片時(読み)へんじ

精選版 日本国語大辞典 「片時」の意味・読み・例文・類語

へん‐じ【片時】

〘名〙 (古くは「へんし」) すこしの間。ちょっとの間。しばし。暫時。かたとき。
万葉(8C後)五・八一一左詞文「敬奉徳音、幸甚幸甚、片時覚、即感於夢言慨然不止黙、故附公使聊以進御耳」
仮名草子伊曾保物語(1639頃)上「我にへんしのいとまをたべ」 〔江総‐閨怨篇〕

かた‐とき【片時】

〘名〙 (「かたどき」とも) 一時(ひととき)半分。わずかの間。ちょっとの間。へんじ。
※竹取(9C末‐10C初)「物思ひには、かた時になん、老いになりにけりと見ゆ」
源氏(1001‐14頃)若紫「今はましてかたときのまもおぼつかなかるべし」
※落語・佃祭(1895)〈四代目橘家円喬〉「片時(カタドキ)も貴方様のことは忘れやア致しません」

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デジタル大辞泉 「片時」の意味・読み・例文・類語

かた‐とき【片時】

一時ひとときの半分の意》ほんのしばらくの間。ちょっとの間。へんじ。「片時も目が離せない」
[類語]一刻寸秒寸刻寸時ちょっと瞬間一瞬瞬時刹那一刹那とっさ数刻束の間たまゆら須臾しゅゆ電光石火短いしばらしば暫時少時ひとしきり時の間瞬く間見る間に一時いっとき一時ひととき半時寸陰短時間一時一時的かりそめ短日月短時日一朝一朝一夕はかないあっと言う間間髪をれず

へん‐じ【片時】

《古くは「へんし」》ちょっとの間。わずかな時間。かたとき。「片時も心が休まらない」

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普及版 字通 「片時」の読み・字形・画数・意味

【片時】へんじ

しばし。唐・岑参春夢〕詩 枕上、片時、春の中 行き盡す、江南の數千里

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