出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
北海道,函館市の北西部と北斗市,七飯(ななえ)町に広がる平野。亀田平野,大野平野とも呼ばれる。北は七飯町峠下を頂点とし,南は函館湾に臨むほぼ三角形の形状をなし,南東部は函館市街地が立地する陸繫砂州に連なる。平野中央部の東寄りを久根別川,西寄りを大野川が南流,両河川の間には低湿な沖積地が広がり,東部および西部には段丘や扇状地が分布する。温暖で土壌も肥沃なので,古くから米作が行われ,1685年(貞享2)に開田されたと伝えられる大野町(現,北斗市)文月(ふみづき)には〈北海道水田発祥の地〉の碑がある。江戸後期に,蝦夷地が江戸幕府の直轄地となってから新田開発がすすめられたが,水不足などにより生産性は低かった。第2次大戦後,駒ヶ岳山麓の小沼からトンネルを通して水を運ぶ大野灌排事業が行われてからは水田耕地面積が増え,近郊農業地域として飛躍的に発展した。近年はハウス栽培も盛んで,野菜の生産も増加している。
函館湾に臨む地域にはセメント,金属などの工場があり,その周辺は住宅地化も進んでいる。
執筆者:奥平 忠志
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
北海道南西部、渡島半島(おしまはんとう)南端にある平野。亀田平野、大野平野ともいう。大部分は大野川などのつくる沖積地で、七飯(ななえ)町峠下(とうげした)を頂点とする二等辺三角形をなしている。東部は段丘と洪積扇状地、西部は段丘と沖積扇状地である。北海道農業の先駆地で、北斗(ほくと)市には北海道における水田発祥の記念碑があり、果樹栽培も古くから行われた。湾岸には石油精製、セメント工業が立地する。平野の中心は函館(はこだて)市。
[瀬川秀良]
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