何れ(読み)イズレ

デジタル大辞泉 「何れ」の意味・読み・例文・類語

いず‐れ〔いづ‐〕【何れ/×孰れ】

[代]不定称の指示代名詞どれ。どちら。どっち。「―の物も名品ぞろいだ」「合否―の場合も通知します」
[副]
いろいろな過程を経たうえでの結果をいう。いずれにしても。結局。「その場はごまかせても―ばれるに決まっている」
あまり遠くない将来をいう。そのうちに。近々。「―改めて伺います」
[類語]何処どこどこそこいずこどこらどこいらどの辺どこやらいずかたどちらどっちどこか某所某地/(1結局結句つい畢竟ひっきょうとどの詰まり詰まるところ帰するところせんずるところ要するにどの道所詮しょせんどうせつまり矢張りいずれにしても挙げ句挙げ句の果ていよいよとうとうどうともどうあってもどうでもどっち道差し詰め究竟きゅうきょう果ては何と言ってもどっち道もはやとにかく何しろ何せ何分なにぶん何分にもなんにせよともかくともかくもともあれとまれとにもかくにもそれはともあれ遅かれ早かれ善かれ悪しかれすんでにほとんどすんでのことすんでの所どうにかこうにかどうにかやっとようやくなんとかかろうじてからくもやっとこさ間一髪危なくあわやすれすれようやっとどうかこうかかつがつどうやらこうやら曲がりなりにもやっとの事でまだしもまだえんやらやっとようよう危うく九死に一生を得るまあまあまあよっぽどかなりなかなかわりあいわりかたわりかし割に比較的まずまずかすかすどうやらなんとかかんとかそこそこそれなり増し次善セカンドベストベター及第無難ほどほど捨てたものではない満更まんざらでもないいまだしいま不徹底不十分及ばずながら不全不完全どうなりこうなり一応急場しのぎ当座しのぎ一時しのぎその場しのぎ/(2近日そのうちやがて近近ちかぢか近近きんきん遅かれ早かれ早晩追って何時かじきすぐ直ちに早速じきすぐにすぐさまもう間もなく程なく今に追い追い追っ付けきた日ならずして後日他日不日又の日近く遠からず上げずぼちぼち今にもそろそろ行く行く目前秒読みカウントダウン追っ掛け時間の問題ややあって今日明日すかさず間を置く時を移さずこの先日ならず

どれ【何れ】

[代]不定称の指示代名詞。
限定されたものの中から選び出すものをさす。どのこと。どのもの。「テーマ何れにしようか迷う」「何れでも好きなのを選びなさい」
不明・不特定場所をさす。どこ。
「―から―への御出ござあるぞ」〈虎清狂・禁野
不特定の人をさす。だれ。
「―ぞおともしやれ」〈洒・遊子方言
[感]
相手の呼びかけに応じるときに発する語。どら。「『この字何て読むの』『何れ、見せてごらん』」
自分行動を起こそうとするときに発する語。どら。「何れ、そろそろ出かけるとするか」
どうれ」に同じ。
「『物申ものまう』『―』」〈咄・御前男・四〉
[類語]これそれあれこのそのあのどのかの

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「何れ」の意味・読み・例文・類語

いず‐れいづ‥【何れ・孰れ】

  1. [ 1 ] 〘 代名詞詞 〙 不定称。おもに個々の事物からの選択を示す。→いずれか
    1. 多くの事物の中から一つを取り出して示す。どれ。
      1. [初出の実例]「百(もも)鳥の 来居て鳴く声 春されば 聞きのかなしも 伊豆礼(イヅレ)をか わきてしのはむ」(出典万葉集(8C後)一八・四〇八九)
      2. 「いづれの御時にか、女御更衣あまたさぶらひ給ひける中に」(出典:源氏物語(1001‐14頃)桐壺)
    2. 二つの事物のうち、一方を選んでいう。どちら。どっち。
      1. [初出の実例]「わが髪の雪と磯(いそ)べの白波といづれまされり沖つ島守」(出典:土左日記(935頃)承平五年一月二一日)
    3. わからない場所をさす。いずこ。どこ。
      1. [初出の実例]「此舟は、何れの方へ行くや」(出典:小学読本(1873)〈田中義廉〉三)
  2. [ 2 ] 〘 副詞 〙
    1. いずれにしても、の意。少し違いがあっても結局は。どのみち。どちらにせよ。
      1. [初出の実例]「『扨今のは某がまけか』『何れ御勝とは見えませぬ』」(出典:虎寛本狂言・文相撲(室町末‐近世初))
      2. 「器はいづれ新しいから、奇麗な事は百も承知で居て」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)三)
    2. ( 多く、「また」「そのうち」などの語を伴うが、現在では単独でも用いる ) そう遠くない将来において。近々。「いずれ参ります」
      1. [初出の実例]「何(イヅ)れ都合して二三日中にゃア出かけ様と思ふから」(出典:人情本・閑情末摘花(1839‐41)一)

何れの補助注記

[ 一 ]の用例でもわかるように、不定称ではあるが、結局個々の事物の中に該当するものがあるというのが元来の用法である。→いずら

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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