伝わる(読み)ツタワル

デジタル大辞泉 「伝わる」の意味・読み・例文・類語

つたわ・る〔つたはる〕【伝わる】

[動ラ五(四)]
話などが一方から他方へ通じて広がる。情報が人から人へと知らされる。「こちらの意向先方へ―・る」「避難命令が―・る」「うわさが―・る」
昔から受け継がれて、今に至る。代々受け継がれて残る。「この地に―・る伝説」「当家に代々―・る家宝
海外など、よその土地から入って来る。伝来する。もたらされる。「ポルトガルから―・った食物」「西欧の文化が―・る」
熱・音などが、ある道すじを通って他方へ届く。「壁を―・って聞こえる音」「電流が―・る」
何かを仲だちにして、雰囲気などが感じ取られる。「緊張した空気が―・る」「気持ちの―・ってくる贈り物
物に沿って移動する。つたう。「屋根を―・って忍び込む」
[類語]通う聞こえる響く聞き取れる耳に入る耳に付く耳朶じだに触れる耳にする耳に挟む小耳に挟む耳に入れる耳に留まる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「伝わる」の意味・読み・例文・類語

つたわ・るつたはる【伝】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
  2. 他の場所や後の代に伝えられる。
    1. (イ) 物が次の代へと譲り渡されて保存される。受けつがれ引きつがれて残る。
      1. [初出の実例]「五つぎ六つぎとつたはれる帯を、かくわが代にしも失なひつること」(出典:宇津保物語(970‐999頃)忠こそ)
    2. (ロ) 次から次へと話しつがれる。後々まで語りつがれる。また、広く世間に言い知らされる。
      1. [初出の実例]「このうた、あめつちのひらけはじまりける時より、いできにけり。〈略〉しかあれども、世につたはることは」(出典:古今和歌集(905‐914)仮名序)
    3. (ハ) 知識、技術、風俗文化などが他の地域に移る。伝来する。
      1. [初出の実例]「香城を中洲に建て、玄津を神県に引け、像教東に被(ツタハル)を、斯れを盛なりと為(す)」(出典:大唐三蔵玄奘法師表啓平安初期点(850頃))
  3. 何かを手がかりにして一方から他方に移る。また、ものに沿って移動する。「熱がつたわる」「気持がつたわる」
    1. [初出の実例]「そのかみむつましう思ふ給へし同じ程の人多く失せ侍りにける世の末に、遙かなる世界よりつたはりまうで来て」(出典:源氏物語(1001‐14頃)橋姫)
    2. 「高い男は縁側を伝(ツタハ)って参り、突当りの段梯子を登って二階へ上る」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一)
  4. 代々続く。ひきつづく。
    1. [初出の実例]「かのときよりつたはりて宿守(やどもり)のやうにてある人を呼びとりてかたらふ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)松風)

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