八文字屋自笑(読み)ハチモンジヤジショウ

デジタル大辞泉 「八文字屋自笑」の意味・読み・例文・類語

はちもんじや‐じしょう〔‐ジセウ〕【八文字屋自笑】

[?~1745]江戸中期の浮世草子作者書肆しょし版元京都の人。本姓安藤通称、八左衛門。作者江島其磧えじまきせき、絵師西川祐信と結んで八文字屋本創始

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精選版 日本国語大辞典 「八文字屋自笑」の意味・読み・例文・類語

はちもんじや‐じしょう‥ジセウ【八文字屋自笑】

  1. 江戸中期の浮世草子作者、書肆、版元。八文字屋[ 一 ]初代。京都の人。本名未詳。通称安藤八左衛門。歌舞伎狂言本・役者評判記などを出版する一方江島其磧を代作者として「けいせい色三味線」以下の浮世草子を発表し、西鶴没後の浮世草子界の主流となった。文学史上、八文字屋本と称せられる作品群を残した。延享二年(一七四五)没。享年は八〇余歳と推定される。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「八文字屋自笑」の意味・わかりやすい解説

八文字屋自笑
はちもんじやじしょう

[生]寛文1(1661)? 京都
[没]延享2(1745).11.11. 京都
江戸時代中期の浮世草子の作者,版元。安藤氏。通称,八左衛門。京都麩屋町誓願寺下ルに正本 (しょうほん) 屋を営んだ。元禄期に入って絵入り狂言本の刊行で当て,さらに江島其磧と結び,新機軸の役者評判記『役者口三味線』 (1699) や浮世草子『傾城色三味線 (けいせいいろじゃみせん) 』の大当りによって,以後は評判記,浮世草子の当代随一の書肆としての地位を確立。しかし,作者に其磧の名を出さず作者自笑としたことから其磧が離反,一時は両者競合となったが,享保3 (1718) 年和解し,翌年から両者連名で出版をした。元文1 (36) 年其磧没後は,子の八文字屋其笑との連署で多田南嶺らの作品を出版。その刊行物には自笑の署名があるが,実際は大部分が代作で,自作はほとんどないと考えられる。

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百科事典マイペディア 「八文字屋自笑」の意味・わかりやすい解説

八文字屋自笑【はちもんじやじしょう】

書肆,浮世草子作者。姓は安藤。80歳余で没する。1688年ごろに京の書肆八文字屋八左衛門を二代目か三代目として継いだ。江島其磧(きせき)著作の刊行をきっかけに,役者評判記浮世草子の版元として隆盛。しかし,1708年以後出版物に〈作者八文字自笑〉と署名のうえ刊行して其磧と争いを起こした。以後も多田南嶺ら代作者を使いながら〈八文字屋本〉と呼ばれる浮世草子多数を残した。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「八文字屋自笑」の解説

八文字屋自笑(3代) はちもんじや-じしょう

1738-1815 江戸時代中期-後期の版元。
元文3年生まれ。八文字屋瑞笑の弟。明和3年(1766)浮世草子の版木の大半を升屋大蔵にゆずり,演劇書の出版に力をそそぐが,京都の大火で類焼し,文化8年廃業。蕪村(ぶそん)門の俳人。文化12年6月6日死去。78歳。姓は安藤。名は興邦。通称は八左衛門。別号に素玉,八文舎自笑など。

八文字屋自笑(初代) はちもんじや-じしょう

?-1745 江戸時代中期の版元,浮世草子作者。
京都の人。元禄(げんろく)はじめのころ家業の浄瑠璃(じょうるり)本屋をつぐ。江島其磧(きせき)を作者に起用し,役者評判記「役者口三味線」,浮世草子「けいせい色三味線」などを刊行し,それらは八文字屋本と称された。延享2年11月11日死去。姓は安藤。通称は八左衛門。

八文字屋自笑(2代) はちもんじや-じしょう

八文字屋瑞笑(はちもんじや-ずいしょう)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「八文字屋自笑」の意味・わかりやすい解説

八文字屋自笑
はちもんじやじしょう

八文字自笑

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世界大百科事典(旧版)内の八文字屋自笑の言及

【古今いろは評林】より

…歌舞伎で上演された《仮名手本忠臣蔵》の各役に関する芸評集。八文字屋自笑著。1785年(天明5)11月刊。…

※「八文字屋自笑」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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