デジタル大辞泉
「通う」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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かよ・うかよふ【通】
- 〘 自動詞 ワ行五(ハ四) 〙
- ① 二つの場所や物事の間を何回も行き来する。
- (イ) 何らかのつながりができて、ある目的で特定の場所に、いつも行き来する。男が妻や愛人のもとへ行く、通勤、通院、通学するなど種々の場合がある。
- [初出の実例]「さよばひに あり立たし よばひに あり加用婆(カヨハ)せ」(出典:古事記(712)上・歌謡)
- 「なでふことなき人の妻(め)にかよひけるに」(出典:伊勢物語(10C前)一五)
- (ロ) 鳥獣、風、雲などが、ある所を自由に行き来する。
- [初出の実例]「風雲は二つの岸に可欲倍(カヨヘ)ども吾が遠嬬(とほづま)の言そ通はぬ」(出典:万葉集(8C後)八・一五二一)
- 「さ様の所は鹿はかよふか」(出典:平家物語(13C前)九)
- ② 物事が一方から他方へとどく。ことばや手紙、気持などが先方に通じる。また、ある場所へ道が通じている。
- [初出の実例]「玉桙の 道の遠けば 間使(まづかひ)も やるよしも無み 思ほしき 言(こと)も可欲波(カヨハ)ず」(出典:万葉集(8C後)一七・三九六九)
- 「御心はかよはせ給ける御けしきなれど」(出典:大鏡(12C前)三)
- ③ ある個所から出入りする。また、血液、空気などがとまらないで流れ通る。バスなどの交通機関が定期的に行き来する。
- [初出の実例]「築地(ついひぢ)のくづれよりかよひけり」(出典:伊勢物語(10C前)五)
- 「わづかにかよひつる息もはや絶えはてぬ」(出典:高野本平家(13C前)九)
- 「小倉日記」(出典:<出典>或る)
- ④ 物事をくわしく知りさとる。物事に通じる。
- [初出の実例]「閉居して経を誦し、心廓(ほがらか)に融(カヨヒ)達(いた)る〈興福寺本訓釈 融 加与比〉」(出典:日本霊異記(810‐824)上)
- ⑤ 互いに似る。似かよう。共通する。
- [初出の実例]「夫婦(みとのまくはひ)の道は、古も今も達(カヨエル)則(のり)なり」(出典:日本書紀(720)景行四年二月(北野本訓))
- 「俤、松嶋にかよひて、又異なり」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)象潟)
- ⑥ 通じて用いる。
- (イ) 多くのものに通用する。
- [初出の実例]「春秋よろづのものにかよへる調べにて、かよはしわたしつつひき給ふ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)
- (ロ) 語の音と音とが入れ替わって通用する。五十音図中の同行、または同段で音が転換して同意の語として通用する。「恋ひし」と「恋ほし」、「さびしい」と「さみしい」の類。
- [初出の実例]「あもとは阿母と書き、阿毛とも書けり。母歟若はいもをあもとよめる歟。五音かよふ故也」(出典:袖中抄(1185‐87頃)二)
- (ハ) 漢字が同音であることによって互いに通用する。
- [初出の実例]「想夫恋といふ楽は、女、男を恋ふる故の名にはあらず。本は相府蓮、文字のかよへるなり」(出典:徒然草(1331頃)二一四)
- ⑦ 交差する。また、入りまじる。
- [初出の実例]「えだごとにつるぞ飛びかよふ」(出典:土左日記(935頃)承平五年一月九日)
かゆ・うかゆふ【通】
- 〘 自動詞 ハ行四段活用 〙 動詞「かよう(通)」の上代東国方言。
- [初出の実例]「遠江(とへたほみ)白羽(しるは)の磯と贄(にへ)の浦とあひてしあらば言も加由波(カユハ)む」(出典:万葉集(8C後)二〇・四三二四)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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