兎角(読み)とかく

精選版 日本国語大辞典 「兎角」の意味・読み・例文・類語

と‐かく【兎角】

〘名〙 兎(うさぎ)の角(つの)。実在しないもののたとえ。
三教指帰(797頃)上「所以請亀毛、以為儒客、要兎角、而作主人
撰集抄(1250頃)九「とかくの弓に亀毛の矢をはげ、空化の的を射んとするにたがはず」

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デジタル大辞泉 「兎角」の意味・読み・例文・類語

と‐かく

[副](スル)
さまざまな物事を漠然とさす。何やや。いろいろ。「とかくするうちに一年が過ぎた」
ある状態になりやすいさま。または、ある傾向が強いさま。ともすれば。ややもすると。「年をとるととかく忘れっぽくなって困る」
「涙は―に止まなかった」〈小杉天外・はやり唄〉
何はさておき。何にせよ。「とかくこの世は住みにくい」
(「とかくの」の形で)あれこれよくないさま。「彼にはとかくうわさがつきまとう」
[名]種々さまざまな事柄
「先師暫く吟じて、―をのたまはず」〈去来抄・先師評〉
[補説]「兎角」「左右」とも当てて書く。
[類語](1そうこうあれこれとこうあちこちどうこう何やかや何かと何かといえば何かにつけ何くれ何くれとなくかれこれなんだかんだなんのかのどうのこうのそこここああだこうだあれやこれやとざまこうざま/(2臨時随時不時不定期折に触れて当座時には時として往往たまたまたまさか時時ときどき時折折折時たま間間折節散発間欠周期的時に時にはたまややもすればともすると得てしてなにかにつけ何かと言えば

と‐こう

[副](スル)《「とかく」の音変化》あれこれ。何やかや。「とこうするうちに日が暮れた」
「―の注意がましき事をいうなどは」〈子規・墨汁一滴〉
[補説]「兎角」「左右」とも当てて書く。
[類語]そうこうとかくあれこれあちこちどうこう何やかや何かと何かといえば何かにつけ何くれ何くれとなくかれこれなんだかんだなんのかのどうのこうのそこここああだこうだあれやこれやとざまこうざま

と‐かく【×兎角】

うさぎつの。現実に存在しないもののたとえ。「亀毛きもう兎角

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