翻訳|collotype
アートタイプartotypeあるいは玻璃(はり)版ともいわれる印刷版の一種。写真の理論を利用して版を作るいわゆる写真製版法は,各種の版の製作に利用されるが,コロタイプはその中でももっとも早く1870年代にドイツのアルベルトJ.Albertによって実用化された版で,日本でも89年ころから知られている。日本では卒業アルバムなどの印刷に用いられ,写真印画と区別のつかないような網点のない印刷として歓迎されていたが,しだいにオフセット平版に代わりつつある。7~8mmの厚いガラス板に水ガラス,ビールなどの混合液を下引きしたものに,ゼラチンと重クロム酸アンモニウムを主剤とした感光液を塗布し,乾燥箱に入れて45~56℃の温度で乾かすと,ゼラチン膜に独特のちりめん状のしわが生ずる。一方,焼きつけるべき写真はネガティブにして,上述のように準備したゼラチン膜と密着して露光する。これを流水で現像すると,ゼラチン膜は感光の程度によって,硬くなり方が違い,水を吸ってふくれる度合も違ってくる。そこで,ちりめんじわを基礎とした画像ができる。この版をいったん乾かしたのち,グリセリンと水の混合液で湿らせてから,コロタイプ印刷機にかけて印刷する。
印刷の際に,石版やオフセット印刷のように,いちいち版を水で湿す必要はない。油脂性のインキは,版のしわの凹所についてゼラチンのふくれた度合に応じて量が違ってくるので濃淡ができる。網点がないので書画,水墨画などの高級複製にもっとも適するが,一つの版で数千枚しか刷れないこと,印刷スピードが遅いことが欠点である。
執筆者:山本 隆太郎
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…武蔵国忍の出身。1882年アメリカ船に水夫として乗り組んで渡米,ボストンの写真館でカーボン印画法,コロタイプ印刷法などの最新写真技術を習得。帰国後,85年東京市内に写真館〈玉潤館〉を開業し,乾板製造にも着手。…
※「コロタイプ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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