赤石山脈北東部,山梨県南アルプス市にあり,標高は3193m,日本第2の高峰。山名は白根三山の最北部に位置することによる。甲斐ヶ根,甲斐峰(かいがね)ともいい,古くは白根,白峰,白嶺などと呼ばれた。開山は,1871年(明治4),行者名取直江によってなされたという。山体は,東西方向に複背斜構造をあらわしている白根層群(白亜系)からなり,頂上部は緑色岩類からなる。北方または南方からみた北岳の山形は,ピラミッド状にみえる。東面の大樺(おおかんば)沢へ向かって急傾斜している大岩壁(比高600m余)は,〈北岳バットレス〉と呼ばれ,ロッククライミングの舞台となっている。北岳のお花畑は,特有の高山植物の生育地として有名で,キタダケソウは北岳特産の植物であり,ほかにもキタダケナズナ,キタダケキンポウゲ,キタダケヨモギ,キタダケデンダ,クモイカグモなどがある。北岳東方の大樺沢,西方の左俣沢,南方の北沢源流部などには,更新世に形成された氷食カールがある。かつては夜叉神峠などの峠を越えて入山しなければならなかったが,1962年野呂川林道が開通し,北岳北東麓の広河原で早川林道と結ばれてから登山者が急増した。さらに80年南アルプス林道が開通し,広河原は赤石山脈北部の登山,観光の拠点となった。
執筆者:有井 琢磨
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山梨県北西部、赤石山脈(あかいしさんみゃく)(南アルプス)北部にある富士山に次ぐ日本で第2位の高峰。南アルプス市に属する。標高3193メートル。間ノ岳(あいのたけ)、農鳥岳(のうとりだけ)とともに白根三山(しらねさんざん)あるいは白根山ともよばれる。粘板岩、千枚岩、チャートあるいは砂岩、輝緑凝灰岩などの古い岩石よりなる。南アルプスの展望台、夜叉神(やしゃじん)峠からの雄大な山容は格別である。東斜面の比高約600メートルの岩壁は「北岳バットレス」としてクライマーに知られ、大樺(おおかんば)沢の雪渓やキタダケソウなどの高山植物も著名。
登山路は、甲府からバスで夜叉神トンネルを越え広河原(ひろがわら)まで入り、白根御池(おいけ)経由が一般的である。
[吉村 稔]
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…中国,山西省の北東部にある山脈で,北東~南西の走向を示し,西は管涔(かんしん)山に接し,東は河北省境付近に達し,150kmにわたって連なり,桑乾(そうかん)河と滹沱(こだ)河の分水嶺をなす。主峰玄武峯(2017m)は渾源(こんげん)県の南東にあり,《水経注》では玄岳と呼ばれ,明代から中国五岳の一つの北岳恒山にあたるとされたが,〈禹貢〉以来明代まで北岳恒山として祭祀が行われたのは,河北省曲陽県北西の山西省境にある大茂山で,清代になって玄武峯で北岳をまつるようになった。【河野 通博】。…
…白峰(しらね)三山,白峰山,甲斐白根,甲斐ヶ根,甲斐ヶ嶺ともいう。山梨県中巨摩郡,南巨摩郡と静岡市にまたがり,赤石山脈の北東部にある北岳,間ノ岳(あいのたけ),農鳥岳の総称であるが,北岳だけを白峰と呼んだこともあった。南アルプス国立公園に属し,白根は雪でおおわれた白い山という意味で,勝沼付近からの冬の山容はその名にふさわしい。…
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