信楽焼(読み)シガラキヤキ

精選版 日本国語大辞典 「信楽焼」の意味・読み・例文・類語

しがらき‐やき【信楽焼】

  1. 〘 名詞 〙 滋賀県信楽地方で焼かれる陶器。起源は不明。平安末・鎌倉初期には行なわれたようだが、遺物はほとんど室町以降のもの。室町時代、茶の湯の流行とともに信楽の雑器も取り上げられ、茶器・花器なども作るようになった。白い長石粒がまじり、膚が薄柿色に焼き上がった荒い風合いが賞された。近年は、植木鉢、庭園セット、置物などが主。しがらき。〔万宝全書(1694)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「信楽焼」の意味・わかりやすい解説

信楽焼
しがらきやき

滋賀県甲賀(こうか)市信楽町を中心として焼かれる陶磁器総称。甲賀郡には上代須恵器(すえき)の窯がみつかっているが、これは信楽焼には含まない。須恵器の伝統にのって、鎌倉時代に新しい酸化炎焼成による焼き締め陶に転じた時点をもって信楽焼の成立とする。信楽焼は本来無釉(むゆう)で、純白色に近い良質の胎土を用い、高火度の酸化炎を受けて地肌赤褐色に焦げ、しかも焼成中に緑色の自然釉がとっぷりと器体にかかって景色をつくる。素地の中に長石の粒子が多く、それが器表に現れているのも特徴である。このような特色を備えた中世の信楽焼が大壺(つぼ)、甕(かめ)、擂鉢(すりばち)を主力製品とするのは、当時の地方窯の一般的なあり方であった。中世信楽焼の窖窯(あながま)形式の古窯址(し)は、南松尾、窯ヶ谷、ズン越、中井出などに散在する。

 室町後期の16世紀中葉から、信楽焼はわび茶をおこした茶人に注目されて茶道具(とくに水指、花入れ、茶碗(ちゃわん)など)を焼造するようになり、室町、桃山、江戸時代の代表的茶人の名を冠して紹鴎(じょうおう)信楽、利休信楽、新兵衛信楽、宗旦(そうたん)信楽、空中(くうちゅう)信楽などに作風が分類されている。茶具窯として大人気を博しながら、江戸中期以降は茶具作りが下火となり、作陶力の低下をきたした信楽焼は、藁灰(わらばい)による白釉、銅呈色の緑釉、鉄呈色の黒褐釉を人工施釉して、全国的に流布した日常雑器や大壺を焼く特色のない一地方窯となってしまった。

[矢部良明]

『平野敬三編『日本のやきもの5 信楽』(1976・講談社)』『平野敬三著『信楽』(1982・技報堂出版)』

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改訂新版 世界大百科事典 「信楽焼」の意味・わかりやすい解説

信楽焼 (しがらきやき)

滋賀県甲賀市の旧信楽町一帯で作られるやきものの総称。その発生の背景には須恵器(すえき)生産の伝統があるとされている。信楽焼は酸化炎焼成による無釉焼締め陶で,本格的な陶窯は平安末~鎌倉初期ごろから始められたとみられている。しかし鎌倉時代の遺例は少なく,室町以降に属するものが多い。中世の古窯址は信楽川をはさんだ丘陵地にあり,5群70基をこすとみられている。器種は壺,甕(かめ),擂鉢(すりばち)が主流で,素地(きじ)は長石粒や石英粒を多く含んだ山土を用い,明るく赤褐色に焼きあがったものが多く,肩に檜垣(縄目)文を刻んだり,自然釉のかかったものもある。室町時代末以降,〈侘茶(わびちや)〉の興隆とともにこれら焼締め陶が村田珠光ら茶匠によって注目され,茶壺,水こぼし,水指,花入など茶道具としても取り上げられた。苧桶(おおけ)を水指に転用するなど〈見立てもの〉から始まり,桃山期以降は茶匠の好みものも作られ,備前焼とともに侘道具の双璧をなした。江戸期にはしだいに施釉陶器を焼くようになり,日常雑器の生産が主流となり,現在も植木鉢,タイル,食器などを焼く大窯業地である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「信楽焼」の意味・わかりやすい解説

信楽焼
しがらきやき

滋賀県甲賀郡信楽地方で産する陶器。開窯は奈良時代。甲賀郡雲井村からこの時代の瓦が発見されている。平安時代以降はこのほか,種壺や酒壺など日常雑器を焼いた。赤褐色の焼締った地肌に暗緑色灰釉 (かいゆう) がかかった信楽焼の特色は,平安時代末期頃から現れた。室町時代末期,佗茶の流行に伴って武野紹鴎が茶器として取上げてから注目され,千利休,千宗旦,小堀遠州,本阿弥光甫,野々村仁清などが信楽の工人に意匠指導を行い,あるいはその土で各種の茶器を焼いた。信楽の窯は伊賀の丸柱や槇山の窯と近接し,桃山時代以前の作品は両者の区別がむずかしいが,伊賀焼と比べ,形が単純素朴で土のきめがあらく,重量が比較的軽く,灰釉の調子がやや黒ずんでいるなどの特色がある。江戸時代以降現在まで引続いて生産され,現在は火鉢や植木鉢などの大型の焼物も生産されている。

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百科事典マイペディア 「信楽焼」の意味・わかりやすい解説

信楽焼【しがらきやき】

滋賀県甲賀市信楽に産する陶器の総称。奈良時代より焼かれていたといわれるが,現在いわれるような特色をもつ信楽焼は平安末期からつくられ,鎌倉〜室町ごろの製品を古信楽と呼ぶ。荒土に長石粒の吹き出た地肌を特色とし,種壺・鉢などが主で〈蹲(うずくまる)〉の壺は名高い。室町以降,武野紹鴎(じょうおう),千利休ら茶人によって茶陶としてとりあげられ,紹鴎信楽,利休信楽等の名がつけられた。現在は植木鉢やタイルを多く生産している。
→関連項目北大路魯山人

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事典 日本の地域ブランド・名産品 「信楽焼」の解説

信楽焼[陶磁]
しがらきやき

近畿地方、滋賀県の地域ブランド。
滋賀県信楽町産の粘土を主要な原材料として信楽町で生産された陶磁製品。日本六古窯のうちでも最古の窯場。奈良時代、聖武天皇が紫香楽宮を造営するにあたって、信楽の土を使って瓦や什器を焼いたのが始まりといわれる。特に、室町時代や安土桃山時代には茶道具の生産が盛んとなり、多くの名品が生まれた。1975(昭和50)年9月、通商産業大臣(現・経済産業大臣)によって国の伝統的工芸品に指定。2007(平成19)年11月、特許庁の地域団体商標に登録された。商標登録番号は第5087658号。地域団体商標の権利者は、信楽陶器工業協同組合・信楽陶器卸商業協同組合。

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旺文社日本史事典 三訂版 「信楽焼」の解説

信楽焼
しがらきやき

滋賀県南部,信楽地方で産する陶器
質が粗で,赤褐色のものが多い。室町時代の茶の湯の流行で,茶道の道具を焼くようになった。

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事典 日本の地域遺産 「信楽焼」の解説

信楽焼

(滋賀県甲賀市信楽町一帯)
近江水の宝」指定の地域遺産。

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