デジタル大辞泉
「刻」の意味・読み・例文・類語
こく【刻】
1 きざむこと。彫りつけること。
2 (「剋」とも書く)旧暦の時間および時刻の単位。漏刻の漏壺内の箭に刻んである目盛りから。
㋐一昼夜を48等分した一。一時の4分の1。
㋑一昼夜を100等分した一。1日を一二時とし、日の長短によって差はあるが、平均して一時は8刻3分の1にあたる。春分・秋分は昼夜各50刻、冬至は昼40刻で夜60刻、夏至はその逆となる。
㋒一昼夜を12等分した一。午前零時を子の刻とし、以下順次丑の刻、寅の刻のように十二支に配する。時ともいう。1刻をさらに四つに分け、丑三つなどといい、また、1刻を上・中・下に3分し、寅の上刻、寅の下刻などの言い方をする。不定時法の場合は、昼(夜明けから日暮れまで)と夜(日暮れから夜明けまで)をそれぞれ6等分する。季節によって昼夜の長さが異なるため、昼と夜で一刻の長さが異なる。
[補説]書名別項。→刻
きざ【刻/▽段】
きざみつけた筋。きざみめ。
「引かかるよう、―が入れてあるのじゃから」〈鏡花・高野聖〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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こく【刻】
- 〘 名詞 〙
- [ 一 ] きざむこと。彫りつけること。
- [初出の実例]「その残篇五冊、ここに刻(コク)成て、初て全部す」(出典:読本・椿説弓張月(1807‐11)残)
- [その他の文献]〔史記‐始皇本紀〕
- [ 二 ] ( 「剋」とも ) 旧暦における時間および時刻の単位。水時計の一種である漏刻の漏壺内の箭(や)の示す刻んだ目盛に由来する。十二支また序数の下に付いて助数詞として用いられる。
- ① 一昼夜を等分に分けて示す定時法の場合。
- (イ) 一昼夜を十二等分した一つ。午前零時を子の刻に置き、以下順次十二支に配するもの。「時(とき)」ともいう。
- [初出の実例]「七日戌刻、第三第四両船、火信不レ応」(出典:日本後紀‐延暦二四年(805)六月乙巳)
- (ロ) 一昼夜を四十八等分した一つ。十二支の各各に四刻ずつを配し、それぞれを一・二・三・四、また初・一・二・三の序数でよぶ。朝廷行事、日月食等に関して広く用いられた。「点」ともいう。〔令集解(868)〕
- (ハ) 一昼夜を百等分した一つ。天文、暦法上の記述に広く用いられた時法で、十二支の各々に八刻三分の一ずつを配するものと、十二支の各々を初・正に分け、その各々に四刻六分の一ずつを配するものがある。
- [初出の実例]「日蝕十五分三半弱、虧初寅七刻八十三分、加時卯一刻
六分、復末卯三刻卅七分」(出典:左経記‐長元元年(1028)三月一日)
- (ニ) 一昼夜を五十等分した一つ。十二支の各々に四刻六分の一ずつを配するもの。具注暦の太陽の出入時刻の表示に見られる。
- (ホ) 一昼夜を九十六等分した一つ。十二支の各々を初・正に分け、その各々に四刻ずつを配するもの。江戸後期に見られる。
- (ヘ) 一昼夜を百二十等分した一つ。十二支の各々に十刻ずつを配するもの。
- ② 昼と夜をそれぞれ六等分して示す不定時法の場合。昼夜の境が季節によって一定しないので、季節により昼夜により一刻の長さを異にする。
- (イ) 一日を十二支に配した一つ。
- [初出の実例]「昼と夜とは十二の時刻に分割される。昼が六つ、夜が六つに分けられ、その時刻を Cocu(コク)またはトキと呼ぶ」(出典:ロドリゲス日本大文典(1604‐08))
- (ロ) 十二支の各々に三刻ずつを配した一つ。それぞれ上・中・下の序数でよぶ。
- [初出の実例]「今夜丑下刻、東隣放火、猛勢襲来揚二時声一」(出典:実隆公記‐文明一八年(1486)四月三日)
- [ 三 ] ( 形動 ) =こく(酷)②③
- [初出の実例]「徳莫レ大レ於レ仁、禍莫レ大レ於レ刻(コク)」(出典:文明本節用集(室町中))
刻の語誌
( 1 )[ 二 ]の時法として古く用いられたものは①(イ)(ロ)における定時法の「刻」で、朝廷内や暦法上では江戸中期まで行なわれた。室町期以降は不定時法、すなわち②(イ)(ロ)の「刻」が広くみられ、江戸時代に一般にみられるものはこれである。
