改訂新版 世界大百科事典 「ダッドリー」の意味・わかりやすい解説
ダッドリー
Dud Dudley
生没年:1599-1684
イギリスで石炭製鉄の実現のため努力した製鉄業者。1619年,父男爵にオックスフォードから呼び戻され,ウスターシャー,ペンスネットの父の製鉄所の監督となった。当時の木材資源の逼迫(ひつぱく)に対応して,その木炭高炉で石炭製鉄の試験に成功し,21年父の名で同法の特許を得た。22年の洪水で同高炉は破損したので,スタッフォードシャー,ヒムリーに石炭高炉を建てた。その製品鉄の評判は悪く,木炭製鉄業者に同炉を賃貸する結果になった。スタッフォードシャー,アスキューブリッジに建てた高炉は,銑鉄日産7tという記録的成績を上げたが,暴徒に破壊された。38年に石炭製鉄の再特許を得たが,クロムウェル革命の勃発で,彼自身王党派に属し転戦するなどしたため,彼の方法はついに工業的成功には至らなかった。65年に《マルスの金属,あるいは石炭で製造した鉄》を著した。ヒムリー高炉遺跡のスラグは,コークス化した石炭を多量に含んでいる。
執筆者:原 善四郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報