デンマークの代表的自然主義作家。田舎(いなか)牧師の子に生まれる。コペンハーゲンの師範学校理工科に学ぶが、1879年中途退学、同年処女作の小説『教会の舟』を発表して作家の道に入り、一時実兄の経営する国民高等学校教師を務める。短編集『田舎町の画面』(1883)をはじめ『小屋から』『幽霊』『雲』など暗鬱(あんうつ)な農村生活を描く自然主義的作品で知られたが、しだいに初期のグルントビー的な農村賛美に批判的となる。三部作『約束された土地』(1891~95)は宗教的民衆運動とその指導者の真理探求の悲劇的苦闘を描く大作で、その名声により作者は国民作家の地歩を築く。『記録』(1890)は彼には珍しい浪漫(ろうまん)的童話集。それ以後は『幸福なペール』全8巻(1898~1904)、『死者の王国』全5巻(1912~16)、4巻の回想録などが代表作。これらの作品ではポントピダンは教会とキリスト教を離れ、個我の展開を追求しているかにみえる。1917年、同じデンマークの作家ギェレルプとともにノーベル文学賞を受賞。
[山室 静]
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…70年代にフランス・イギリス型の自然主義が文芸批評家ブランデスによって導入され,彼は心理描写にすぐれた無神論者ヤコブセン,シャーンドーフSophus Schandorph(1836‐1901),一時期のドラクマンやギェレループらの〈現代転換派〉を世に出した。ギェレループとともに1917年ノーベル文学賞を受けたポントピダンは独自に個性の解放を目ざした。ブランデスの陣営外にあった文人としては,さらにリアリズム作家バングらがいる。…
※「ポントピダン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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