クワイン
Quine, Willard van Orman
[生]1908.6.25. オハイオ,アクロン
[没]2000.12.25. ボストン
現代アメリカの論理学者。ハーバード大学卒業 (1932) 後,主として同校で教鞭をとり,1948年同大学哲学教授。特にシンボル論理学の改訂を企て,その基礎を哲学的原理より離し,純粋に数学的方法に基礎づけられた学問にしようと考え,A.ホワイトヘッド,B.ラッセルなどのタイプ理論を援用し,主著『数学的論理学』 Mathematical Logic (1940) を著わした。さらに言語哲学への関心を示し,論理実証主義の絶対的還元主義の主張による矛盾を意味論的立場から克服しようとした。ほかに『論理学体系』A System of Logic (1934) ,『ことばともの』 Word and Object (1960) ,"Ontological Relativity and Other Essays" (1969) ,"Philosophy of Logic" (1970) など。
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クワイン(Willard van Orman Quine)
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クワイン
米国の論理学者,哲学者。ハーバード大学で長く教え,アメリカ哲学界の最長老。ラッセル,ホワイトヘッド,カルナップらに学び,数理論理学の革新に寄与したほか,論理実証主義批判を通じて独自の意味論,存在論を提唱した。主著《数理論理学》(1940年),《語と対象》(1960年),《存在論における相対性》(1969年)。
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クワイン【Willard van Orman Quine】
1908‐2000
アメリカの論理学者,哲学者。長くハーバード大学で教え,現代アメリカを代表する哲学者の一人。数理論理学でも独自の論理体系をつくったが,若いころ影響を受けたカルナップ等への批判を通じて,独自の意味論と存在論を構築するに至った。外界を叙述するための言語として数理論理学の言語に理想的枠組をみて,日常言語をこれに合うように再組織しようとする。そして存在の構造はこのような言語で原理的に語れるとする。哲学者がいかなる存在論をとっているかは彼の使う言語からわかると考えるが,いかなる存在論をとるべきかについては叙述の便宜以外の規準は認めない。
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クワイン【Willard van Orman Quine】
(1908~2000) アメリカの論理学者・哲学者。数理論理学の言語に理想的な枠組みをみる立場から、独自の意味論・存在論を展開。著「言葉と対象」など。
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クワイン
くわいん
Willard Van Orman Quine
(1908―2000)
アメリカの論理学者、哲学者。オベリン大学卒業、ハーバード大学大学院修了。1930年代ウィーンに遊学し、論理実証主義者と交わる。ハーバード大学で長く教え、のちに同大学名誉教授。集合論の公理系を二つ(それぞれNF、MLの略称で知られる)提出した。また、論理学の研究から示唆を得て、「存在するとは、変項の変域に入ることである」とする、有名な存在論的なテーゼをたてた。存在論のうえでは唯物論、認識論のうえではプラグマティズムの流れに属する。分析哲学の世界では、きわめて影響力の大きい大御所であった。来日したこともあり、日本の哲学者のなかにも弟子が多い。著書は多数あるが、『論理学的観点から』(1953,1961, Harvard University Press)が、小冊子ながらその哲学への入門に適している。[吉田夏彦]
『中山浩二郎・持丸悦郎訳『論理学的観点から――9つの論理・哲学的小論』(1972・岩波書店) ▽W・O・クワイン著、杖下隆英訳注『現代論理入門――ことばと論理』(1972・大修館書店) ▽W・V・O・クワイン著、大出晁・宮館恵訳『ことばと対象』(1984・勁草書房)』
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世界大百科事典内のクワインの言及
【分析哲学】より
…哲学的問題に対し,その表現に用いられる言語の分析から接近しようとする哲学。論理分析logical analysis,哲学的分析philosophical analysisともいう。言語の分析にかぎらず広く言語の考察から哲学的問題に迫ろうとする哲学をすべて〈分析哲学〉と呼ぶこともあるが,これは不正確である。 言語分析は20世紀の初頭,B.A.W.ラッセルとG.E.ムーアによって始められたといってよい。…
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