江戸時代の農書。佐瀬与次右衛門(させよじえもん)の著。上中下3巻、およそ6万語に及ぶ。1684年(貞享1)刊行とされる。その当時の会津地方の農業技術、経営、行事などについてまとめたもので、水田作、畑作などについて、きわめて具体的に栽培、土壌、肥料、労力などを叙述している。本編のほかに『会津農書附録』『会津歌農書』があり、前者は、元禄(げんろく)・宝永(ほうえい)の間(1688~1711)につくられ、老農の体験に基づいて会津地方の農業気象などを記述したものである。全8巻からなるとするが、現在2巻、4巻、6巻、8巻の4巻のみ発見されている。『会津歌農書』は、宝永年間(1704~1711)につくられたもので、本編の内容を上中下3巻、1668首の歌にして、技術普及を目的としたものである。なお本書を抜粋編集した『地方歌農書(じかたうたのうしょ)』がある。
[福島要一]
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陸奥国会津郡幕内村の肝煎(きもいり)佐瀬与次右衛門が,1684年(貞享元)に著した農書。3巻。東北の寒冷降雪地帯を代表する農書。水田作,畑作,農家の屋敷構え,農家生活などについてのべ,田畑の土壌観察と分類にもとづき,会津地域に限定した農業技術を主張。与次右衛門は後年に「会津農書附録」「会津歌農書」を著して3部作とし,養子林右衛門が「会津農書」の畑作技術を深めるために「幕内農業記」を完成させた。「日本農書全集」所収。
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