(読み)ト

デジタル大辞泉 「兎」の意味・読み・例文・類語

と【兎】[漢字項目]

人名用漢字] [音]ト(漢) [訓]うさぎ
〈ト〉
動物の名。ウサギ。「家兎狡兎こうと脱兎野兎
月のこと。「烏兎うと玉兎
〈うさぎ〉「白兎野兎雪兎
難読兎角とかくかく

うさぎ【×兎】

ウサギ目ウサギ科の哺乳類総称ノウサギ類と、飼いウサギ原種であるアナウサギ類とに分けられる。体長40~60センチのものが多く、一般に耳が長く、前肢は短く、後肢は長い。上唇は縦に裂け、上あごの門歯は二対ある。飼いウサギの品種は多く、肉は食用毛皮は襟巻きなどにし、医学実験用・愛玩あいがん用ともする。ウサギ目にはナキウサギ科も含まれる。 冬》
[類語]野兎雪兎穴兎飼い兎アンゴラ兎

う【×兎】

ウサギ古名
「露を待つ―の毛もいかにしをるらむ月の桂の影を頼みて」〈拾遺愚草・上〉

おさぎ〔をさぎ〕【×兎】

「うさぎ」の上代東国方言。
等夜とやの野に―ねらはり(=ネラッテ)をさをさも寝なへ児故に母にころはえ」〈・三五二九〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「兎」の意味・読み・例文・類語

うさぎ【兎・兔】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ウサギ科の哺乳類の総称。また、イエウサギの呼称。耳が長く、後ろ足前足より長い。口には長いひげがあり、上唇は縦に裂けている。草食性で繁殖力が強い。アンゴラチンチラ、日本白色種などのイエウサギは、ヨーロッパ原産のアナウサギを家畜化したもの。野生のものにノウサギ、ユキウサギアマミノクロウサギなど一一属四二種がある。肉は食用に、毛は羊毛とまぜたり筆の材料にしたりする。う(兎)。おさぎ。《 季語・冬 》
    1. [初出の実例]「菟頭骨菟竅〈略〉和名宇佐岐」(出典:本草和名(918頃))
    2. 「くすしも女もうさぎの血を師子の血とまうして」(出典:法華修法一百座聞書抄(1110)六月一九日)
  3. 紋所の名。兎の形を模様にする。マムキウサギ、ミツコウリンウサギなど種々ある。
    1. 三つ尻合わせ兎@真向き兎
      三つ尻合わせ兎@真向き兎
  4. 寝すごして約束の時間に遅れる者。〔東京語辞典(1917)〕

兎の語誌

「古事記‐上」「因幡風土記逸文」には、鰐を騙す狡猾な側面と、騙した相手に報復される無力な姿とが対照的に描かれる。仏典典拠を持つ「今昔‐五・一三」には、帝釈が化した老人をもてなすために、兎が我が身を焼いて供する説話が見える。死後兎はその誠実さをたたえられ月に住むことになるが、この説話は講経談義の場においてさかんに語られ、「月の中で兎が餠をついている」という伝説はこれらを通じて流布されたらしい。


う【兎・菟】

  1. 〘 名詞 〙 「うさぎ(兎)」の古いいい方。
    1. [初出の実例]「露を待つうの毛のいかにしをるらん月の桂の影を頼みて」(出典:拾遺愚草(1216‐33頃)上)

兎の補助注記

書紀‐斉明五年三月」に「問菟、此をば塗毗宇(トヒウ)と云ふ。菟穂名、此をば宇保那(ウホナ)と云ふ」とあって、「菟」字は「ウ」と訓んでいる。


おさぎをさぎ【兎】

  1. 〘 名詞 〙 ( もとは「うさぎ(兎)」の上代東国方言か ) =うさぎ(兎)
    1. [初出の実例]「等夜(とや)の野に乎佐芸(ヲサギ)(ねら)はりをさをさも寝なへ児ゆゑに母に嘖(ころ)はえ」(出典:万葉集(8C後)一四・三五二九)

うさ【兎】

  1. 〘 名詞 〙 うさぎ。
    1. [初出の実例]「何が故ぞ、菟(ウサ)の角を生ぜざる」(出典:大般涅槃経治安四年点(1024)八)

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