(読み)メイ

デジタル大辞泉 「銘」の意味・読み・例文・類語

めい【銘】[漢字項目]

常用漢字] [音]メイ(漢)
金石に刻みつけた文字文章。「銘文/鐘銘・碑銘無銘墓碑銘
心に刻みつけて忘れない。「銘肝銘記感銘肝銘
特製品であることを示す語。「銘菓銘酒銘茶
商標。商品名。「銘柄
[名のり]あき・かた・な

めい【銘】

金石・器物などに事物来歴や人の功績を記したもの。「碑にを刻む」
特にすぐれた物品につける特定の名。「を付ける」
製作物に入れる製作者の名。
心に刻み込んでいる戒めなどの言葉。「座右の
[類語](2商標ブランド登録商標トレードマーク銘柄サービスマーク

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精選版 日本国語大辞典 「銘」の意味・読み・例文・類語

めい【銘】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 金石、器物などに事物の功績をたたえ、来歴などをしるしたもの。漢文体のものは、各句の字数を同じにし、韻を踏んだもの。また、一般に、物に刻みしるした文。
    1. [初出の実例]「火ばしの銘。冬すぎば投げ置かれなむもの故に君が手にはたた馴るべらなり」(出典:躬恒集(924頃))
    2. [その他の文献]〔礼記‐祭統〕
  3. 文書等に、それらを受理・発給・確認などをしたしるしとして、日付・氏名・要約あるいはそれらを示す記号などを付すこと。
    1. [初出の実例]「銘とは状の上に書事也。職事方に、除目之時は、銘を袖書と云なり」(出典:建内記‐嘉吉三年(1443)三月六日)
  4. 品物に特につける名称。すぐれた器物、茶、酒、香、墨などにつける特定の名。また、名のある上等の品。
    1. [初出の実例]「阿波国司彼国の墨銘に山下松煙と云銘をつくり初ける日よめる」(出典:続詞花和歌集(1165頃)賀・詞書)
  5. 器物に製作者の名をきざみ、またはしるしたもの。刀剣にきざむ鍛冶の名など。
    1. [初出の実例]「めいなくはにせ物たるべし、めいが有か」(出典:虎明本狂言・粟田口(室町末‐近世初))
  6. 心にきざんだり、書いておいたりして自戒とすることば。「座右の銘

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普及版 字通 「銘」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 14画

[字音] メイ
[字訓] しるす・かきつける・きざむ

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
声符は名(めい)。〔説文新附〕十四上に「記すなり」という。〔礼記、祭統〕に「銘なるは、自ら名づくるなり」とあり、〔左伝、襄十九年〕「彝(いき)を作り、其の功烈を銘して、以て子孫に示す」とみえる。死者のために銘旌(めいせい)を建て、旌にその官位・姓名をしるした。心に深くしるすことを銘記・銘心鏤骨(るこつ)のようにいう。

[訓義]
1. しるす、かきつける、きざむ、金石にきざみしるす。
2. 死者の名姓・官位をしるす。
3. 古人の功歴をしるし、また自戒の語などをしるす文体の一。

[古辞書の訓]
名義抄〕銘 シルス・シルシ・マモル・ソハムク・キザス・キザム・チリバム・ミガク・アラハス

[熟語]
銘意・銘戒・銘肝・銘感・銘肌・銘記・銘旗・銘勲・銘功・銘誌・銘書・銘心・銘旌・銘戴・銘篆・銘佩・銘膚・銘誄・銘勒
[下接語]
刊銘・肝銘・感銘・鑑銘・几銘・記銘・器銘・鏡銘・剣銘・刻銘・残銘・書銘・鐘銘・心銘・帯銘・題銘・鼎銘・篆銘・刀銘・銅銘・盤銘・碑銘・門銘・勒銘

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「銘」の意味・わかりやすい解説


めい

「記す」「刻み込む」という字義のとおり、古来、金石や器物(鐘、鼎(かなえ)、盤(たらい)、碑、石、板など)に記し、刻み込まれた文句を広くさしていった。すでに殷(いん)の湯(とう)王が湯あみする盤に彫って自戒したという「湯の盤銘――苟 (まこトニ)日新、日日新、又日新」が『礼記(らいき)』「大学篇(へん)」に、孔子の祖の正考父(せいこうほ)の「鼎銘(ていめい)」が『春秋左伝』に引用されている。その後、宮、室、門、井、席などにも銘が記されることになり、さらに文体の一つとして紙面に長い文章として書かれるようになった。内容からいって、漢の崔瑗(さいえん)の「座右銘」、唐の白居易(はくきょい)の「続座右銘」などのように自ら戒めるものと、自他の記録、称賛を兼ねたものとに大別される。『史記』の「泰山銘」「会稽(かいけい)銘」「琅邪(ろうや)台銘」「子罘(しふ)銘」「碣石(けっせき)銘」などが後者であり、とくに死者を対象とするジャンルに碑名、墓銘がある。墓銘または墓誌銘には人生記録、伝記文学としての優れた作品がある。

[杉森正弥]

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改訂新版 世界大百科事典 「銘」の意味・わかりやすい解説

銘 (めい)
míng

中国の韻文の文体の一種。本来は鼎など日用の器物に彫りつけて,行動の戒めとすることばであった。《大学》に見える殷の湯王の〈盤銘〉などがそれである。多くの場合4字句から成り,偶数句で押韻する。のち石に刻んで人の功績を賞賛し記念する碑や,墓誌の韻文部分を指してまた〈銘〉と称するようになった。この種の銘はに共通する性質を持つ。散文で述べられた意をうけて韻文で簡約にまとめるのである。
銘文
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「銘」の解説


めい

金属や石に文字を刻すことから,心にきざんで忘れないことや文体をさす言葉として用いられる。とくに(1)仏像・刀剣・鏡などに記された製作者の名,(2)茶器などの器物の名,(3)古文書で同定のために記した文字の3者が注目される。刀剣に作者名を刻する習慣は直刀時代に始まる。作者銘は刀剣の佩表(はきおもて)や指表(さしおもて)の茎(なかご)に刻し(表銘),年紀は反対側に刻する(裏銘)。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【葬制】より

…この紙銭は炉で燃やされ,冥界での通貨となると考えられている。次に〈銘〉という旗のようなものを作って死者の姓名官位を記す。庭には,遺牌を作る前に神を依らせるものである〈重(ちよう)〉が立ててあるが,その上に銘を載せる。…

【旗】より

…また旗には辟邪の機能があり,保護霊の宿るところとも観念され,祭祀の神おろしや祖霊おろしにも使われた。さらに銘とか銘(明)旌の語に示されるように,貴族・高官の喪儀には霊柩の前に〈某官某公の柩〉と書かれた旗がたてられ,葬るときにその旗は柩上におかれた。死者だけでなく,功労のあった臣下の名は王の旗に銘書されもした。…

【墓誌】より

…墓誌銘ともいう。本来,中国の文章のジャンルの一つで,墓中に埋め,時代が移り変わっても,墓の主がだれかをあきらかにするための文をいう。…

※「銘」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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