( 2 )この不定時法の「刻」は、朝の薄明の始め、夕方の薄明の終わりを、それぞれ卯・酉の真中とするか、あるいは卯・酉の始めとするかによって二様の解釈があり、この違いによって半刻の相違が生じてくる。
きざみ【刻】
- 〘 名詞 〙 ( 動詞「きざむ(刻)」の連用形の名詞化 )
- ① 切って細かくすること。また、刻み目。きだみ。
- [初出の実例]「凡そ駅馬・伝馬給ふことは、皆鈴・傅の符(しるし)の剋(キサミ)の数に依れ」(出典:日本書紀(720)大化二年正月(北野本訓))
- 「時計の針は三時を指し終わって次の一分目のきざみに移ろうとしていた」(出典:オールド・ノース・ブリッジの一片(1968)〈島尾敏雄〉)
- ② 階級。等級。身分。
- [初出の実例]「今一きざみの位をだにと、贈らせ給ふなりけり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)桐壺)
- ③ 折。時。場合。時節。
- [初出の実例]「とあらむ折も、かからんきざみをも、見過ぐしたらん中こそ、契深くあはれならめ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
- 「笠置の城攻め落さるる刻(キサミ)、召し捕られ給ひし人々の事」(出典:太平記(14C後)四)
- 「若殿桂之助どの在京の刻(キザミ)、藤浪どのの艷色に迷ひ」(出典:読本・昔話稲妻表紙(1806)四)
- ④ 時間、長さなどにおいて、規則正しく短い間隔をとること。また、その一つ一つの間隔。「五分刻み」のように、接尾語的用法もある。
- [初出の実例]「腐れたる黄金の縁の中、自鳴鐘(とけい)の刻み」(出典:邪宗門(1909)〈北原白秋〉魔睡・室内庭園)
- ⑤ 「きざみタバコ(刻煙草)」の略。
- [初出の実例]「山科、藪の下たはこの名物、此きざみをのんで輪をふけば」(出典:浮世草子・好色旅日記(1687)二)
- ⑥ 能楽で、撥(ばち)を低く扱い、太鼓、鼓などを小刻みに軽く打つこと。また、その音。
- [初出の実例]「鼓、其うたいのやうに打つべし。京がかりは、きざみに力を入れてかしらのごとし」(出典:禅鳳雑談(1513頃)中)
- ⑦ 歌舞伎で、幕になる時、拍子木を小刻みに、しだいにゆるやかに打つこと。
- [初出の実例]「これをキザミにて拍子。幕」(出典:歌舞伎・梅柳若葉加賀染(1819)四立)
- ⑧ 浄瑠璃で、文句を一語一語、区切って語ること。
- ⑨ 為替相場の高低する単位。あゆみ。
- ⑩ 病人や老人向けに、細かくきざんで出す食事のおかず。
きだみ【刻】
- 〘 名詞 〙 =きざみ(刻)①
- [初出の実例]「語云刻ぬ事は勿論なれどもきたみがなうてわ五の惣頌ぢゃほどに五位参尋して切に要レ知」(出典:史料編纂所本人天眼目抄(1471‐73)三)
- 「天中にきだみの度が三百六十五あるぞ」(出典:四河入海(17C前)九)
きざ【刻】
- 〘 名詞 〙 きざみつけた筋。きざみめ。
- [初出の実例]「剋と云は矢に百剋のきさをする程にぞ」(出典:古活字本毛詩抄(17C前)五)
- 「木の丸太を渡る〈略〉引かかるやう、刻(キザ)が入れてあるのぢゃから」(出典:高野聖(1900)〈泉鏡花〉一七)
きざめ【刻】
- 〘 名詞 〙 ( 「きざみ(刻)」の変化した語 ) 時。折。時節。場合。
- [初出の実例]「皆女房の数、大人・若人のきざめなど、おぼし知り集めさせ給へり」(出典:栄花物語(1028‐92頃)御裳着)
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「刻」の読み・字形・画数・意味
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刻
時間・時刻の単位のこと。様々な長さの「刻」があり、時代や地域によっても、複数の刻が使用されていた。基本的に、一刻は二時間としている。
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