通う(読み)カヨウ

デジタル大辞泉 「通う」の意味・読み・例文・類語

かよ・う〔かよふ〕【通う】

[動ワ五(ハ四)]
一定区間を定期的に、何度も行き来する。「自転車で学校に―・う」「病院に―・う」
ある場所を自由に行き来する。「鳥も―・わぬ南海孤島
ある場所を通って流れる。また、止まらないで流れる。「電流が―・う」「血が―・う」「息が―・う」
気持ちなどが相手に伝わる。「心の―・う贈り物
道筋が通じる。また、通じている。「夏の間だけバスが―・う」「江戸へ―・う街道
似る。共通する。似かよう。「目鼻だちに―・うところがある」
精通する。通暁する。
「仏の道にさへ―・ひ給ひける御心のほど」〈・御法〉
交差する。入り交じる。
「春はやがて夏の気をもよほし、夏より既に秋は―・ひ」〈徒然・一五五〉
[可能]かよえる
[類語](1行き来する往復する通勤する通学する通院する行き帰り往来来往往還行き交い行き戻り去来通い/(3)(4とお通ずる流れる伝わる疎通する通じる通す流動する貫流する流通する流出するける・流れ下る・押し流す逆巻く渦巻く淀む水流/(6共通似る似寄る似つく似通う相通ずる類するまが類似する相似する近似する酷似する肖似しょうじするあやかる似寄り瓜二つ生き写し丸写しそっくり疑似空似もどき紛い似非えせ紛らわしいカーボンコピー

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「通う」の意味・読み・例文・類語

かよ・うかよふ【通】

  1. 〘 自動詞 ワ行五(ハ四) 〙
  2. 二つの場所や物事の間を何回も行き来する。
    1. (イ) 何らかのつながりができて、ある目的で特定の場所に、いつも行き来する。男が妻や愛人もとへ行く、通勤、通院、通学するなど種々の場合がある。
      1. [初出の実例]「さよばひに あり立たし よばひに あり加用婆(カヨハ)せ」(出典古事記(712)上・歌謡)
      2. 「なでふことなき人の妻(め)にかよひけるに」(出典:伊勢物語(10C前)一五)
    2. (ロ) 鳥獣、風、雲などが、ある所を自由に行き来する。
      1. [初出の実例]「風雲は二つの岸に可欲倍(カヨヘ)ども吾が遠嬬(とほづま)の言そ通はぬ」(出典:万葉集(8C後)八・一五二一)
      2. 「さ様の所は鹿はかよふか」(出典:平家物語(13C前)九)
  3. 物事が一方から他方へとどく。ことばや手紙、気持などが先方に通じる。また、ある場所へ道が通じている。
    1. [初出の実例]「玉桙の 道の遠けば 間使(まづかひ)も やるよしも無み 思ほしき 言(こと)も可欲波(カヨハ)ず」(出典:万葉集(8C後)一七・三九六九)
    2. 「御心はかよはせ給ける御けしきなれど」(出典:大鏡(12C前)三)
  4. ある個所から出入りする。また、血液、空気などがとまらないで流れ通る。バスなどの交通機関が定期的に行き来する。
    1. [初出の実例]「築地(ついひぢ)のくづれよりかよひけり」(出典:伊勢物語(10C前)五)
    2. 「わづかにかよひつる息もはや絶えはてぬ」(出典:高野本平家(13C前)九)
    3. 「小倉日記」(出典:<出典>或る)
  5. 物事をくわしく知りさとる。物事に通じる。
    1. [初出の実例]「閉居して経を誦し、心廓(ほがらか)に融(カヨヒ)(いた)る〈興福寺本訓釈 融 加与比〉」(出典:日本霊異記(810‐824)上)
  6. 互いに似る。似かよう。共通する。
    1. [初出の実例]「夫婦(みとのまくはひ)の道は、古も今も達(カヨエル)(のり)なり」(出典:日本書紀(720)景行四年二月(北野本訓))
    2. 「俤、松嶋にかよひて、又異なり」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)象潟)
  7. 通じて用いる。
    1. (イ) 多くのものに通用する。
      1. [初出の実例]「春秋よろづのものにかよへる調べにて、かよはしわたしつつひき給ふ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)
    2. (ロ) 語の音と音とが入れ替わって通用する。五十音図中の同行、または同段で音が転換して同意の語として通用する。「恋ひし」と「恋ほし」、「さびしい」と「さみしい」の類。
      1. [初出の実例]「あもとは阿母と書き、阿毛とも書けり。母歟若はいもをあもとよめる歟。五音かよふ故也」(出典:袖中抄(1185‐87頃)二)
    3. (ハ) 漢字が同音であることによって互いに通用する。
      1. [初出の実例]「想夫恋といふ楽は、女、男を恋ふる故の名にはあらず。本は相府蓮、文字のかよへるなり」(出典:徒然草(1331頃)二一四)
  8. 交差する。また、入りまじる。
    1. [初出の実例]「えだごとにつるぞ飛びかよふ」(出典:土左日記(935頃)承平五年一月九日)

かゆ・うかゆふ【通】

  1. 〘 自動詞 ハ行四段活用 〙 動詞「かよう(通)」の上代東国方言。
    1. [初出の実例]「遠江(とへたほみ)白羽(しるは)の磯と贄(にへ)の浦とあひてしあらば言も加由波(カユハ)む」(出典:万葉集(8C後)二〇・四三二四)

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