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ギリシア神話で,冥府の王ハデスの妃。ゼウスと穀物豊穣の女神デメテルの娘。ニュサ(神話上の架空の地名)またはシチリア島のエンナの野で花を摘んでいたとき,彼女を見初めたハデスにさらわれ,地下の冥府へ連れ去られた。このため母神が娘の行方をたずねて世界中をさまよううち,地上に五穀が実らなくなったので,ゼウスの仲介により,彼女は春から秋までは天上で母神と,残りは地下で暮らすという条件で,冥府の女王になったという。彼女は一般にコレー(〈娘〉の意)と呼ばれ,デメテルとともにエレウシスを筆頭とするギリシア各地の秘教の二大女神であった。ローマ神話では,彼女の名がエトルリア語を経由して入ったため,プロセルピナProserpinaとなっている。
執筆者:水谷 智洋
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ギリシア神話の冥界(めいかい)の女王。ゼウスとデメテルの娘。ペルセフォネに恋した冥界の王ハデスは、彼女を地下の国へ引きさらっていき妻とした。デメテルはようやくのことで娘の居場所を探し当てるが、そのときすでに冥界のザクロを口にしていたペルセフォネは地上に戻ることができない。そこでゼウスが仲裁に入って、1年の3分の1を地下の夫のもとで、残りの3分の2を地上で過ごすことに決めた。これは蒔(ま)かれて(地下に隠れて)のち春に芽を吹いて甦(よみがえ)る穀物霊の神話である。彼女はデメテルとともに母子神として、エレウシスをはじめ各地の秘教で崇拝され、コレ(乙女(おとめ)神)あるいは二柱の神とよばれて本名をよぶことさえ恐れられた。
[中務哲郎]
…キプロスの王女ミュラが父親と交わり,没薬(ミュラ)の木と化して生んだ子。その美しさにうたれた女神アフロディテとペルセフォネが彼の争奪戦を演じたため,ゼウスの裁量で,彼は1年の4ヵ月をアフロディテと地上で,4ヵ月をペルセフォネと冥界で,残りは自分の好きなところで過ごすよう定められた。のち狩りの最中に猪に突き殺されたとき,その血潮からアネモネが,彼を悼むアフロディテの涙からバラが生じたという。…
…α星スピカから北西にのびる大きなY字形の星列である。ギリシア神話では,大神ゼウスと女神テミスの間に生まれた正義の女神アストライアとか,穀物神デメテルの娘ペルセフォネとか,デメテル自身の姿に見たてており,スピカはその手に握る麦の穂先に相当する。β星はアララフと呼ばれ,3.8等でスペクトル型はF8,32光年の距離にある。…
…ついで彼はテミスThemis(掟)をめとり,ホーライ(季節の女神たち),エウノミエEunomiē(秩序),ディケDikē(正義)などを生む。さらにデメテルによりペルセフォネを,レトによりアポロンとアルテミスとを得,最後にヘラと結婚し,彼女が正妻となる。ゼウスは人間の女との間にも多数の子をもうける。…
…ギリシア各地に出土しているが,アテネのアクロポリスで発見された一群のコライが有名である。なお,デメテルの娘ペルセフォネもコレーと呼ばれる。クーロス【中山 典夫】。…
…【飯島 吉晴】
[シンボリズム]
ザクロは種子が多いので,古代ギリシア・ローマでは豊穣(ほうじよう)のシンボルであった。ギリシア神話では,少女ペルセフォネが冥府の王に地下界へ連れ去られたときに,そこでザクロを食べさせられたために地上への完全復帰が不可能となり,一年の3分の1は地下界で,残りは地上でという生活をせざるをえなくなったといわれる。ザクロが冥府の食物だということは,冥府つまり大地が穀物の種子をはぐくみ豊かな収穫をもたらすという事実と,ザクロに種子が多いという事実との観念連合に基づくものであろう。…
…ローマ人からはケレスと同一視された。クロノスとレアの娘で,冥府の女王ペルセフォネの母。彼女についての有名な神話を語る《ホメロス風賛歌》中の〈デメテル賛歌〉(前7世紀末ころ)によれば,彼女がゼウスとの間にもうけた娘のペルセフォネが冥府の王ハデスに誘拐されたとき,娘を求めて世界中をさまよった母神は,アテナイ近郊のエレウシスに来て王ケレオスKeleosの子の乳母となった。…
…その中で最も有名なものは,ギリシアのアッティカ地方の町エレウシスで行われていた密儀で,地名にちなんで〈エレウシス密儀〉とよばれている。密儀の主神はデメテルとその娘ペルセフォネ(コレー)であった。祭儀はボエドロミオンの月(太陽暦の9月なかばから10月)の13日から22日ないし23日にかけて行われたが,この月は刈入れと秋の種まきの中間期で,穀物の霊が死んで冥界に下降すると信じられた季節にあたる。…
※「ペルセフォネ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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