コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

ネグリチュード ネグリチュード Négritude

翻訳|Négritude

6件 の用語解説(ネグリチュードの意味・用語解説を検索)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ネグリチュード
ネグリチュード
Négritude

1930年代から,パリに結集したフランス領植民地の黒人エリートたちが起こした文学運動。ネグリチュードという用語は,エメ・セゼールが長詩『帰郷ノート 植民地主義論』Cahier d'un retour au pays natal(1939)で初めて用いた造語であり,黒人的特性と訳せよう。

本文は出典元の記述の一部を掲載しています。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

デジタル大辞泉の解説

ネグリチュード(〈フランス〉négritude)

アフリカ黒人の文化の独創性を主張し、それを誇りとする立場。サンゴールセゼールらが主張して運動を展開した。

出典|小学館 この辞書の凡例を見る
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

百科事典マイペディアの解説

ネグリチュード

アフリカ黒人の精神的風土や文化の特質をさす語。おもに仏語圏アフリカで用いられる。1930年代前半セゼールサンゴールらが初めて用い,被抑圧民族である黒人固有の文化を高揚する運動を展開。
→関連項目アフリカカリブ海セネガル

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. ご提供する『百科事典マイペディア』は2010年5月に編集・制作したものです

世界大百科事典 第2版の解説

ネグリチュード【negritude】

黒人であること,黒人的特性,黒人精神などの訳語があてられる。〈黒人がわれわれの辞書にもたらした数少ない寄与の一つ〉(サルトル)であるが,定義は難しい。いずれにしろ,1930年代のパリでセゼールサンゴールら,フランス領の西インド諸島アフリカ出身の開化黒人詩人たちが起こした文学運動の思想的・芸術的基盤がこの名で呼ばれる。彼らは,黒人には独特な内的世界,宇宙認識論,芸術創造力,美的感覚などがあるとし,〈アフリカ〉〈ニグロ〉にまつわる過去の汚辱を払拭し,民族的価値の復権,人種の誇りを主張した。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. 収録データは1998年10月に編集製作されたものです。それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。また、本文中の図・表・イラストはご提供しておりません。

大辞林 第三版の解説

ネグリチュード【négritude】

〔黒人性の意〕
アフリカの黒人の文化・伝統の独自性を主張し、その価値を積極的に評価しようとする立場。

出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ネグリチュード
ねぐりちゅーど
ngritudeフランス語

黒人性の意。1934年に機関紙『黒人学生』を創刊したレオン・ダマLon Damas(1912―78)、エメ・セゼール、L・S・サンゴールの3人を中心に、1930年代のパリで始まった黒人留学生たちの、「黒人を黒人性(ネグリチュード)の尊厳に目覚めさせ、フランスの植民地同化政策を拒否する」文化運動をネグリチュード運動という。この運動に目覚め結集した黒人のエネルギーは、第二次世界大戦後のアフリカ独立の起爆剤となった。この運動が、1930年代のパリで受け入れられた背景には、第一次世界大戦後に荒地化したヨーロッパの文化状況に対する白人の自信喪失があり、ピカソのようにその代替物を、白人は、黒人文化に求めたのである。
 このような黒人の生命力あふれる美しさ、みずみずしさと、黒人性の光輝を賛美する詩を高らかに謳(うた)い上げた「ネグリチュード派」の詩人に、サンゴール、D・ディオプ、B・ディオプBirago Diop(1906―89)、ウ・タムシTchicaya Tam'si(1913― )、ボランバAntoine-Roger Bolamba(1913― )、ラベマナジャラJacques Rabmanajara(1913― )(以上フランス語圏)、テンレイロFrancisco Jos Tenreiro(1921―63)、リバスOscar Ribas(1909―90)、アンドラーデ(以上ポルトガル語圏)らがいて、現代アフリカ文学の代表的詩人を網羅し、その領域も抵抗詩、解放詩まで含む幅の広さを誇っている。この派の古典的詩集として、セゼールの『祖国復帰ノート』(1939)、テンレイロの『ノメ・サント島』(1942)、サンゴールの『影(望郷)の歌』(1945)、アンソロジーにJ・P・サルトルが献じた序文「黒いオルフェ」で有名なサンゴール編『ニグロ・マダガスカル新詩集』(1948)、テンレイロ、カブラルAmilcar Cabral(1921―73)、ネトAgostinho Neto(1922―79)、アンドラーデ共同編集『ニグロ・ポルトガル語詩ノート』(1953)がある。だが、エスキア・ムパシェーレ、ウオレ・ショインカなど、英語圏アフリカの作家からは、その観念性に対する批判が強い。
 なお「黒人社会の存在とその精髄を世界に顕示し、黒人文化の尊厳とその生活様式の独創性を擁護する」目的で、1947年パリで、サンゴールの協力のもと、A・ディオプAlioune Diop(1910―80)の手で創刊された文化雑誌『プレザンス・アフリケーヌ』が、以後のネグリチュード運動を支えてきた功績は大きい。だがこのネグリチュード運動も、1975年ごろから大きな変化が際だつようになる。同誌はその第100号を記念して、76年から77年にかけて「ニグロ・アフリカ人の文化的アイデンティティ」と題する特集を組み、そのなかで、従来の「外」、白人文化を多分に意識した同化拒否の姿勢から一転して、「内」、黒人文化に目を注ぎ、新しい黒人文明の発掘、すなわち黒人文明のルネサンスを訴えている。つまりネオ・コロニアリズム(新植民地主義)というアフリカの新たな危機的事態と対決し、これを克服するためには、一般民衆が下層の非文字文化の世界で保持してきた伝承の口唱文芸のなかからアフリカ人に固有の活力を汲(く)み出し、それを柱にして、アフリカ人の文化的アイデンティティを再構築し直さなくてはならない、というのである。この路線に沿った作品に、カマラ・ライェの『言葉の主』、D・T・ニアヌDjibril Tamsir Niane(1920?― )の『スンディアタ』、それにマジシ・クネーネの『偉大なる帝王シャカ』などがあり、この主張は、1970年代に南アフリカで起こった黒人意識運動の精神的支えとなったことも、特記してよい。[土屋 哲]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この辞書の凡例を見る
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

