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刑事補償 けいじほしょうEntschädigung des Beschuldigter

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

刑事補償
けいじほしょう
Entschädigung des Beschuldigter

起訴されたが,結局無罪と判定された者 (再審により無罪となった者を含む) に対し,未決勾留や刑の執行による財産上および精神上の損失を填補補償する制度をいう。憲法 40条を受けて刑事補償法 (昭和 25年法律1号) が制定され,これによって運用されている。 2003年現在,補償金額は勾留,自由刑など自由の不当な拘束に対しては,1日 1000円以上 12500円以下の割合で決定され,死刑の執行に対する補償は 3000万円以内,ただし本人の死亡による財産上の損失額に 3000万円を加えて決定する。財産刑に対しては徴収金額に年5分の金額を加算する。もっとも,虚偽の自白をするなど,みずからの作為により有罪の裁判を受けるにいたった者は,この補償の一部または全部を受けえないことがある。なお,不起訴処分を受けた被疑者には,被疑者補償規程がある。 (→被害者補償 )

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

刑事補償

通常の刑事裁判や再審で無罪判決を受けた場合、元被告は不当な身柄の拘束について国に補償金を求めることができる。刑事補償が決まった最近の主な事件では、戦時下最大の言論弾圧事件とされる「横浜事件」や富山県氷見市で起きた強姦(ごうかん)事件で服役後に真犯人が現れた「氷見事件」などがある。

(2011-01-13 朝日新聞 夕刊 1総合)

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デジタル大辞泉の解説

けいじ‐ほしょう〔‐ホシヤウ〕【刑事補償】

無罪の裁判を受けた者、または免訴公訴棄却の裁判を受け、もし免訴・公訴棄却の事由がなかったならば無罪の裁判を受けたであろうという十分な理由のある者に対し、その抑留拘禁、刑の執行または拘置について国が行う補償。

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百科事典マイペディアの解説

刑事補償【けいじほしょう】

罪を犯さなかったにもかかわらず未決の抑留拘禁または刑の執行を受けた者に対してその受けた損害を国家が補償すること。憲法第40条に基づき刑事補償法(1950年)が制定されている。

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世界大百科事典 第2版の解説

けいじほしょう【刑事補償】

犯人でないのに誤って刑事裁判の被告人とされた者へ,国がその損害の埋合せのために行う給付。 刑事補償は,刑罰権実現のための訴追が国家の手によって行われる社会で初めて問題となる。しかし,訴追が国家権力の作用として行われるようになっても,君主が無制限の権力を保持し,個人の自由が尊重されない絶対主義の時代には,国家の義務としての刑事補償制度は成立せず,せいぜい君主の施す恩恵として,冤罪(えんざい)に問われた者への補償が行われたにとどまる。

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大辞林 第三版の解説

けいじほしょう【刑事補償】

抑留・拘禁・刑の執行・拘置を受けた者が無罪の裁判(再審も含む)を受けた際に、その被った被害について、請求により国が損害賠償すること。1950年(昭和25)制定の刑事補償法がその要件・手続きを規定する。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

刑事補償
けいじほしょう

無罪・免訴・公訴棄却の裁判を受けた者、または被疑者に対し、一定の場合にその抑留、拘禁、刑の執行または拘置に対して国が行う補償をいう。憲法は無罪の裁判を受けた者に補償請求権を認め、刑事補償が国家の義務的なものであることを明らかにした(憲法40条)。刑事訴訟法による通常手続・再審または非常上告の手続において無罪の裁判を受けた者が、同法・少年法または経済調査庁法(昭和23年法律第206号)によって未決の抑留または拘禁を受けた場合には、その者は国に対して、抑留または拘禁による補償を請求することができる(刑事補償法1条1項)。上訴権回復による上訴、再審または非常上告の手続において、無罪の裁判を受けた者が、原判決によってすでに刑の執行を受け、または刑法第11条2項の規定による拘置(死刑執行までの拘置)を受けた場合にも、刑の執行または拘置による補償を請求することができる(刑事補償法1条2項。なお3項参照)。刑事訴訟法の規定による免訴または公訴棄却の裁判を受けた者であって、もし免訴または公訴棄却の裁判がなければ無罪の裁判を受けていたと認められる十分な事由があるときには、国に対して、抑留、拘禁、刑の執行、拘置による補償を請求することができる(刑事補償法25条、なお26条参照)。補償の内容は、抑留または拘禁による補償においては、その日数に応じて、1日1000円以上1万2500円以下の割合による額の補償金を交付し、懲役、禁錮もしくは拘留の執行または拘置による補償においても、同様である。死刑の執行による補償は、3000万円に財産上の損失額を加えた額の範囲内で交付し、罰金または科料の執行による補償についても、補償の内容が定められている(刑事補償法4条)。刑事補償があった場合でも、さらに国家賠償国家賠償法1条1項)の請求もできる(刑事補償法5条1項)。なお、検察官は、被疑者として抑留または拘禁を受けた者につき、公訴を提起しない処分があった場合において、その者が罪を犯さなかったと認めるに足りる十分な事由があるときは、抑留または拘禁による補償をするものとする(被疑者補償規定2条)。補償は、抑留または拘禁の日数に応じ、1日1000円以上1万2500円以下の割合による額の補償金を本人に交付して行う(同規定3条1項)。[内田一郎・田口守一]

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世界大百科事典内の刑事補償の言及

【国家賠償】より

…ただ,国家賠償はすでに生じた損害をあとから金銭で償うための救済制度であるので,現に公務員の不法行為や〈公の施設〉の瑕疵で被害を受けているものは,この制度で救済を求めることはできない(行政事件訴訟法の取消訴訟,民法上の差止請求権が利用される)。また,国家賠償と似た制度に刑事補償があるが,それは無罪判決を受けた者に,国に違法過失がなくとも,一定の金銭を支払って救済しようとするもので,広い意味での補償制度にはなるが,ここでいう国家賠償とは異なるし,また財産に対する補償でもないため損失補償とも異なる。国家補償損失補償【下山 瑛二】。…

※「刑事補償」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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