放射性同位体元素の原子核から放出される電子であって,元素の種類によっては正の電荷をもった陽電子を放出する場合もある.電子であるからβ粒子1個のもつ電荷の量は1.6×10-19クーロン(C)であり,陰陽いずれの場合もその静止質量は9.1×10-28 g である.β線のもつエネルギーは元素の種類によって決まる一定値以下0までの連続した値であり,この一定値を最大エネルギーという.たとえば,35S の最大エネルギーは0.167 MeV,32P では1.71 MeV である.β線が物質中を通過するときには電離作用がある.電子の質量はα粒子の1/7360にすぎず,非常に軽いため,α粒子と同程度のエネルギーであってもその速度は光速度に近い.したがって,電離密度はα線に比べて低く,エネルギー損失も少ない.このため,透過力は比較的大きく,32P の場合,大気中で数 m にも達する.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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…キュリー夫妻(M.キュリー,P.キュリー)はこのベクレルの実験結果を徹底的に調べ,ウランが出している放射線はウランに固有のものであり,また,ウラン以外にも同じように放射線を出す元素があることを発見(1898),放射線を出す性質や能力を放射能とよび,放射能をもつ元素を放射性元素とよんだ。次いでE.ラザフォードは,ウランから放出される放射線のなかに,正の電荷と負の電荷をもつ放射線があることに気がつき,それぞれ,α線とβ線と名づけた。さらに,電荷をまったくもたない放射線もあることが発見され,γ線と命名された。…
…原子核の放射性崩壊の一種で,放射性同位体が電子e-(あるいは陽電子e+)と反中性微子ν-e(あるいは中性微子νe)とを放出し,質量数は同じであるが原子番号Zの一つだけ異なる核に変化する過程。このとき放出される電子の流れをβ線という。電子を放出するβ-崩壊ではZ→Z+1,また陽電子を放出するβ+崩壊ではZ→Z-1となる。…
…放射性同位体が放射性崩壊するときに放出される粒子線,あるいは電磁波のことで,α線,β線,γ線をさして用いられるが,X線や,加速器ビームの照射によって生成する中性子線などの二次粒子線,宇宙線など,同じ程度あるいはそれ以上のエネルギーをもつ粒子線,電磁波を含めていうこともある。程度に差はあるが,一般に,物質中で透過力をもつことが特徴である。…
※「ベータ線」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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