レイシ(果樹)(読み)れいし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「レイシ(果樹)」の意味・わかりやすい解説

レイシ(果樹)
れいし / 茘枝
[学] Litchi chinensis Sonn.

ムクロジ科(APG分類:ムクロジ科)の小高木。中国南部原産の果樹で、熱帯地方で広く栽培される。英名ライチlitchi, lichee, lycheeでよばれることもある。高さ10~15メートルで、低部から多くの枝を張り出す。葉は4~5対の偶数羽状複葉。小葉は長さ15センチメートル、幅約4センチメートル、短い葉柄があり、革質で、表面は光沢のある濃緑色、裏面は灰緑色。枝端に大きな円錐(えんすい)花序をつけ、500~1000個の花をつける。雌花雄花、両性花の3種があるが、雄花は他花の7~10倍も多い。花は淡黄緑色、萼(がく)は4~5片が集まってコップ状になり、花弁はない。果実は卵形、または円心形で、縦径3~4センチメートル、横径2.5~3センチメートル、果皮はやや堅くてもろく、表面に中央の突出した甲状の裂紋がある。果肉は種衣(しゅい)で、白色半透明、水分に富み、少々酸味はあるが甘く、独特の芳香がある。種子楕円(だえん)形、暗褐色で光沢があり、デンプンを含む。果実は生食され、中国南部では果物の王といわれる。生果は凍結貯蔵もでき、乾果は缶詰にする。

 繁殖実生(みしょう)苗、取木共台による呼び接(つぎ)、切り接などによる。接木用の穂木(ほぎ)はあらかじめ環状剥皮(はくひ)を行い、接穂の貯蔵養分を高めておくと成績がよい。亜熱帯地方で、湿潤な酸性土壌でよく育つ。日本では鹿児島一部で栽培されている。

[飯塚宗夫 2020年9月17日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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