テムズ川(読み)テムズがわ(英語表記)River Thames

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

テムズ川
テムズがわ
River Thames

イギリスイングランド南部を流れる川。グロスターシャー県南部,コッツウォールド丘陵南東斜面のテムズヘッドに源を発し,ほぼ東に流路をとりながらウィルトシャーオックスフォードシャー県レディングウィンザー・メードンヘッドバッキンガムシャー県サリー県などを流れたのち,グレーターロンドン貫流,次いでケント県エセックス県を分ける三角江エスチュアリー)を流れて北海に注ぐ。全長約 330kmで,河口から約 100km上流まで潮汐作用の影響が及ぶ。主要支流は左岸のウィンドラッシュ川,チャーウェル川,コーン川,リー川,右岸のケネット川,ウェー川,モール川,メドウェー川など。グレーターロンドンでは両岸に堤防が築かれ,多数の道路橋,鉄道橋,トンネルが両岸を結んでいる。流域は,オックスフォードとレディングの間にあるゴーリングギャップと呼ばれる峡谷により,おもにジュラ紀石灰岩からなる上流域とロンドン盆地として知られる下流域に分けられるが,全体としてケスタ地形を示し,硬岩部がコッツウォールド丘陵,オックスフォード丘陵,チルターン丘陵ノースダウンズ丘陵などとして残り,ロンドン盆地を囲んで外側に急斜面,内側に緩斜面をみせている。ローマ時代にはタメシス Tamesisと呼ばれ,イギリス初期の年代記にも Tamis,Tamisa,Tamensimなどの名で記されており,古くから歌などにもうたわれて親しまれてきたが,19世紀半ば頃から下水道として利用されるようになったため,河水が汚濁するようになった。しかし 1963年以降法的な規制により浄化が進められた結果,水質は著しく回復した。小型船は上流部のレッチレードまで遡航でき,タワーブリッジより下流は世界で最も重要な商業水路の一つとしてにぎわう。

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デジタル大辞泉の解説

テムズ‐がわ〔‐がは〕【テムズ川】

Thames》英国イングランド南部を東流して北海に注ぐ川。下流でロンドンを貫流。長さ338キロ。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

テムズ川
てむずがわ
Thames

イギリス、イングランド南部をほぼ東流して、ロンドン市内を通り、北海に注ぐ川。イギリスでもっとも重要な川で、全長338キロメートル、流域面積1万3600平方キロメートル。グロスターシャー県コッツウォールド丘陵東斜面のテムズ・ヘッド(高度約110メートル)を源とし、オックスフォード付近でチャーウェル川Cherwellが北から合流する。チルターン丘陵南端部でチョーク質岩石のつくるケスタ地形の鞍部(あんぶ)を越えてレディングに達し、西からケネット川Kennetを合流する。これより下流は緩やかな勾配(こうばい)でゆったりとロンドン盆地を東流し、ロンドンを貫流したのち、河口の三角江を経て北海に注ぐ。川幅はオックスフォードで約45メートル、テディントンTeddingtonで約75メートル、ロンドンで約225メートルである。潮差の大きい北海に流入するので(ロンドンで大潮差6.2メートル)、河口から90キロメートル上流のテディントンまで潮の干満が及ぶ。河口からグレーブゼンドGravesend(ロンドン下流約30キロメートル)までは外航船が、ロンドンまでは800トン級の船が入港できる。ロンドンより上流は、グランド・ユニオン運河で中部イングランドの工業地帯と結ばれているのをはじめ、多くの運河網でセバーン川、エイボン川、トレント川などとも結ばれており、18世紀の水運に利用されたが、現在でもレジャー用小型船舶の航行が盛んである。
 流域の大部分は中生層~古第三紀層よりなるなだらかな地形で、地層はロンドンを中心とする盆地構造を呈し、ケスタ地形がよく発達する。中・上流域はイングランドでもっとも古くから開けた農業地帯で、ロンドンより下流の両岸は工業地帯として発展を遂げた。テムズ川の水は上水道用水としても利用され、テムズ河川局によって管理されている。またロンドン東部のドック地帯にみられるように、下流域には多くの港湾設備が整えられている。テムズ川を横断するロンドン市内の主要な橋として、ロンドン・ブリッジ、ウォータールー・ブリッジ、タワー・ブリッジなどが有名で、1843年には世界最初の河底トンネルが貫通している。上・中流部は美しい風景をもつ田園地帯で、ヨット、ボートなど舟遊びをする観光客が多い。また下流の三角江北岸のサウセンド・オン・シーは海浜保養地としてロンドン市民の憩いの場となっている。毎年3月に、ロンドンのパトニー・ブリッジ付近で開催されるケンブリッジ大学とオックスフォード大学との対抗ボートレースは世界的に有名である。[小池一之]

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