日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ボーエン(Norman Levi Bowen)
ぼーえん
Norman Levi Bowen
(1887―1956)
アメリカの岩石学者。カナダのオンタリオ州キングストンに生まれる。1909年、同地のクイーンズ大学を卒業、アメリカに移りマサチューセッツ工科大学に就学した。1912年、新設まもないカーネギー研究機構の地球物理学実験所の所員となり、1952年に引退するまでそこで研究に従事した。岩石学における実験研究の重要性に早くから注目、珪酸塩(けいさんえん)融体の結晶作用の精密な室内実験を行い、近代的実験岩石学の創始者となった。1922年、岩石学における反応原理を提唱し、火成岩マグマはそれまで考えられていたように共融系融体ではなく、晶出結晶と残液とが反応する反応系であることを明らかにした。この理論は近代火成岩成因論の基礎となり、それを展開した主著の『火成岩の進化』(1928)は、岩石学の古典の一つとなった。
[橋本光男]
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