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クオリティ・オブ・ライフ クオリティオブライフ

百科事典マイペディアの解説

クオリティ・オブ・ライフ

人生の質,生命の質,生活の質などと訳される。略してQOLともいう。末期医療(ターミナルケア)の現場で使われることが多い。かつて日本では,企業活動の中で,顧客満足度などの概念と同様の意味で使われることもあったが,最近では医療用語として認識されている。 医療の発達に伴って,末期状態や植物状態にある患者を人工呼吸器などの装置や電気管理機器によって生かすことが可能になった(機械のチューブや電線などにつながれている状態をスパゲッティ症候群という)。しかしその一方で,生命維持装置などによる延命治療に対する反発は強まり,機械によって生かされるのではなく,自然な状態で死を迎えたいと考える人が増えていった。 彼らが理想とするのが,長く生きることではなく,自分らしい生き方をまっとうし,人生の意味を追求して死ぬという〈クオリティ・オブ・ライフ〉を重視した生き方である。そうした人々にとっては,自然死こそ尊厳死といえる。 こうした考えは徐々に広がり,最近では,高齢者の医療や福祉の現場でも盛んに強調されるようになった。→リビングウィル
→関連項目生きがい療法サイコオンコロジーCDCセカンドオピニオン頭頸部癌内視鏡的治療

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

クオリティ・オブ・ライフ
くおりてぃおぶらいふ
quality of life

どれだけ人間的な豊かな生活ができるかを重視する考え方。qualityは質、lifeは生命・生活を意味し、「生活の質」、または「生命の質」と訳される。略称QOL。
 医療は命を助けることが重要な目的ではあるが、そのかわりに機能を失う場合がある。治療により、歩行、食事、入浴、排便などの日常生活が普通にできなくなることがある。これらの日常生活動作をADL(activities of daily living)とよぶ。欧米では1950年代から医療によるADL低下に関心が高まってきたが、1960年代には癌(がん)や高血圧症で、精神面も含めた広い分野の影響が重視され、QOLという言葉が広がった。失禁の不安で外出できない、著しい変形で人前に出たくない、薬の副作用で寝たきりになる、神経切断により後遺症がある、などは明らかにQOLの低下とみなされる。逆に、乳癌(がん)の乳房温存手術、開腹をしない傷の小さな腹腔(ふくくう)鏡下手術、前立腺(せん)癌の放射線小線源療法、形成外科的な機能再建手術などはQOLを高める治療である。
 治らない癌や難病などの延命治療も、QOLの観点から議論になっている。近年、QOLは、身体的な機能だけでなく、生きがいや幸福感など精神的な充実も含めた概念になっている。[田辺 功]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内のクオリティ・オブ・ライフの言及

【生活の質】より

…これらの問題を克服するためには,GNPの増大よりも,国民が日常の生活のなかで満足感・充足感をもって暮らせること,またその達成を保障する社会的条件をつくることを重視する方向へ,価値観の転換が求められてきた。このように〈より多く〉よりも〈より良く〉という価値観として,世界的には1965年ころからクオリティ・オブ・ライフ(QOLと略称)という言葉が使われはじめ,日本でも70年から経済企画庁が社会指標として〈生活の質〉の指標化にとりくんでいる。72年ローマ・クラブ報告書《成長の限界》の中で使われて以来,広く使われるようになった。…

※「クオリティ・オブ・ライフ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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