内記(読み)ナイキ

デジタル大辞泉 「内記」の意味・読み・例文・類語

ない‐き【内記】

律令制で、中務省なかつかさしょうに属し、詔勅宣命草案を作り、叙位の文書交付や記録などを扱った官職。大・中・少各2名ずつあったが、のちに中内記は廃された。うちのしるすつかさ。→外記げき

うち‐の‐しるすつかさ【内記】

ないき(内記)

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精選版 日本国語大辞典 「内記」の意味・読み・例文・類語

ない‐き【内記】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 令制で、中務(なかつかさ)省の品官(ほんかん)。四等官のほかに置かれた官で、詔・勅の起草、位記の作成をつかさどる。多く文人・学者が選任された。令の規定では大・中・少内記各二人があるが、大同元年(八〇六)、中内記は廃された。大内記は正六位上相当、少内記は正八位(のち正七位上)相当の官。唐名、柱下・柱史。うちのしるすつかさ。〔令義解(718)〕
    1. [初出の実例]「この内記は、望むことありて、夜昼、いかで御心に入らむと思ふ頃」(出典:源氏物語(1001‐14頃)浮舟)
  3. しょじょうじしゃ(書状侍者)禅林象器箋(1741)〕 〔敕修百丈清規‐四〕

うち‐の‐しるすつかさ【内記】

  1. 〘 名詞 〙 令制において中務(なかつかさ)省に属する官。正七位上相当官。少納言局外記(げき)に対する。詔勅、位記などの文書を作成し、宮中の記録をつかさどった。ないき。〔二十巻本和名抄(934頃)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「内記」の意味・わかりやすい解説

内記 (ないき)

日本古代の律令制官職の一つ。太政官に所属する外記(げき)に対するもので,〈うちのしるすつかさ〉ともいう。大内記・中内記・少内記(定員各2)があり,中務省(なかつかさしよう)に所属し,詔書勅書の勘造,天皇の動静についての記録,位記(いき)の作成などのことをつかさどる。その相当位は大内記が正六位上,中内記が正七位上,少内記が正八位上であったが,806年(大同1)に中内記を廃止して少内記の相当位を正七位上とし,新たに内記史生(定員4)を置いた。宣命(せんみよう)による詔書や漢文の詔書をつくるのがおもな任務であったから,文筆の才があり能書の者がえらばれて任命された。《官職秘抄》(平基親撰,鎌倉時代初期になった任官についての故実書)は,大内記は紀伝道の国家試験合格者をもって任じ,少内記は紀伝道・文章道の学生をもって任ずるとしている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「内記」の意味・わかりやすい解説

内記
ないき

和訓は「うちのしるすつかさ」。唐名は柱史、柱下、起居郎など。中務(なかつかさ)省所属の官職で、職員令(しきいんりょう)によると大内記2人、中内記2人、少内記2人で、詔勅の起草や御所の記録のことをつかさどる。太政官(だいじょうかん)所属の外記(げき)に対応。官位相当は大・中・少各正(しょう)六位上・正七位上・正八位上。806年(大同1)に中内記を廃し、少内記の官位相当を中内記と同じ正七位上とし、さらに内記史生(ししょう)4人を置いた(『類聚三代格(るいじゅうさんだいきゃく)』『日本後紀』)。『西宮記(さいぐうき)』などに内記局あるいは内記所の称がみえ、一司をなしていたことが知られる。『職原抄(しょくげんしょう)』(1340成立)によると、大内記1人、少内記2人で、儒門のなかより文筆に堪える者をこれに任ずるとある。

[柳雄太郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「内記」の意味・わかりやすい解説

内記
ないき

令制における中務省の官人。『和名抄』に「うちのしるすつかさ」とある。詔勅,宣命,位記 (叙位の旨を記した辞令書) ,上奏などの作成,宮中の記録を司ったため,能文,能筆の人が選ばれた。大・中・少内記各2人がおかれたが,のち中内記は廃止された。詰所を内記所,内記局といった。

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百科事典マイペディア 「内記」の意味・わかりやすい解説

内記【ないき】

律令制下の朝廷の書記。中務(なかつかさ)省にあって詔勅(しょうちょく)の作成,宮中の記録を担当。構成員は大・中・少内記が各2名。→外記

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世界大百科事典(旧版)内の内記の言及

【内記】より

…太政官に所属する外記(げき)に対するもので,〈うちのしるすつかさ〉ともいう。大内記・中内記・少内記(定員各2)があり,中務省(なかつかさしよう)に所属し,詔書・勅書の勘造,天皇の動静についての記録,位記(いき)の作成などのことをつかさどる。その相当位は大内記が正六位上,中内記が正七位上,少内記が正八位上であったが,806年(大同1)に中内記を廃止して少内記の相当位を正七位上とし,新たに内記史生(定員4)を置いた。…

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