾(からい)を食べるカリフラワーブロッコリー,肥大した茎を食用にするコールラビそれに観賞用のハボタンなどがある。
執筆者:

洋風,中華風,和風いずれの料理にも多用される。ビタミンCが多く,あくが少ないので生食がよく,せん切りにしてサラダなどにするが,氷水にさらしてビネグレットソースであえた場合はコールスローと呼ぶ。味をととのえたひき肉を包んでトマトピュレなどで煮込むロールキャベツのほか,シチュー,いため物,漬物に用いることも多い。有名なドイツの漬物ザウアークラウトは,細切りのキャベツを5%以下の塩で漬け込んだもので,サラダ,スープ,肉料理のつけ合せその他さまざまな料理に用いられる。
執筆者:

イギリスではキャベツ畑に赤ん坊がいるとされ,子宝はキャベツから授かると長らく信じられてきた。スコットランドではハローウィーンの晩に若い男女が目隠しをして畑に出かけ,手当りしだいに取ってきたキャベツの根を見て,〈土が付いていれば恋が実る〉というように結婚運を占う習慣があった。キャベツが酒の酔いをさますといわれるのは,スパルタの立法者リュクルゴスが酒神ディオニュソスのブドウ畑を荒らして制裁を受けたとき,ブドウづるで縛られた悔しさに涙を落とした場所からキャベツが生えたという伝承によっている。
執筆者:


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食の医学館 「キャベツ」の解説

キャベツ

《栄養と働き》


 キャベツはヨーロッパが原産地のアブラナ科の野菜です。古代エジプトでは、キャベツには高い薬効があると信じられ、甘く煮たものがデザートとしてよく用いられていたといいます。わが国には江戸末期に渡来しました。ブロッコリーやカリフラワーもキャベツの仲間に含まれます。
 晩春から初夏にかけて出回る春キャベツと、冬に出回る冬キャベツとに大別できます。
○栄養成分としての働き
 キャベツ特有の成分としてビタミンUを含むのが大きな特徴です。
 ビタミンUはキャベツから発見されたので、別名キャベジンと呼ばれ、胃腸の粘膜(ねんまく)の新陳代謝(しんちんたいしゃ)を活発にする働きがあります。傷ついた胃腸の粘膜を修復するために必要なたんぱく質の新生を助けるので、胃腸のトラブルに強い味方となってくれます。
 そのため、抗潰瘍作用(こうかいようさよう)があり、胃潰瘍(いかいよう)十二指腸潰瘍(じゅうにしちょうかいよう)に有効に働きます。また、肝臓に余分な脂肪が沈着して起こる脂肪肝を予防する働きもあります。
 淡色野菜のなかでもビタミンCが豊富なのも特徴の1つ。キャベツを2~3枚、生で食べれば、1日の必要量の50%以上がとれてしまいます。ビタミンCは抗菌作用があり、かぜの予防、疲労回復、肌荒れの解消に効果的です。
 外葉の緑色の葉は、血液を凝固させ、骨を強くするビタミンKも含んでいます。
〈各種のがん抑制物質で何重にもがん予防〉
 キャベツはアメリカの国立がん研究所によって提案された「デザイナーズフーズ・リスト」の中で、トップグループに位置づけられた野菜でもあります。このリストは、がん予防効果の高い食品を順番に並べたものです。キャベツには、強力ながん抑制物質であるイソチオシアネートやインドール化合物が含まれているのです。
 さらに注目されているのは、発がん物質の活性化を抑えるペルオキシダーゼが多く含まれている点です。ペルオキシダーゼは食品を加熱したり、調理する過程で発生する発がん物質の活性化を妨げる酵素で、キャベツをジューサーなどで絞って生ジュースにすると効率よくとることができます。
 このほか、アミノ酸のリジンやトリプトファンも含まれているので、子どもの発育にも欠かせない食品といえます。
〈ぼけ防止、滋養強壮作用が高齢者に有効〉
○漢方的な働き
 また、キャベツは滋養強壮作用、健脳作用があることでも知られています。
 とくに老人性の健忘症に有効です。老化にともなう足腰の弱りや耳鳴りなどの改善にも効果が期待できる野菜なので、高齢者の食事のメニューには最適の食材といえます。

