翻訳|Highland
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イギリス、スコットランド北部の高地。スコットランド高地ともいう。東側のフォース湾と西側のクライド湾との間の地峡より北方全体の高地をさす。最高峰ベン・ネビス山(1343メートル)はイギリス諸島の最高峰でもある。ハイランドはカレドニア地峡により二分され、北西部は北西ハイランドとよばれ、南東部はグランピアン山脈が広い面積を占めている。ハイランドは、スカンジナビア半島からアイルランド北部へ延びる先カンブリア~カンブリア紀の変成岩、花崗(かこう)岩を主とする岩石のつくる山地で、古生代のカレドニア造山帯の一部となっている。氷河時代には厚いスコットランド氷床下にあり、山や谷は氷河の侵食作用を受け、谷にはU字谷が、また岩峰を取り巻くように圏谷(カール)群が形成され、岩峰と森と湖の織り成す風光明媚(めいび)な風景がつくられた。グレート・ブリテン島北端に位置し、湿潤冷涼なためヒースの茂る湿地が高地や低地に広がり、森林は谷の斜面に限られる。湿地より切り出される泥炭(ピート)は、スコッチウイスキー製造の燃料として使われ、独特の味と香りを醸し出している。
人口密度は低く、無人地域が大部分であるが、谷沿いに小村が点在する。高位湿地や氷食を受けた露岩山地が多く、放牧地として利用される土地もわずかである。夏、露岩地帯を除く山腹は、赤紫のヒースの花に覆われる。近年、観光地として脚光を浴び、夏季は観光客でにぎわう。カレドニア地峡の北東端インバネスが観光の中心地で、ハイランドの首都ともよばれる。行政上はハイランド、グランピアン、テイサイドの三カウンティー(県)にまたがる。
[小池一之]
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イギリス,スコットランド北部の山地地方。スコットランド中部のローランドに対しての呼称で,スコットランド高地Scottish Highlandsともいう。クライド川河口のダンバートンから北海沿岸のストーンヘーブンに至る線より北西側を指すが,オークニー,シェトランド両諸島と本土東岸の平野は除外される。古生代前期のカレドニア山系に属して結晶片岩や花コウ岩から構成され,グレーン・モアの地溝帯によって北西高地とグランピアン山脈に二分される。最高峰はベン・ネビス山(1343m)で,氷食と湿潤気候のため全体に高層湿原や原野が広がり,観光以外では粗放的牧羊やウィスキー醸造が主産業である。ケルト人の古い慣習や言語が残存することでも知られる。1975年この地方の北部にハイランド州が創設された。中心都市は〈ハイランドの首都〉と呼ばれるインバネスである。
執筆者:長谷川 孝治
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【地誌】
イギリスは歴史・民族・行政上,イングランド,ウェールズ,スコットランド,北アイルランドの4地方に大別されるが,地誌的には地形や気候,産業,文化などの観点を加えて,次の各地域に区分される。
[スコットランド]
(1)北部 ハイランドとも呼ばれる地域で,氷食を受けた高地が卓越するが,東部には低地もある。気候は東西で対照をなし,西海岸の年降水量は1250mm以上で東部の2倍以上に達する。…
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[自然]
スコットランドの地質は,北西部に一部先カンブリア時代の地層がある以外は古生代の岩石が卓越する。とくに北部にはカンブリア紀の変成岩を中心に,カレドニア造山運動による褶曲の結果生じたスコットランド高地(ハイランド)が横たわる。高地全体は北東~南西走向を有し,グレン・モアの断層線によって北西高地とグランピアン山脈に区分され,後者の西部にはイギリス最高峰のベン・ネビス山(1343m)が位置する。…
※「ハイランド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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