世界大百科事典内のネグリチュードの言及

【アフロ・アメリカ文学】より

…それがまたたくまに全世界に拡大され,米州とくにラテン・アメリカにも波及して,そこでは白人と黒人の知識人によって運動が進められた。それらの運動のいくつかを挙げると,ハイチではジャン・プリス・マールとジャック・ルマンによる《ルビュー・アンディジェーヌRevue Indigène》運動(1926‐27),マルティニクではエメ・セゼールによる〈ネグリチュード〉運動,キューバではアレホ・カルペンティエル,ニコラス・ギリェンらによる〈ネグリスモ〉運動,ブラジルではジルベルト・フレイレやジョルジェ・アマドらによる〈北東部文学〉運動がある。これらの運動は横の連絡や結合を持っていないが,アフリカ的性格や黒人精神の復興をうたう点では共通性を持ち,全体としてアフロ・アメリカ文学という新しいジャンルを確立したのである。…

【セゼール】より

…フランス領マルティニク島の詩人,政治家。フランス植民地主義の同化政策を批判,黒人の文化的・政治的復権を訴えて〈ネグリチュード(黒人性)〉を主唱。アイデンティティの回復から解放の思想に至るまでの意識発展のドラマである長詩《祖国復帰ノート》(1939)はブルトンに絶賛された。…

【留学】より

…この自己存在は,みずからが被植民者でいるかぎり,また黒人であることが負の価値とされているかぎり,脱出できないアポリアとなる。こうした自己存在への凝視から,A.セゼールL.S.サンゴール,ディオップなどの留学生の手でネグリチュード運動が起こされ,やがて政治的独立の運動へ結びついていったのである。アフリカ革命の有数の思想家F.ファノンも,ポルトガル領アフリカの独立の指導者で卓越した革命理論家のA.カブラルやA.ネトもまた〈開化民〉としての留学生であった。…

※「ネグリチュード」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. 収録データは1998年10月に編集製作されたものです。それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。また、本文中の図・表・イラストはご提供しておりません。

ネグリチュードの関連キーワード黒人ドビュッシー:小さな黒人(ケークウォーク)/piano solo黒人学黒人革命黒人教会黒人研究黒人俳優黒人法《白い黒人》《私は黒人》

今日のキーワード

トランスアジア航空

台湾・台北市に本拠を置く航空会社。中国語名は復興航空。1951年、台湾初の民間航空会社として設立。83年に台湾の国産実業グループに経営移管され、組織改編を実施した。92年に国際チャーター便の運航を始め...

続きを読む

コトバンク for iPhone