(1)比較的小径の棒材に,主として手作業でおねじを切るのに用いる工具。めねじを3~5本の立てみぞで分割して切れ刃を形成させた構造で,分割みぞは切りくずだめともなる。単体のソリッド形,割り形,割り形でねじ径が多少調節できる調整ねじ付きのアジャスタブル形がある。ねじ切りの要領は,ダイス用ハンドルを用い,ごく低速の手回しでダイスをほぼ3/4回転進めて約1/4回転もどすという操作を繰り返し,所要の長さまで進める。手回し作業であるためねじの精度はあまりよくないが,簡単に加工できることから多用されている。穴にめねじを切る工具はタップという。
執筆者:笹谷 重康(2)塑性加工の際に使用する,中に目のある工具。硬度の高い工具鋼などでつくった厚い板やかたまりの中に穴が開いており,押出加工や引抜加工においてその穴に材料を通すことにより線材や棒材から線を,またビレット(小鋼片)から形材,棒材,線材を製造するのに用いられる。また,板の深絞りや打抜きのように,その開いている穴にポンチで材料を送りこんだり,ポンチの縁とダイスの縁との間で材料を切断したりするのにも用いられる。材質は工具鋼のほか,炭化タングステンなどの高硬度の金属炭化物をコバルトでつなぎあわせた超硬合金などが選ばれている。昔は引抜きなどの場合,たたきダイスという比較的軟らかい鉄板に穴をうがち,その壁面を加工硬化させて工具とし,軟質の線を引き抜いたりしていた。
執筆者:木原 諄二
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金属の塑性加工に使用される型。雄(お)ねじ切り、焼結(しょうけつ)、引抜き、押出し、鍛造(たんぞう)、プレス加工などの分野で利用されている。プレス加工では、型を押し込むためにポンチpunch(押抜き具)を用い、この両方を型という。ときにはポンチを雄型(おがた)、ダイスを雌型(めがた)と区別する。また、丸棒に雄ねじを切るのに使われる工具もダイスという。これは、中央に雌ねじが切ってある四角板または円板を手回し用の保持具に取り付けて、丸棒の先端から回しながら、ねじ込んで丸棒に雄ねじを切っていくものである。
[中山秀太郎]
さいころの英語名、およびそれを用いたゲームをさす。
[編集部]
…現在一般的に使われているのは,立方体の各面に1~6の点を記し,1の裏が6,2の裏が5というように両面の和がいずれも7になるように配したもの。〈さいころ〉ともいい,英語のダイスdiceにあたる。最も原始的な賽には,古代で神前に犠牲として捧げた動物のくるぶしの骨を用いたアストラガルスastragalsがある。…
※「ダイス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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