ホモエレクトス(その他表記)Homo erectus

改訂新版 世界大百科事典 「ホモエレクトス」の意味・わかりやすい解説

ホモ・エレクトス
Homo erectus

更新世の原人の一種。アフリカ,アジア,ヨーロッパで化石が発見されるが,アフリカのホモ・エレクトスを別種と見なして,ホモ・エルガスターとすることもある。エレクトスは直立という意味。模式標本は,1891-92年にデュボアE.Duboisがジャワ島トリニールで発掘した頭骨(Trinil 2。オランダのライデン国立自然史博物館で公開展示されている)。ヨーロッパで発見される同様な化石については,ホモ・エレクトスなのか別種なのか(イタリアのホモ・チェプラネンシスやスペインのホモ・アンテセソールなど),見解が定まっていない。年代は190万~4万年前と推定されているが,地域によって差が大きい。

 アジアのホモ・エレクトスは,以前からインドネシアサンギランガンドン,中国の周口店藍田などで発見されていて,年代はアフリカのエレクトスより新しく,120万年前あるは100万年前以降であり,低く広く長い脳頭蓋,大きな頭蓋腔容積(800~1200ml,脳容積より10%ほど大きいので注意),大柄な体つき(155~170cm)が特徴と考えられた。したがって,原人のユーラシア拡散は,このように進歩的な特徴をもった人類によって果たされたと考えられていた。しかし,最近になってグルジア(ジョルジア)のドマニシ遺跡で,約175万年前の地層から,やや小柄(145~165cm)で,頭蓋腔容積も小さな(600~750ml)化石が数多く発見されると,脳も身体も小さな原始的特徴をもった人類が古くからユーラシアに拡散していたことが明らかになった。なお,ドマニシの化石はホモ・エレクトスではなく別種のホモ・ジョルジクスとも呼ばれるが,多くの賛同を得ているわけではない。また,ドマニシの化石は大きさの違いが著しいが,2種の人類がいたのか,男女の違い(性差)なのか議論されている。

 ホモ・エレクトスの使った石器は,初めはオルドバイ型の剥片が多いが,140万年ほど前からアシュール型のハンド・アックス(握斧)が目立つ。なお,ハンド・アックスは,インドより西では多いが,東アジアでは希であり,実際には,ハンド・アックス以外に多くの剥片石器が使用されたらしい。ホモ・エレクトスは温帯北部にも分布しているので,雪の降る冬には動物を積極的に狩って,肉を手に入れていたと考えられている。とくにドマニシでは歯のない老人個体の頭骨が発見されていて,軟らかい肉を与えるなどの世話がなされていた証拠といわれている。
原人 →ドマニシ →ホモ・アンテセソール →ホモ・エルガスター →ホモ・ジョルジクス →ホモ・チェプラネンシス
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

最新 地学事典 「ホモエレクトス」の解説

ホモ・エレクトス

学◆Homo erectus

更新世前期~中期(約170万~25万年前)にアフリカ・アジア・ヨーロッパに住んでいた人類の種名。原人。語源は「直立人」。1890~1930年代に,更新世中期のジャワ原人,北京原人やハイデルベルク人の化石が発見され,現代人と類人猿とのミッシングリンクと認識された。その後Australopithecusこそがミッシングリンクであって,彼らは我々と同じホモ属の仲間との認識から,Homo erectusと呼ばれる。1960年代からアフリカで前期更新世のHomo erectus化石を相次いで発見。頭蓋容量は800~1,200mLで,すでに完全に直立し,ハンドアックスなどの石器をつくっていた。火を使い,簡単な言葉もしゃべったらしい。

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