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ブレンターノ Brentano, Bernard von

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ブレンターノ
Brentano, Bernard von

[生]1901.10.15. オッフェンバハ
[没]1964.12.29. ウィースバーデン
ドイツの小説家。ジャーナリストとなり,一時極端に左傾。『フランクフルト新聞』でナチスを痛烈に批判したため追放され,1933年スイスに移住。 49年帰国。小説『テオドール・キンドラー』 Theodor Chindler (1936) が代表作。

ブレンターノ
Brentano, Clemens

[生]1778.9.8. エーレンブライトシュタイン
[没]1842.7.28. アシャッフェンブルク
ドイツの詩人,小説家。父はイタリア生れの商人,母はゲーテが若い頃敬愛したマキシミリアーネ。妹ベッティーナ (のち A.v.アルニム夫人) はゲーテをめぐる書簡体の小説で知られる。イェナ大学でシュレーゲル兄弟やティークの知遇を得る。在学中に書いた小説『ゴドウィ』 Godwi (1801) に含まれる『ローレライ』などの歌謡により抒情詩の才能を認められた。 1801年ゲッティンゲンでアルニムと親交を結び,ハイデルベルクに移って,2人で協力してドイツの古い民謡,童謡,賛美歌など約 600編を収集した『少年の魔法の角笛』 Des Knaben Wunderhorn (3巻,05~08) を出版し,後世の詩に多大の影響を与えた。 08年,アルニム,J.ゲレスとともに後期ロマン派の機関誌『隠遁者新聞』 Zeitung für Einsiedlerを創刊した。そのほか,喜劇『ポンス』 Ponce de Leon (04) ,スラブの伝説を素材とした戯曲『プラハの建設』 Die Gründung Prags (15) ,田園小説『けなげなカスペアルと美しいアンネアルの物語』 Geschichte vom braven Kasperl und dem schönen Annerl (17) ,未完の『数珠の譚詩』 Romanzen vom Rosenkranz (52) などがある。

ブレンターノ
Brentano, Franz

[生]1838.1.16. マリエンベルク
[没]1917.3.17. チューリヒ
オーストリアの哲学者,心理学者。詩人 C.ブレンターノの甥。 1864年カトリック司祭,66年ウュルツブルク大学講師,72年同大学教授,73年宗教問題で辞職,74年ウィーン大学教授,80年結婚問題で辞職,96~1915年フィレンツェに住んだ。新カント派隆盛のなかで「アリストテレスに帰れ」を標榜,経験的方法を重視し,記述心理学を哲学の基礎とした。ボルツァーノと並んで独墺学派の創始者とされ,フッサールマイノングらに与えた影響は大きい。主著『アリストテレスの心理学』 Die Psychologie des Aristoteles (1867) ,『経験的心理学』 Psychologie vom empirischen Standpunkt (74) 。

ブレンターノ
Brentano, Lujo

[生]1844.12.18. アシャッフェンブルク
[没]1931.9.9. ミュンヘン
ドイツの歴史学派経済学者。ベルリン大学講師,1871~1914年ベルリン大学,ライプチヒ大学,ウィーン大学,ミュンヘン大学などの教授を歴任。その間イギリス留学を通じて,自由主義思想に共鳴。労働,社会問題に興味をもち,1873年社会政策学会を設立。労働組合結成の権利を認め,労働保険,工場法による労働保護の必要を主張した。日本の経済史学にも高弟の福田徳三を通じて多くの影響を与えた。主著『現代労働組合論』 Die Arbeitergilden der Gegenwart (2巻,1871~72) ,『イギリス経済史』 Eine Wirtschafts Geschichte Englands (3巻,1927~29) 。

ブレンターノ
Brentano, Sophie

[生]1770.3.28. アルテンブルク
[没]1806.10.31. ハイデルベルク
ドイツの女流作家。 C.ブレンターノの妻で,かつてはシラーの『詩神年鑑』 Musenalmanachに寄稿。小説『アマンダとエドゥアルト』 Amanda und Eduard (1803) のほか,夫との往復書簡集がある。

