デジタル大辞泉 「銘」の意味・読み・例文・類語
めい【銘】[漢字項目]
1 金石に刻みつけた文字や文章。「銘文/鐘銘・碑銘・無銘・墓碑銘」
2 心に刻みつけて忘れない。「銘肝・銘記/感銘・肝銘」
3 特製品であることを示す語。「銘菓・銘酒・銘茶」
4 商標。商品名。「銘柄」
[名のり]あき・かた・な
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
「記す」「刻み込む」という字義のとおり、古来、金石や器物(鐘、鼎(かなえ)、盤(たらい)、碑、石、板など)に記し、刻み込まれた文句を広くさしていった。すでに殷(いん)の湯(とう)王が湯あみする盤に彫って自戒したという「湯の盤銘――苟 (まこトニ)日新、日日新、又日新」が『礼記(らいき)』「大学篇(へん)」に、孔子の祖の正考父(せいこうほ)の「鼎銘(ていめい)」が『春秋左伝』に引用されている。その後、宮、室、門、井、席などにも銘が記されることになり、さらに文体の一つとして紙面に長い文章として書かれるようになった。内容からいって、漢の崔瑗(さいえん)の「座右銘」、唐の白居易(はくきょい)の「続座右銘」などのように自ら戒めるものと、自他の記録、称賛を兼ねたものとに大別される。『史記』の「泰山銘」「会稽(かいけい)銘」「琅邪(ろうや)台銘」「子罘(しふ)銘」「碣石(けっせき)銘」などが後者であり、とくに死者を対象とするジャンルに碑名、墓銘がある。墓銘または墓誌銘には人生記録、伝記文学としての優れた作品がある。
[杉森正弥]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
金属や石に文字を刻すことから,心にきざんで忘れないことや文体をさす言葉として用いられる。とくに(1)仏像・刀剣・鏡などに記された製作者の名,(2)茶器などの器物の名,(3)古文書で同定のために記した文字の3者が注目される。刀剣に作者名を刻する習慣は直刀時代に始まる。作者銘は刀剣の佩表(はきおもて)や指表(さしおもて)の茎(なかご)に刻し(表銘),年紀は反対側に刻する(裏銘)。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…この紙銭は炉で燃やされ,冥界での通貨となると考えられている。次に〈銘〉という旗のようなものを作って死者の姓名官位を記す。庭には,遺牌を作る前に神を依らせるものである〈重(ちよう)〉が立ててあるが,その上に銘を載せる。…
…また旗には辟邪の機能があり,保護霊の宿るところとも観念され,祭祀の神おろしや祖霊おろしにも使われた。さらに銘とか銘(明)旌の語に示されるように,貴族・高官の喪儀には霊柩の前に〈某官某公の柩〉と書かれた旗がたてられ,葬るときにその旗は柩上におかれた。死者だけでなく,功労のあった臣下の名は王の旗に銘書されもした。…
…墓誌銘ともいう。本来,中国の文章のジャンルの一つで,墓中に埋め,時代が移り変わっても,墓の主がだれかをあきらかにするための文をいう。…
※「銘」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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