八ツ橋煎餅(せんべい)の略。京都名物で干菓子の一種。八橋流箏曲(そうきょく)の始祖で「六段の調(しらべ)」などの段物を制定した八橋検校(けんぎょう)にちなんでつくられた菓子といわれる。八橋は1685年(貞享2)に亡くなったが、平素節倹を旨とし、流しにざるを受けて流れ米を集め、これを粉にひいて飴(あめ)を加え、堅焼きの煎餅をつくって茶の子に供した。八橋の死後、検校の徳をしのび、弟子たちはこの煎餅を琴の形につくったというが、数年後の元禄(げんろく)年間(1688~1704)には大流行し、その名も「八ツ橋」とつけられた。米粉をこねて蒸し、砂糖、蜂蜜(はちみつ)、肉桂(にっけい)粉、ケシ粒を加えて十分に練り、薄くのして短冊形に切り、鉄板で焼く。琴の形となるよう鉄の丸棒で反りをつける。肉桂の香り高く、歯当りは堅く、煎餅の割れ目に光沢のあるのが特徴である。焼き上げる前の生(なま)種は求肥(ぎゅうひ)餅のようで、これを生八ツ橋というが、生八ツ橋の場合はケシ粒を加えず、肉桂粉は肉桂のエキスにかえて使用する。また生八ツ橋で小豆(あずき)の粒餡をくるんだ生菓子もある。
[沢 史生]
出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域ブランド・名産品」事典 日本の地域ブランド・名産品について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報
…1888年5月東京千歳座初演。配役は佐野次郎左衛門を初世市川左団次,八ッ橋を中村福助(のちの5世中村歌右衛門)等。佐野八橋物の一つ。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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