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デジタル大辞泉の解説

ブレンターノ(Brentano)

(Clemens ~)[1778~1842]ドイツの詩人。後期ロマン派に属し、作家アルニムと民謡集「少年の魔法の角笛」を編集。劇評・小説・童話でも活躍。
(Franz ~)[1838~1917]ドイツの哲学者。の甥(おい)。記述心理学に基礎をおく哲学を研究、フッサール現象学に影響を与えた。著「経験的立場からの心理学」など。
(Lujo ~)[1844~1931]ドイツの経済学者。の弟。社会・労働問題を研究。新歴史学派の立場に立ち、社会政策学会設立に貢献。労働者の団結権を認めることを主張した。1927年、ノーベル平和賞受賞。著「現代の労働組合」「イギリス経済史」など。

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百科事典マイペディアの解説

ブレンターノ

ドイツの後期ロマン派の詩人。A.v.アルニムと民謡集《少年の魔法の角笛》を編む。空想癖と放浪癖があり,作品の多くは未完だが,抒情詩,《けなげなカスパールと美しいアンナールの物語》などの短編,《ゴッケル物語》などの童話に佳品がある。
→関連項目アルニムブレンターノローレライ

ブレンターノ

ドイツの哲学者,心理学者。B.ボルツァーノとともにドイツ・オーストリア学派の祖。1873年までカトリックの聖職にあり,アリストテレス,トマス・アクイナスを研究
→関連項目志向性シュトゥンプマイノング

ブレンターノ

ドイツの経済学者。F.ブレンターノの弟。ミュンヘン大学等の教授。新歴史学派に属する。社会政策学会設立に際しては左派を代表し,労働者保護を主張。晩年は経済史を研究した。
→関連項目福田徳三

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世界大百科事典 第2版の解説

ブレンターノ【Clemens Brentano】

1778‐1842
ドイツ後期ロマン派の詩人,小説家,劇作家。モーゼル河口のエーレンブライトシュタインに生まれた。父はイタリア系商人,母は女流作家ゾフィー・フォン・ラ・ロッシュの娘で,青年ゲーテが想いをよせたマクシミリアーネ。B.vonアルニムの兄。イェーナの大学時代に前期ロマン派詩人たちと交わり,文筆活動に入った。抒情的な天才肌で,異常に豊かな空想力と旺盛な創作力を発揮したが,不安定で分裂的な性格のため,明確な構成と造形性を欠いた。

ブレンターノ【Franz Brentano】

1838‐1917
ドイツの哲学者,心理学者。ビュルツブルク大学助教授,ウィーン大学教授を歴任した。ドイツ・オーストリア学派(独墺学派,ブレンターノ学派とも呼ばれる)の指導者で,その門下からは心理学者シュトゥンプ,言語哲学者マルティ,対象論のマイノング,現象学のフッサールらが輩出した。1864年にカトリックの司祭となったが,教皇不可謬説などに反対して,1873年に教会から離れ,80年にはウィーン大学正教授も罷免された。

ブレンターノ【Lujo Ludwig Josef Brentano】

1844‐1931
ドイツの経済学者,新歴史学派の代表者の一人。詩人C.ブレンターノ,作家B.ブレンターノの甥,高名な哲学者F.ブレンターノの弟。大学では法律学,政治学を修めたが,1867年,統計学者E.エンゲルがベルリンで開設した国家学演習に参加したのを機に,しだいに労働問題に関心を寄せるようになった。処女作《現代の労働組合》2巻(1871‐72)は,エンゲルとのイギリス旅行で収集した資料をもとに著されたものである。

