サマリウム

デジタル大辞泉 「サマリウム」の意味・読み・例文・類語

サマリウム(samarium)

希土類元素ランタノイドの一。灰色金属。空気中で熱すると酸化物となり、熱水では水素を発生する。元素記号Sm原子番号62。原子量150.4。

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精選版 日本国語大辞典 「サマリウム」の意味・読み・例文・類語

サマリウム

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] samarium ) 希土類元素のランタン系セリウム族元素の一つ。元素記号 Sm 原子番号六二、原子量一五〇・三六。灰色の金属元素。一八七九年、フランスボアボードランがサマルスキー石から分離し発見。〔稿本化学語彙(1900)〕

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化学辞典 第2版 「サマリウム」の解説

サマリウム
サマリウム
samarium

Sm.原子番号62の元素.電子配置[Xe]4f 66s2周期表3族ランタノイド元素.希土類元素セリウム族の一つ.原子量150.36(2).質量数144(3.07(7)%),147(14.99(18)%),148(11.24(10)%),149(13.82(7)%),150(7.38(1)%),152(26.75(16)%),154(22.75(29)%)の7種の天然に存在する同位体と,質量数128の放射性同位体が知られている.天然に存在する同位体のうち,146Sm,147Sm,148Sm はそれぞれ,半減期1.03×108 y,1.06×1011 y,7×1015 y のα放射体である.1879年,L.de Boisbaudranによりサマルスキー石から分離された.元素名はサマルスキー石にちなんで命名された.サマルスキー石,ガドリン石,セル石に含まれる.地殻中の存在度3.5 ppm.塩化物の溶融塩電解により得られる金属は銀白色.融点1077 ℃,沸点1791 ℃.密度7.52 g cm-3(20 ℃).沸点はEuと同様,ほかのランタノイド元素( > 3000 ℃)よりいちじるしく低い.標準電極電位 Sm3+/Sm-2.30 V.第一イオン化エネルギー5.644 eV.希酸に可溶.熱水とも反応する.酸化数2,3の化合物があるが,Smの化合物はほかの希土類元素と同様の性質をもつ.化合物の色は黄色常磁性は希土類元素中もっとも弱い.Sm2+,Sm3+ の電子配置は4f 6,4f 5.Smの化合物は,Yb,Baの化合物に類似し,硫酸塩,リン酸塩は水に難溶.水溶液中で容易に酸化され,Eu化合物より不安定である.耐熱性永久磁石サマリウム-コバルト磁石(SmCo5,Sm2Co17,Sm2(Co,Fe,Cu,Zr))用が最大の用途である.1980年代にはウォークマンなどヘッドフォンに多用されたが,より安価で強力なNd-Fe-B磁石にとってかわられた.携帯電話用にはまだ使われることもある.[CAS 7440-19-9]

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「サマリウム」の意味・わかりやすい解説

サマリウム
さまりうむ
samarium

周期表第3族に属し希土類元素の一つ。1879年、フランスのボアボードランがサマルスキー石から分離し、鉱物の発見者であるロシアのサマルスキー・ビホベッツVasilii Erafovich Samarski-Bykhovets(1803―1870)にちなんで命名した。主要鉱物はサマルスキー石、ガドリン石、セル石などである。酸化物を金属ランタンで還元して灰白色の金属を得る。空気中で150℃以上に熱すると酸化物になる。熱水、希酸に水素を発して溶ける。普通、酸化数+Ⅲの化合物をつくるが、+Ⅱのものもある。サマリウム(Ⅲ)化合物の常磁性は、希土類元素化合物中もっとも弱い。天然に存在する同位体のうちサマリウム147はα(アルファ)放射体なので弱い自然放射能をもつ。

[守永健一・中原勝儼]



サマリウム(データノート)
さまりうむでーたのーと

サマリウム
 元素記号  Sm
 原子番号  62
 原子量   150.36±3
 融点    1080℃
 沸点    1790℃
 比重    7.36
 結晶系   六方
 元素存在度 宇宙 0.23(第65位)
          (Si106個当りの原子数)
       地殻 6.0ppm(第39位)
       海水 0.43×10-3μg/dm3

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改訂新版 世界大百科事典 「サマリウム」の意味・わかりやすい解説

サマリウム
samarium

周期表第Ⅲ族に属する希土類元素の一つ。1879年フランスのボアボードランP.E.L.de Boisbaudran(1838-1912)がサマルスキー石から新元素を分離し,その鉱物の発見者ロシアのサマルスキーV.E.Samarskiiにちなんで命名した。サマルスキー石,ガドリン石,セル石などの中にセリウムなどの希土類元素とともに少量含まれて産する。無水塩化物SmCl3の溶融塩電解または溶融アルカリ金属での還元によって単体が得られる。単体は灰色の金属。熱水とは反応して水素を発生する。希無機酸には溶けやすい。熱すると200~400℃で酸化物となる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サマリウム」の意味・わかりやすい解説

サマリウム
samarium

元素記号 Sm ,原子番号 62,原子量 150.36。周期表3族,希土類元素でランタノイド元素の1つ。 1879年に L.ボアボードランがサマルスキー石から発見した。サマルスキー石,セル石,褐簾石,モナズ石などに比較的多量に産する。単体は黄灰色の金属,融点 1072℃,比重 7.536。ごく弱い天然放射能をもつ。熱水と作用して水素を発生し,無機酸に溶ける。3価の陽イオンのほか2価もつくる。コバルトの合金でつくられるサマリウム・コバルト磁石はネオジム系合金の磁石についで強力。

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百科事典マイペディア 「サマリウム」の意味・わかりやすい解説

サマリウム

元素記号はSm。原子番号62,原子量150.36。融点1072℃,沸点1791℃。希土類元素の一つ。単体は灰白色のかたくてもろい金属。コバルトとの金属間化合物Co5Smは,強力磁石として利用される。
→関連項目レアアース

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