准三宮(読み)ジュサングウ

デジタル大辞泉 「准三宮」の意味・読み・例文・類語

じゅ‐さんぐう【准三宮】

平安時代以降、皇族大臣や功労ある公卿などを優遇するために設けた称号太皇太后宮皇太后宮皇后宮三宮に準じて、年官・年爵・封戸ふごを給したもの。のちには名誉称号となって、江戸末期まで存続准三后じゅさんごう准后じゅごう

じゅん‐さんぐう【准三宮】

じゅさんぐう(准三宮)

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精選版 日本国語大辞典 「准三宮」の意味・読み・例文・類語

じゅ‐さんぐう【准三宮】

  1. 〘 名詞 〙 平安時代以降、皇族、生母・准母・女御・外祖父など天皇の近親者、または摂政関白・太政大臣その他功労ある公卿・武官僧侶などを優遇するために、特に設けた称号。三宮、すなわち太皇太后宮、皇太后宮、皇后宮に准(じゅん)じて、年官・年爵および封戸(ふこ)を給与したもの。後世、年官・年爵・封戸が有名無実となった後も、名誉ある称号、あるいは一種の資格として、江戸時代の末まで存続した。准三后(じゅさんごう・じゅんさんごう)准后(じゅごう・じゅんごう)
    1. [初出の実例]「入道太政大臣任人賜爵准三宮、依旧不改」(出典日本紀略‐正暦元年(990)五月一三日)

じゅん‐さんぐう【准三宮】

  1. 〘 名詞 〙じゅさんぐう(准三宮)
    1. [初出の実例]「准三宮 ジュンサングウ 又云准三后(コウ)、又略云准后。三后者皇大后宮 祖母也」(出典:黒本本節用集(室町))

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改訂新版 世界大百科事典 「准三宮」の意味・わかりやすい解説

准三宮 (じゅさんぐう)

太皇太后,皇太后,皇后の三宮に准ずる待遇を与えられた人を准三宮,あるいは准后(じゆごう)という。871年(貞観13)太政大臣藤原良房が,多年功績により,三宮に准じて年官を与えられたのが初例で,以後皇族,女御,摂政,関白,大臣などに准三宮を与えられた例が多い。准三宮の待遇は,三宮と同じく,年官として掾1人,目1人,史生3人および内官1人,年爵として従五位1人を推挙する権利を賜るのが例であったが,後には年官・年爵は与えられず,一定の地位をあらわす尊称となった。とくに後宮の女性に与えられる場合には,皇后や女院となる準備段階という意味をもった。近世には准三宮追贈のことも行われ,准三宮の制は明治維新前まで存続した。
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「准三宮」の解説

准三宮
じゅさんぐう

准三后・准后(じゅごう)とも。皇族・摂関・僧侶などに,三宮(太皇太后・皇太后・皇后)に準じて年官・年爵・封戸(ふこ)などの経済的待遇を与えること,またこれを与えられた者。勅書によって与えられた。871年(貞観13)の藤原良房の例に始まり,皇族のほか摂関,天皇の外戚の例が多いが,室町時代には足利義満・同義政のように,将軍にも与えられた。ただし経済的な権益はしだいに実体をともなわなくなり,名目的なものとなった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「准三宮」の意味・わかりやすい解説

准三宮
じゅさんぐう

三宮 (太皇太后,皇太后,皇后) に准じた待遇を,皇族や臣下に与えること。貞観 13 (871) 年4月,清和天皇の外祖父太政大臣藤原良房に三宮に准じた年官年爵を与えたのを初例とする。以後しばしばその例をみるが,やがて名目的な地位を表わす称号となった。なお,三后に准じることから准三后ともいい,略して准后 (じゅごう) ともいった。

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