レクイエム

デジタル大辞泉 「レクイエム」の意味・読み・例文・類語

レクイエム(〈ラテン〉requiem)

カトリック教会で、死者のためのミサ。典礼文の冒頭語がRequiem(安息を)であるところからいう。
1のために作られた楽曲。鎮魂ミサ曲
[補説]書名別項。→れくいえむ

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精選版 日本国語大辞典 「レクイエム」の意味・読み・例文・類語

レクイエム

  1. 〘 名詞 〙 ( [ラテン語] requiem )
  2. [ 一 ] カトリック教会・ルター派教会・聖教会一部で行なわれる死者のためのミサ。入祭文が requiem (安息を)で始まるところからいう。
  3. [ 二 ] [ 一 ]のための楽曲。正しくは「死者のためのミサ曲」。一般には「鎮魂曲」と訳される。モーツァルトベルリオーズフォーレらの名曲がある。
    1. [初出の実例]「自分がいま耳にしているコーラスの叫び声がレクイエムのそれだ」(出典:司令の休暇(1970)〈阿部昭〉一)

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百科事典マイペディア 「レクイエム」の意味・わかりやすい解説

レクイエム

ローマ・カトリック教会で行われる死者のためのミサ典礼。入祭文,(求憐誦),昇階誦,詠誦,続誦〈怒りの日〉,奉献文,(三聖誦),(神の小羊),聖体拝領からなり,入祭文が〈レクイエム(安息を)〉で始まるためこの名がある。作曲されたもの(鎮魂ミサ曲)では,オケヘムパレストリーナビクトリアモーツァルトベルリオーズベルディドボルジャークフォーレデュリュフレらのラテン詩句による諸作のほか,シュッツブラームスなどのドイツ語による〈ドイツ・レクイエム〉が有名。W.オーエンの英語の詩をラテン語典礼文とともに用いたブリテンの《戦争レクイエム》も名曲として知られる。→ミサミサ曲
→関連項目ケルビーニ

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改訂新版 世界大百科事典 「レクイエム」の意味・わかりやすい解説

レクイエム
requiem[ラテン]

(1)ローマ・カトリック教会で行われる死者のためのミサ典礼をいう。その名はこのミサの入式文の冒頭句,〈彼らに永遠の安息を与え給え〉の最初の語requiem(〈安息を〉の意)による。ミサではあるが,〈グロリア〉と〈クレド〉は用いられず,福音書朗読の前に,〈怒りの日dies irae〉で始まる長大な続唱がある。教会暦中では11月2日の〈諸死者の日〉(万霊節)に行われるが,随意ミサとして個人の葬儀や命日にも行われる。14世紀に基本的形態が確立され,トリエント公会議以後,続唱が加えられるなどの変化を経て現在に至っている。

(2)〈死者のためのミサ〉の式文に作曲した音楽。〈鎮魂ミサ曲〉などと訳される。グレゴリオ聖歌に始まり,15世紀後半から合唱曲の形でも作曲されるようになった。オケヘム,ラッソ,パレストリーナ,T.L.deビクトリアなどの作品がある。1600年以後は独唱,合唱,管弦楽からなる大規模な作品が作られるが,しだいに演奏会用の性格が強くなる。モーツァルトの《レクイエム》は未完であったが,弟子が完成させたもので,古典主義的であるよりもむしろバロック様式に近い。19世紀ではベルリオーズ,ベルディ,フォーレの作品が有名であるが,リスト,サンサーンス,ブルックナー,A.ドボルジャークも作曲しており,20世紀ではM.デュリュフレ,リゲティがあげられる。上述の諸作品がカトリック教会のラテン語の詩句によるのに対し,各国語の自由な詩句によるレクイエムも存在する。いわゆる〈ドイツ・レクイエム〉がその例で,H.シュッツ,シューベルト,ブラームスらによって作られた。またブリテンの《戦争レクイエム》も,自由な詩句による演奏会用の作品である。
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デジタル大辞泉プラス 「レクイエム」の解説

レクイエム

米国の作家ジェイムズ・エルロイの処女ミステリー(1981)。原題《Brown's Requiem》。1998年ジェイソン・フリーランド監督で映画化。

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