思い遣る(読み)オモイヤル

デジタル大辞泉 「思い遣る」の意味・読み・例文・類語

おもい‐や・る〔おもひ‐〕【思い遣る】

[動ラ五(四)]
他人身の上心情を推し量って、同情する。また、配慮する。「被災者生活を―・る」
遠く隔たっている人や物事を思う。思いをはせる。「故郷の母を―・る」「老後を―・る」
(「おもいやられる」の形で)悪くなりそうだと心配される。案じられる。「これからが―・られる」
うれいを追い払い、心を慰める。気を晴らす。
「―・る方もしられず苦しきは心まどひのつねにやあるらむ」〈後撰・雑四〉
[類語]あわれむ思うおもんぱかいとおしむほだされる痛ましい痛痛しいいたわしい可哀そう忍びない見るに忍びない見るに堪えない身につまされる不憫ふびん気の毒忖度推察拝察高察賢察明察憫察びんさつ推測推量推考端倪たんげい邪推類推酌量了察推認推断推定斟酌しんしゃく憶測配慮揣摩しま揣摩憶測しまおくそく察し心配り気配り心遣い気遣い推し量る酌む酌み取る思い思い勘繰る推し当てる心当て気を回す見越す察する感じ取る

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「思い遣る」の意味・読み・例文・類語

おもい‐や・るおもひ‥【思遣】

  1. 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙
  2. [ 一 ] ( 「やる」は追いやる、追放する意 ) 恋愛心配事などのため陥っている重苦しい気持を追い払う。気をはらす。心を慰める。憂いを紛らす。
    1. [初出の実例]「天離る 鄙にはあれど 我が背子を 見つつしをれば 於毛比夜流(オモヒヤル) 事もありしを」(出典万葉集(8C後)一七・四〇〇八)
  3. [ 二 ] ( 「やる」は遠くへ送る意 ) 眼前にない人や物に思いをはせる。
    1. 空間的に、また、時間的に、遠くのものをはるかに思う。想像する。推察する。
      1. [初出の実例]「思やるこしの白山知らねどもひと夜も夢にこえぬ夜ぞなき〈紀貫之〉」(出典:古今和歌集(905‐914)雑下・九八〇)
    2. (人の身の上、心情などについて)思い巡らす。気を配る。おしはかって気づかう。
      1. [初出の実例]「あひ見むことのかたき道に出で立つ。父母・俊蔭、悲しびおもひやるべし」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)

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