第一次世界大戦後、ドイツ領からポーランド領に編入された地域のうち、東ポモジェ(西プロイセン)とポズナニ(ポーゼン)地方とをさし、ポーランドの海への通路という意味でつけられた呼称。この地は、古くからポーランドが支配してきたが、第一次・第二次ポーランド分割によってプロイセン領となっていた。1938年10月24日ヒトラーは、回廊を通過して東プロイセンとドイツ本国とを結ぶ、治外法権をもった自動車道路と鉄道の建設を要求してきたが、ポーランド政府はこれを拒否したため、翌年9月1日ドイツのポーランド侵攻が始まり、この地域の問題が第二次世界大戦の発火点となった。
[安部一郎]
ヴェルサイユ条約によって,ポーランドの海への出口として与えられた旧ドイツ領地帯。この地帯にはドイツ人も居住し,また,東プロイセンのドイツ本国との分離は,ドイツにとって不利であったので,ナチスの政権掌握後はダンツィヒと並んで,ドイツとの係争問題となった。ヒトラーは1935年回廊を通過する鉄道,道路の設置を要求したが,ミュンヒェン会談以降さらにその要求を積極化した。39年3月からダンツィヒと回廊をめぐるドイツ‐ポーランド交渉は国際問題となったが,武力侵略を意図するドイツの態度は強硬で,交渉は失敗し,第二次世界大戦の導火線となった。現在はポーランド領に復している。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
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