《その他のキャベツ類》


<グリーンボール>
 キャベツの一種で、グリーンボールは銘柄名ですが、この種の総括名として常用されています。あまり大きくならず、しっかりかたく巻いているのが特徴です。
 成分的にはキャベツに似ていますが、カロテンを100g中110μgとキャベツの2倍もの量を含んでいます。カルシウム、カリウム、ビタミンCもキャベツを上回っています。
<レッドキャベツ>
 ビタミンCの含有量はキャベツやグリーンボールよりも勝っています。食物繊維も豊富で、100g中2.8gを含んでいるので、便秘(べんぴ)改善に役立ちます。
<ケール>
 キャベツの原型とされる種類で、別名「葉キャベツ」とも呼ばれています。ちりめん状のシワのあるカールドやシワのないプレーン種など、多くの品種があります。カロテンが豊富で、ビタミンCも100g中81mgも含んでいます。メラトニンという成分が他の野菜にくらべて豊富に含まれているのも特徴的。
 メラトニンは人間の脳内の松果体(しょうかたい)で分泌(ぶんぴつ)されるホルモンです。しかし、6歳をピークに分泌量が減っていくので、意識的に摂取したほうがよい成分なのです。メラトニンは活性酸素を抑制する有力な抗酸化物質であることがわかっています。抗酸化物質のなかでも、水にも脂質にも溶け、体内のあらゆる場所で活性酸素と戦ってくれる物質です。そのおもな働きとして、血栓(けっせん)防止、コレステロール低下、乳がん予防、前立腺(ぜんりつせん)がん予防などに効果があるといわれています。また、体内時計を調整して、不眠症にも効果を発揮します。
<芽キャベツ>
 芽キャベツの原産地はベルギーのブリュッセル。ふつうのキャベツの芽ではなく、キャベツの栽培変種です。茎の先端にある葉のつけ根にピンポン玉ほどの大きさの芽がつき、一株にたくさんつくため、子持ちキャベツとも呼ばれています。芽キャベツはキャベツ同様にビタミン、ミネラルともに豊富に含んでいますが、含有量はその小さな姿からは想像できないほど多いのです。
 とくにビタミンCは100g中160mgも含んでいます。Cは活性酸素の発生を抑えると同時に、発がん性物質の生成を防ぎます。また、細胞と細胞を強く結びつけるコラーゲンを生成します。これらの働きでがん予防に高い効果が期待できます。コラーゲンの生成は美肌にも効果的。食物繊維も5.5gとキャベツ以上に含んでいるので、便秘改善にも役立ちます。

《調理のポイント》


 冬キャベツは外葉が濃い緑色で、巻きがかたくて重量感のあるものを選びましょう。春キャベツの場合は、巻きがゆるく葉がやわらかいものが良質です。
 食べ方としては、春キャベツは葉がやわらかいので、生食が一番です。千切りにしてトンカツの付け合わせに。一方、冬キャベツは肉厚で甘味も強く、煮込んでも崩れないので、ロールキャベツやポトフなどに向いています。煮ることで甘味が十分にでるので、おいしく食べられます。
 ビタミンCやUは水溶性ビタミンなので、熱に弱いのが難点。効果を期待するなら生食か青汁として飲む方法がベストです。水にさらしてパリッとさせたいときも、千切りなどにする前に、葉のまま短時間ですませましょう。
 部位によってビタミンの含有量がちがいます。外側の緑色の濃い葉には、カロテンが多く、かたい芯の部分には葉以上にビタミンCが多く含まれています。外葉や芯(しん)は捨てずに、丸ごと1個を使いきるつもりで調理すれば、各種ビタミンをムラなくとることができます。
○注意すべきこと
 ビタミンの効能を考えると生食がいいのですが、冷え症の人の場合は体を冷やしてしまうので、加熱して食べるようにしましょう。ジュースにして飲む場合もあたためて。
 また、アセトアミノフェン(解熱鎮痛剤)を服用している人もひかえめにしたほうがいいでしょう。キャベツを含む食事によって、薬の作用が弱まってしまうことがあります。

