モズ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

モズ

(1) Lanius bucephalus; bull-headed shrike スズメ目モズ科。全長 20cm。雄は頭上から背が灰褐色,胸腹部は淡褐色を帯びた白色で,眉斑は白く,黒色の太い過眼線がある。は黒褐色で,飛ぶとよく目立つ白斑がある。雌の翼の白斑は非常に小さく,眉斑は灰褐色であまり目立たない。ウスリー地方からアムール地方,サハリン島東アジア北部に繁殖分布し,北方で繁殖するものは南方に渡って越冬する。日本では全国各地で繁殖し,おもに本州中部以南で越冬する。枝や杭などの上に留まって獲物を探索し,昆虫類やカエル,トカゲなどを見つけると舞い降りてとる。ときには自分より大きなツグミほどの大きさの鳥もとる。捕えた獲物はその場で食べることもあるが,枝上で押さえつけるか,樹木のとげやとがった枝などに突き刺すかして引き裂いて食べる。また,獲物や食べ残しを木の枝などに突き刺しておいてあとで食べる「モズのはやにえ(早贄)」をする。モズの高鳴きとして知られる「きぃーきぃーきぃー,きちきちきち」という鳴き声は,秋季に 1羽ずつ構える越冬期のなわばりを宣言している。漢字で百舌と書くように,早春と初秋にはさまざまな鳥の鳴き声をまねてさえずる(→さえずり)。
(2) Laniidae; shrikes スズメ目モズ科の鳥の総称。4属 33種からなる。全長 14~50cm。頭がやや大きく,先端がかぎ状になった鋭いをもち,足の爪も鋭い。尾はやや長く,全体として細身な種が多い。ユーラシア大陸とアフリカに分布するほか,北アメリカに 2種,ニューギニア島に 1種生息する。おもに温帯から熱帯域に分布し,ユーラシア大陸と北アメリカの北部で繁殖する鳥は南に渡って越冬する。低木の散在するステップサバナ,農耕地などのほか,少数が森に生息する。肉食で,昆虫類から小鳥,小型哺乳類まで獲物にし,「はやにえ」の行動を見せる。繁殖期にはつがいで,非繁殖期には単独でなわばりをもつ。

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百科事典マイペディアの解説

モズ

モズ科の鳥。翼長8.5cm。頭頂,後頸は赤褐色で,翼は灰黒色。雄は顔に黒い過眼線をもつ。朝鮮半島,中国,日本などで繁殖。日本では全国で繁殖し,北のものは冬,暖地へ渡る。低地〜山地のやぶに巣を作り,一年中群は作らない。昆虫,ミミズ,ネズミ等を食べ,捕らえた獲物をとがった枝に刺す習性があり,〈モズのはやにえ〉として知られる。秋にはキーッ,キイキイと高く鳴く。よくカッコウに托卵される。日本で見られるモズ類には夏鳥のアカモズチゴモズ,冬鳥のオオモズ,オオカラモズなどがある。チゴモズは絶滅危惧IA類,アカモズは絶滅危惧IB類(環境省第4次レッドリスト)。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

モズ
もず / 百舌・鵙
shrike

広義には鳥綱スズメ目モズ科に属する鳥の総称で、狭義にはそのうちの1種をさす。この科Laniidaeの仲間は主として旧世界の鳥で、中央・南アメリカ、オーストラリア、ニューギニア島、ニュージーランド、マダガスカル島、グリーンランドを除く地域に広く分布する。70種(74種とする説もある)が知られ、とくにアフリカに多種を産する。全長15~38センチメートル。一般に嘴(くちばし)は強く、先が鉤(かぎ)状であり、嘴毛(しもう)をもつ。足や指も強く、物をしっかりつかむことができる。尾は長いものが多く、それを振る動作をよく行う。紅、黄、緑など鮮やかな色の組合せのものや、黒、灰、白、茶色などの組合せのものが多く、雌雄も同色のものが多い。肉食性で、昆虫、小鳥、爬虫類(はちゅうるい)、小哺乳類(ほにゅうるい)などをとらえる。大多数の種が、いわゆる「はやにえ」をつくる習性をもち、とらえた小動物をとがった木の枝などに刺す。一般に林や農耕地、草原が点在した疎林や林縁部に生息し、高い木の先などに止まって餌(えさ)を探し、地上でとらえる。巣は林縁の低木の中などに、小枝、枯れ草、羽毛などを使って椀(わん)形につくる。4~5卵を産むものが多いが、2~8卵のものもある。日本ではモズ、チゴモズ、アカモズ(亜種ウスアカモズを含む)、オオモズ、オオカラモズの5種が知られている。このうち、オオカラモズLanius sphenocercusはアジア大陸東部に生息し、日本ではまれに冬季に少数が迷行してくるのみである。
 種のモズL. bucephalusは全長20センチメートル。アジア大陸東部の温帯地域に分布する。日本ではもっとも一般的で、分布も広い。全国で繁殖しているが、本州北部や北海道では夏鳥である。秋季、本州以西の平地では大きな声で鳴く姿をよくみることができる。この声を昔からとくに「高鳴き」とよんでいる。これは、肉食性のモズが餌の少ない冬季を過ごすための縄張りを確保する目的のためと考えられている。繁殖は他の鳥よりも早く、関東地方の平地でも4月初旬には巣立ちがみられる。[柳澤紀夫]

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