翻訳|service mark
商品の販売ではなく業としてサービスの提供をする者が,自己の提供するサービスを他人のサービスと区別するために,その業務について使用する標識で,〈役務商標〉といわれる。広告,金融・保険,不動産取引,建築・修理,通信,輸送・貨物の保管,物品の加工,教育・娯楽,その他レストラン・ホテル・医療等の各業務などがある。第3次産業の発展とともに重要となってきたサービス・マークは,アメリカが1946年に商標法で登録制度によって保護したことに始まり,フィリピン,韓国,フランス,ドイツなどほとんどの国で登録制度で保護している。パリ条約もその保護義務を定める(6条の6)。日本では,不正競争防止法で保護していたが,保護が十分ではないとして,1991年商標法改正によって登録制度が導入された。サービス・マークには,全体のサービス・マーク(例,銀行のマーク)と,部分のサービス・マーク(例,定期預金の愛称)とがあり,いずれも商標法と不正競争防止法で保護される。同一標章が,商品商標であると同時にサービス・マーク(役務商標)であることがあり(例,放送サービスのNHKと書籍の商標のNHK),これを二重商標という。サービス・マークも周知・著名になると不正競争防止法2条1項1号・2号が適用され,商標登録がされると登録役務商標として,商標法が適用され保護される。
執筆者:小野 昌延
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
現代の経済社会において著しく発展してきたサービス産業である広告、金融、保険、不動産、建設、放送、運輸、教育、ホテルなどの事業者が、自己の提供するサービスについて使用するマーク。たとえば、日本電信電話の「NTT」、日本航空の「JAL」などがある。このマークは、経済取引の場においては、商品に使用されるトレードマーク(商標)と同じ働き(自他識別機能)を有する。従来は、有名なサービスマーク(営業標識)を不正競争防止法により保護していたが、1991年(平成3)の商標法改正により、92年サービスマークも商標として登録する制度を導入した。サービスマークは文字、図形、記号だけでなく、立体形状も登録でき、法律上は、商品に使用する商品商標と区別して、役務商標と称している。
[瀧野秀雄]
『特許庁商標懇談会編『サービスマークの実務』(1994・発明協会)』▽『小野昌延著『商標法概説』第2版(1999・有斐閣)』▽『網野誠著『商標』第6版(2002・有斐閣)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…商人がその営業上の自己を表示するために用いる名称のこと。商人が自己の同一性を明示するために用いるものであるから,自己の商品を指示するために用いる商標や,商品のともなわないサービスについて使用するサービス・マークとは異なる。また,商人の営業の同一性を表示するために用いる営業標(たとえば三越百貨店ののごとき)とも区別される。…
※「サービスマーク」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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