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百科事典マイペディア 「キャベツ」の意味・わかりやすい解説

キャベツ

カンラン(甘藍),タマナとも。ヨーロッパ原産のアブラナ科の一〜二年生の野菜。ふつう葉は幅広く,濃緑色で無毛,中心部の葉は重なって球状となる。花はナタネに似,淡黄色4弁で,高い花茎上に総状につく。食用とするものでは花茎の出る前に収穫する。品種が多く,球の形は丸形,尖形(せんけい),扁球形などがあり,色も白色,濃緑色,赤紫色など数百品種。各地の気候,収穫期,品種の差異などから,栽培法は春まき,夏まき,秋まきに大別される。主産地は愛知,群馬,千葉など。生食するほか,漬物などにする。

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事典 日本の地域ブランド・名産品 「キャベツ」の解説

キャベツ[葉茎菜類]
きゃべつ

東海地方、愛知県の地域ブランド。
主に田原市・豊橋市などで生産されている。作付面積・生産量ともに全国一を誇る愛知県のキャベツ。明治時代、名古屋市近郊で都市園芸として始まった。品種によって春系と冬系に大別される。春系は生食向きで、冬系は調理向きである。ビタミンU・ビタミンC・食物繊維などを多く含み、外葉がみずみずしくてハリがある。硬く重量感があるものがよいとされている。近年は、初夏に出荷する夏系キャベツの生産も増加傾向にある。

出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域ブランド・名産品」事典 日本の地域ブランド・名産品について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キャベツ」の意味・わかりやすい解説

キャベツ
Brassica oleracea var. capitata; cabbage

アブラナ科の越年草で,世界的に重要な野菜の一つ。甘藍ともいう。ヨーロッパ西部海岸地帯の原産とされるが,南北両半球の冷温帯で広く栽培されている。葉は密に重なって生じ,互いに抱合って球形になるので,タマナ (球菜) とも呼ばれる。

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栄養・生化学辞典 「キャベツ」の解説

キャベツ

 [Brassica oleracea (capitata group)].フウチョウソウ目アブラナ科アブラナ属の一〜二年草.多くの品種がある.

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世界大百科事典(旧版)内のキャベツの言及

【アブラナ(油菜)】より

… このアブラナ類の所属するアブラナ属Brassicaは約40種からなり,北半球に広く分布している。この属には,アブラナ,カブ,ハクサイ,キャベツ,カラシナなど多くの有用植物が含まれ,葉や根は野菜や飼料作物として,また種子から良質の油がとれるので油料作物として重要であり,さらに観賞用として利用されるものもある。そのため多岐にわたって多くの栽培品種が発達しており,互いに近縁の植物とは思えないほどである。…

【周年栽培】より

…しかし周年栽培といっても,同一の野菜を同一の産地で周年出荷するのではなく,各産地は他産地に比べて有利な時期に栽培を行い,産地間の競合をさけて出荷している。キャベツの場合を例にとれば,春と秋には都市近郊の産地で,夏から初秋にかけては標高の高い冷涼地帯で,冬から春にかけては冬季温暖な地帯で露地栽培されたものが出荷されている。一方,トマトのように霜にあうと枯死してしまう種類では,冬から春にかけては冬季温暖な地帯や都市近郊の産地でハウスなどを利用して栽培されたものが出荷され,夏から秋にかけては耕地面積の広い露地栽培地帯から出荷されている。…

【嬬恋[村]】より

…村域の大部分は林野で,おもな集落は吾妻川沿いにある。六里ヶ原と呼ばれた浅間山北麓の原野では第2次大戦後,大規模な開拓が行われ,1960年代にキャベツ,ハクサイなどの高冷地栽培が急増し,現在は全国有数のキャベツ産地となっている。農林水産省嬬恋馬鈴薯原々種農場では種ジャガイモを生産している。…

※「キャベツ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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