ナス科(APG分類:ナス科)の一年草で、トウガラシの1変種。また、タバスコの辛味ソースの商品名ともなっている。南アメリカ原産の辛味野菜で、植物体は日本のトウガラシの品種タカノツメ(鷹の爪)によく似ている。茎は高さ30~60センチメートル、よく枝分れし、まだらに白色の小花をつける。果実は小さく、長さ2センチメートルほどの細長い円錐(えんすい)形で、上を向いたまま成熟するのが特徴である。果肉は厚く多汁質で、秋に橙赤(とうせき)色に熟したものをすりつぶしてタバスコソースの材料とする。辛味が強く、香りも優れている。
アメリカ、ルイジアナ州のマッキルヘニー社が同州の南部で独占的に栽培、この果実をよくすりつぶし、適度の塩を加えて発酵させてつくったタバスコソースは、同社の登録商標でもあり、製法も極秘にされて世界中に独占販売されている。酸味の利いた強烈な辛さをもつ香辛料で、オードブルのシュリンプカクテルやオイスターカクテル、またピッツァ、各種スパゲッティ料理、グラタンなどによくあい、2、3滴で料理の味を引き立てる。
[齋藤 浩 2021年6月21日]
トウガラシの1系統群,また辛味ソースの商品名ともなっている。この名はメキシコ南部の地名にちなむ。草丈は50cmくらい。葉は卵状披針形ないし披針形で,5~10cm,よく分枝する。花は小型で,花冠は帯緑黄色,ふつう5裂する。果実は節成り性で着果数が多く,上を向いてつく。果実の長さは平均2.5~7.6cm,果肉は厚く多汁質で,きわめて辛いのが特徴であり,また香りもすぐれている。果実をすりつぶしてタバスコ・ソースを作る。
執筆者:星川 清親
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…メキシコ産の辛味トウガラシ,タバスコペッパーを主原料とする香辛調味料で,アメリカのマキルヘニー社McIlhenny Co.(1868創立)の製品。美食家として知られた銀行家のマキルヘニーEdmund McIlhennyが,南北戦争で資産を失い,わずかに畑に残っていたトウガラシを利用してソースをつくり,食事を楽しんだのがきっかけで商品化されたという。…
※「タバスコ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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