亜硫酸ナトリウム(読み)アリュウサンナトリウム

大辞林 第三版の解説

ありゅうさんナトリウム【亜硫酸ナトリウム】

二酸化硫黄と水酸化ナトリウムまたは炭酸ナトリウムとから得られる結晶。化学式 Na2SO3 パルプ用蒸解剤・皮革のタンニン溶解剤・食品漂白剤・写真用現像定着助剤として用いられる。亜硫酸ソーダ。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

亜硫酸ナトリウム
ありゅうさんなとりうむ
sodium sulfite

亜硫酸ソーダともよばれる。硫化鉱や硫黄(いおう)の燃焼によって生じた二酸化硫黄を、炭酸ナトリウムまたは水酸化ナトリウム水溶液に吸収させて製造する。最近では硫黄分の多い燃料の燃焼ガス中に含まれる二酸化硫黄を、公害防止対策として、アルカリ溶液に吸収させることが行われており、またフェノール類製造時にも副生する。37℃以下で濃縮すると七水和物(無色、単斜晶系)が結晶し、これを加熱、脱水すると無水和物(無色、六方晶系)が得られる。七水和物は不安定で、33.4℃以上で無水和物に転移する。いずれも水によく溶け、アルカリ性を呈するが、アルコールには溶けない。強い還元性を示す。合成繊維の染料の製造、チオ硫酸ナトリウムの製造原料、皮革のタンニン溶解剤、染色助剤、漂白剤、写真現像定着助剤、医薬などに用いられる。また、公害防止の回収品や副生品はパルプ用蒸解剤として大量に使用される。[鳥居泰男]

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精選版 日本国語大辞典の解説

ありゅうさん‐ナトリウム アリウサン‥【亜硫酸ナトリウム】

〘名〙 (ナトリウムはNatrium) 亜硫酸塩の一つ。化学式 Na2SO3 還元剤、漂白剤、写真現像薬、農薬などに広く用いられる。亜硫酸ソーダ。

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化学辞典 第2版の解説

亜硫酸ナトリウム
アリュウサンナトリウム
sodium sulfite

】Na2SO3(126.04).水酸化ナトリウムの濃水溶液に二酸化硫黄を通気し冷却すると,七水和物が沈殿する.この結晶を約50 ℃ に加熱すると無水物が得られる.炭酸ナトリウム水溶液と二酸化硫黄でつくった亜硫酸水素ナトリウムを,計算量の炭酸ナトリウムと反応させても得られる.工業的には,重油燃焼の排煙中の二酸化硫黄を回収して生産される.七水和物は無色の単斜晶系結晶で,密度1.56 g cm-3.風解性がある.無水物は六方晶系で,密度2.63 g cm-3.水和物より空気酸化されにくい.いずれも水に可溶性,水溶液は弱アルカリ性を示す.還元剤として,染色助剤,漂白剤,写真現像の定着助剤,ボイラー清缶剤,ビスコース安定剤などに用いられる.[CAS 7757-83-7]【】亜硫酸水素ナトリウム(sodium hydrogensulfite):NaHSO3(104.06).亜硫酸ナトリウムの製造と原理は同じであるが,二酸化硫黄を多く反応させると得られる.固体は単斜晶系で,密度1.48 g cm-3.空気中で徐々に酸化されて硫酸塩となる.水に可溶.低濃度(3×10-3 mol L-1)の水溶液中では,

HO-SO-O H-SO2-O

の平衡が存在し,このようにして生じたH-S結合がこの塩のもつ還元性の原因と考えられる.さらに高濃度(10-2 mol L-1)では,このHSO3イオンは,水素結合により二量化し,互変異性体の二亜硫酸イオンと平衡になる.

2HSO3 O2S-SO3 + H2O

市販品は2分子から1分子の水がとれたペンタオキソ二硫酸二ナトリウム(通称:二亜硫酸ナトリウム)Na2[O2S-SO3]である.この塩は水溶液にすれば亜硫酸塩と同じ性質を示すから,実用上は同じ目的に用いられる([別用語参照]ペンタオキソ二硫酸塩).還元剤,(羊毛の)漂白剤,紙の脱塩素剤,写真の現像などに用いられる.[CAS 7631-90-5]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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