日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ナッシュ(David Nash)
なっしゅ
David Nash
(1945― )
イギリスの彫刻家。サリー州イーシャに生まれる。キングストン美術学校、ブライトン美術学校、チェルシー美術学校に学ぶ。1967年北ウェールズ地方のブライナイ・フェスティニョグに移住する。1980年ニューヨークのグッゲンハイム美術館の「ブリティッシュ・アート・ナウ」で世界的に注目される。82年(昭和57)「今日のイギリス美術」展出品のため来日し、厳冬の奥日光で倒木により作品を制作。「木は、私にとっては、人間の命に相当する植物です」と述べている。現代美術において、自然とのかかわりを深く保ちながら制作を続けている作家の一人であり、素材にあまり手を加えず、木の枝や幹をそのまま生かした作品が多い。84年(昭和59)には滋賀県立近代美術館での「現代彫刻国際シンポジウム」に参加。94年(平成6)北海道音威子府(おといねっぷ)に滞在して作品を制作し、北海道立旭川(あさひかわ)美術館にて「デビッド・ナッシュ展――音威子府の森――」を開催する。2001年東京西村画廊にて個展を開催。
[斉藤泰嘉]
『酒井忠康著『魂の樹――現代彫刻の世界』(1988・小沢書店)』