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大辞林 第三版の解説

ブレンターノ【Brentano】

〔Clemens B.〕 (1778~1842) ドイツ後期ロマン派の作家。アルニムと協力して民謡集「少年の魔法の角笛」を編纂。他に物語詩「数珠のロマンツェン」、小説「ゴドウィ」、童話「ゴッケル物語」「童話」など。
〔Franz B.〕 (1838~1917) ドイツの哲学者・心理学者。自然科学と同じく経験的方法によって心的現象を記述する記述心理学に哲学の基礎を置いた。心的現象の特質とした「志向性」の概念は、フッサールの現象学に影響を与えた。著「経験的立場からの心理学」
〔Lujo B.〕 (1844~1931) ドイツの社会主義者。新歴史学派の一人。ドイツの労働組合運動や労働保険などに多大な貢献。著「農政学原論」など。

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世界大百科事典内のブレンターノの言及

【児童文学】より

…ほぼ1世紀にわたる訓育主義の跋扈(ばつこ)の後に様相は一変する。フランスの文化的優位に対する反発から始まるドイツ・ロマン主義の動きは,自国の土と血に根ざしたものの探求に向かい,そこからC.ブレンターノらの童歌(わらべうた)の収集と,グリム兄弟の《子どもと家庭のための昔話集(グリム童話)》(第1巻1812)が生まれ,つづいて,デンマークでは昔話に美しい空想の翼をあたえたH.C.アンデルセンの《童話集(アンデルセン童話)》,さらにはノルウェーのアスビョルンセンP.C.AsbjørnsenとムーJ.Moeによる民話の収集(1837~44)が現れるのである。以下,各国の歴史をたどる。…

【少年の魔法の角笛】より

…ドイツの民謡・歌謡集(3巻,1806‐08)。ハイデルベルクにおいてA.vonアルニムC.ブレンターノが協力して,古来の民謡や民謡風歌謡類約600編を収集編纂した。ナポレオンの支配下にある自国民に,民族の独自性と誇りを自覚させようとの願いがこめられていた。…

【ローレライ】より

…この岩は古来山彦を起こすことで知られ,古名〈ルーレライ〉は〈待ち岩〉を意味し,こだま(エコー)を岩(ライLei)のそばで待ちうける(ルーレンlûren,lauern)ことに由来する命名という。またここに住み,歌声(エコー)で舟人を誘惑したという水の精ローレライの〈伝説〉は詩人の空想が伝説化したもので,ロマン派の詩人C.ブレンターノが物語詩《ローレ・ライ》(1801)の中で,男たちを魅惑して破滅させる美しい乙女にこの名を与えて以来,詩人たちはしばしばこの題材を採り上げて発展させた。とりわけハイネの詩《ローレライ》(1823あるいは1824)はジルヒャーFriedrich Silcher(1789‐1860)の作曲によって民謡のように広く親しまれ,日本でも〈なじかは知らねど心侘(わ)びて〉で始まる近藤朔風(さくふう)の訳詞で愛唱されている。…

【志向性】より

…意識の本質性格を示す,フッサール現象学の術語で,現象学の研究領域全体を示唆する主要概念。彼の恩師ブレンターノは,〈対象の志向的,心的内在〉という中世スコラ哲学の用語を借用して,物理的現象と異なる心的現象の特性は,対象に関係し,志向的にそれを内蔵している点にあるとした。これに倣ってフッサールもまず最初は,志向性という術語で〈意識は常に何かについての意識である〉という,意識の静態的構造を表現した。…

【心理学】より

…感覚,想像,記憶,悟性,感情,意志などは精神の能力として説明された。F.ブレンターノの作用心理学では,意識の内容よりも作用が重視された。彼によれば,ブントが考えたような要素は意識の内容を成しているにすぎず,その内容を内容たらしめる作用を研究するのが心理学であった。…

【歴史学派】より

…この仕事を実行したのはG.シュモラーをはじめとする新歴史学派に属する人々である。
[新歴史学派]
 新歴史学派の代表的な学徒としては彼のほか,A.H.G.ワーグナーL.ブレンターノK.ビュヒャーG.F.クナップらの名を挙げることができる。歴史学派はこの段階に至ってはじめて学派と呼ぶにふさわしいグループを形成するが,旧歴史学派を特徴づけた歴史哲学の要素はここでは影をひそめ,代わって没理論的な〈細目研究〉が盛んに行われるようになった。…

※「ブレンターノ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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