鴨川に架かる橋で、五条通(旧六条坊門小路)の東に位置。ただしこれは天正一八年(一五九〇)以降のことで、古くは現
旧五条橋は
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
京都,鴨川の五条通(1589年以前は松原通)にかかる橋。古くは清水寺への参詣路であったため清水橋とも呼ばれ,《百錬抄》保延5年(1139)6月25日条に〈清水寺橋供養也〉とみえる。また架橋費用を清水寺僧侶が勧進してまわったことから勧進橋の名もある。1408年(応永15)には慈恩なる者が浄財を提供,翌年春,長さ86丈余,幅24尺余の橋を完成させたともみえる(《本朝高僧伝》)。1589年(天正17),方広寺大仏殿造営に際し現在地(旧,六条坊門,現,五条通)に移転。造営奉行には増田長盛があたった。当初は大仏橋とも呼ばれたが,1653年(承応2)ころより五条橋と改められたという。慶長末年ころの洛中洛外図屛風には木造で擬宝珠を備えた五条大橋が描かれるが,17世紀中ごろ(一説に1645年)には石柱に改造されている。1711年(正徳1)の朝鮮通信使来日に際する修復記録では,長さ64間,幅4間8寸とある(《京都御役所向大概覚書》)。以後数度架け替えられているが,その美しい姿はにじのようで〈一の京観〉とされたという(《京都坊目誌》)。明治初年には廃仏毀釈のあおりをうけ擬宝珠はとりのぞかれ木造白色のペンキ塗りとなったが,1877年に旧観に復したといわれる(同)。
執筆者:樋爪 修
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