公準(読み)こうじゅん(英語表記)postulate

  • 公準 postulate

翻訳|postulate

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ユークリッドは,その『原本』のなかで,現在でいう公理にあたるものを2つに区別して用いた。1つは幾何学的な内容をもつもの,すなわち,「任意の中心と距離をもつ円を書くことができる」などであって,これを公準あるいは要請と名づけた。他の1つは幾何学以外の学問でも共通に認められなければならない内容のもの,すなわち「全体は部分より大きい」などで,これを共通概念あるいは共通公理といった。

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デジタル大辞泉の解説

科学的または実践的理論にとって、基本的前提として必要とされる命題公理と同じく証明不可能ではあるが、公理のような自明性はない。要請。
数学で、ユークリッドの「幾何学原本」に表された公理のうちの幾何学公理。「線分は延長することができる」など。

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百科事典マイペディアの解説

postulateの訳語。要請とも。ユークリッドの《幾何学原本》で全く自明と思われる命題のうち,幾何学特有の以下五つを公準と呼び,より一般的なものを公理(共通概念)と呼んだ。1.任意のから任意の点に直線が引ける。2.限られた直線を延長できる。3.任意の中心と半径で円が書ける。4.直角はすべて相等しい。5.一つの直線が二つの直線に交わり,その一方の側の内角の和が2直角より小さいときは,その2直線を延長するとその側で交わる(平行線公理)。なお,現代では公準と公理を区別しないで公理とよんでいる。
→関連項目ユークリッド幾何学

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世界大百科事典 第2版の解説

ユークリッドが幾何学の体系を組み立てるときに導入したものであり,理論体系構成の基礎として,まったく自明な命題として証明なしで採用した命題のうち,幾何学特有のものを公準,または要請といい,もっと一般的なものを公理と呼んだ。しかし,現代では,公準と公理の区別をしないで公理と呼んでいる。なお,ユークリッドの《ストイケイア》における第5公準が,のちのいわゆる平行線の公理〈直線外の1点を通り,その直線に平行な直線は存在して唯一である〉である。

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大辞林 第三版の解説

要請ようせいに同じ。
一般には、証明はされないが、証明の前提として要請される基礎的な命題のこと。ユークリッド幾何学においては、幾何学的作図に関する一群の基礎命題を指す。現在では公理と同義であり、両者は区別されない。

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙
① ある論理的、実践的体系の基本的な前提として措定せざるを得ない命題。公理と同じく証明不可能ではあるが、公理が自明であるのに対し、これは仮定的である。要請。〔哲学字彙(1881)〕
② ユークリッドの「幾何学原本」で証明なしに採用された基礎命題のうちで幾何学的な内容をもつもの。要請。

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世界大百科事典内の公準の言及

【幾何学基礎論】より

…図形は直観的に認識されるものであるが,直観はしばしば客観性を欠くので,明確にいい表された定義や公理の上に,直観を排して厳正な証明によって一貫した論理体系としての幾何学を構成しようという思想である。《ストイケイア》は,まず点,直線,円などの定義definitionを述べ,続いて〈任意の2点は直線で結べる〉のような図形についての五つの基本性質を公準postulateとしてあげ,また〈同じものに等しいものは互いに相等しい〉のような量の相等についての九つの基本事項を公理axiomとしてあげる。そして,これらの定義,公準,公理より出発して順次に論理的推論によって,直観的知見を定理として導き出す。…

【幾何学基礎論】より

…図形は直観的に認識されるものであるが,直観はしばしば客観性を欠くので,明確にいい表された定義や公理の上に,直観を排して厳正な証明によって一貫した論理体系としての幾何学を構成しようという思想である。《ストイケイア》は,まず点,直線,円などの定義definitionを述べ,続いて〈任意の2点は直線で結べる〉のような図形についての五つの基本性質を公準postulateとしてあげ,また〈同じものに等しいものは互いに相等しい〉のような量の相等についての九つの基本事項を公理axiomとしてあげる。そして,これらの定義,公準,公理より出発して順次に論理的推論によって,直観的知見を定理として導き出す。…

※「公準」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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