ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヨハネ[ダマスカス]」の意味・わかりやすい解説
ヨハネ[ダマスカス]
Joannes Damascenus
[没]749.12.4.
ギリシアの教会博士,聖人。ダマスカス出身の東方教会の著名な神学者。アラビアの年代史ではマンスール・ベン・サルユム。父セルギウスはキリスト教徒で,征服者であったサラセンのカリフのもとで高官であり,ヨハネは父の官位を継いだ。カリフはヨハネを重用し,限られた地方ながらも政治権力をゆだねたので,アラブに納税しながらもキリスト教の自治体を形成しえた。ギリシア,アラブの両語をよくし,キリスト教とイスラム教の対立と共存を体験し,キリスト教内部でも東西両協会の間に立った。しかし彼はビザンチン皇帝レオ3世の禁止した聖画像擁護のためいくつかの論文を著わしたあと,財産を捨てて聖サバ修道院に入りそこで余生をおくった。その間エルサレムの総大司教によって司教に任じられ,のち聖画像破壊論者との論争のためシリアやコンスタンチノープルを訪れた。主著『知識の泉』 Pēgē gnōseōs。
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