ダイス(英語表記)dies

精選版 日本国語大辞典 「ダイス」の意味・読み・例文・類語

ダイス

〘名〙 (dice) さいころ。また、さいころを用いて行なう勝負事
※上海(1928‐31)〈横光利一一一「押し黙った外人が二人、端整な姿でダイスをしてゐた」

ダイス

〘名〙 (dies) 雄型(おがた)成形するための雌型(めがた)の工具。板金作業、形鍛造、引抜き、ねじ切りなどに用いる。

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デジタル大辞泉 「ダイス」の意味・読み・例文・類語

ダイス(dice)

さいころ。また、さいころを用いた遊び。
1の形をしたもの。小さな立方体。「ダイストマト」→ダイスカット

ダイス(dies)

雄型を成形するための、雌型の工具。一般には雄ねじを切る工具をいう。

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改訂新版 世界大百科事典 「ダイス」の意味・わかりやすい解説

ダイス
dies

(1)比較的小径の棒材に,主として手作業でおねじを切るのに用いる工具。めねじを3~5本の立てみぞで分割して切れ刃を形成させた構造で,分割みぞは切りくずだめともなる。単体のソリッド形,割り形,割り形でねじ径が多少調節できる調整ねじ付きのアジャスタブル形がある。ねじ切りの要領は,ダイス用ハンドルを用い,ごく低速の手回しでダイスをほぼ3/4回転進めて約1/4回転もどすという操作を繰り返し,所要の長さまで進める。手回し作業であるためねじの精度はあまりよくないが,簡単に加工できることから多用されている。穴にめねじを切る工具はタップという。
執筆者:(2)塑性加工の際に使用する,中に目のある工具。硬度の高い工具鋼などでつくった厚い板やかたまりの中に穴が開いており,押出加工引抜加工においてその穴に材料を通すことにより線材や棒材から線を,またビレット(小鋼片)から形材,棒材,線材を製造するのに用いられる。また,板の深絞りや打抜きのように,その開いている穴にポンチで材料を送りこんだり,ポンチの縁とダイスの縁との間で材料を切断したりするのにも用いられる。材質は工具鋼のほか,炭化タングステンなどの高硬度の金属炭化物をコバルトでつなぎあわせた超硬合金などが選ばれている。昔は引抜きなどの場合,たたきダイスという比較的軟らかい鉄板に穴をうがち,その壁面を加工硬化させて工具とし,軟質の線を引き抜いたりしていた。
執筆者:

ダイス(さいころ)
dice

(さい)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ダイス」の意味・わかりやすい解説

ダイス
dice

小立方体のさいころ,またそれを用いて行う室内ゲーム。ダイスの6面には1~6の数が点で示され,向い合う面の合計は常に7になる。ゲームは世界各国で広く行われており,その種類は多く,遊戯法も複雑である。普通5個のダイスと,ダイスを入れて転がすのに用いる皮製のダイスカップを使い,目の出方によりいろいろな役を設けてその合計点数で勝負を競う。代表的な遊戯法にはクラップスポーカーダイス,シカゴダイスなどがある。起源については諸説あるが,前 2000年頃のエジプトに始り,それが各国に広まったらしい。ギリシアの歴史家ヘロドトスの作品やインドの聖典『リグ・ベーダ』などのなかにもダイスに関する記述があり,ダイスが古くから世界各地で行われていたことが知られる。日本ではさいころ,さい (骰子,采,賽などと書く) などといわれ,すごろく,博奕 (ばくち) などに使用する。古くは占いにも用いられ,『松屋筆記』に「さいを投て九条殿冷泉院の御事を占はれし…」などとみえる。盤すごろくでは2個,紙すごろくでは1個,博奕では四ツ采,三ツ采,二ツ采,一ツ采など種々の使用法がある。目は天一・地六,南四・北三,西二・東五と向い合せにしてある。また仏法すごろく (一名浄土すごろく) の采は,南・無・分・身・諸・仏の6字を6方面の木面に書き,こまのように回して用いる。采の起源は明らかではないが,「婆羅塞戯 (はらそくぎ) 」の語が『涅槃経 (ねはんぎょう) 』にあるところから,インドに起ったものと考えられる。

ダイス
Dies, Martin, Jr.

[生]1901.11.5. テキサスコロラド
[没]1972.11.14. テキサス,ラフキン
アメリカ合衆国の政治家。1919年テキサス大学を卒業,ナショナル大学のロースクールを経て弁護士となった。1931年民主党から連邦下院議員に当選。1938年新設された下院の非米活動委員会(通称ダイス委員会)初代委員長に就任,1945年に政界から退くまでその任を務めた。委員会は,第2次世界大戦中は国内のナチス系グループの調査,取り締まりが活動の中心であったが,戦後は共産主義者,その同調者に対する取り締まり活動を積極的に推進した(→赤狩り)。1953年政界に復帰し,1959年まで連邦下院議員を務めた。

ダイス
Dyce, William

[生]1806.9.19. アバディーン
[没]1864.2.14. ロンドン
イギリスの画家,美術教育家。スコットランドで少年時代を過ごし,ロンドンのロイヤル・アカデミーに学ぶ。初めイタリア絵画に関心をもち,1825年イタリアに赴いた。ローマでドイツのナザレ派の影響を受け,その美術理念をラファエル前派に伝えた。美術教育にも深い関心を寄せ,1840年にロンドンのサマセット・ハウスに新設された美術学校長となり,後進の指導にあたった。

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栄養・生化学辞典 「ダイス」の解説

ダイス

 →ダイ

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世界大百科事典(旧版)内のダイスの言及

【賽】より

…現在一般的に使われているのは,立方体の各面に1~6の点を記し,1の裏が6,2の裏が5というように両面の和がいずれも7になるように配したもの。〈さいころ〉ともいい,英語のダイスdiceにあたる。最も原始的な賽には,古代で神前に犠牲として捧げた動物のくるぶしの骨を用いたアストラガルスastragalsがある。…

※「ダイス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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