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分子スペクトル ぶんしスペクトル molecular spectrum

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

分子スペクトル
ぶんしスペクトル
molecular spectrum

分子のエネルギー準位間の遷移によって生じるスペクトル。分子のエネルギー準位は近似的に電子のエネルギー準位,振動のエネルギー準位,回転のエネルギー準位に分けられ,それぞれのエネルギー種別内の準位間の遷移に対応して電子スペクトル,振動スペクトル回転スペクトルが観測できる。

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デジタル大辞泉の解説

ぶんし‐スペクトル【分子スペクトル】

molecular spectrum分子放射または吸収する光のスペクトル原子スペクトルと違い、幅広いスペクトルとなる。帯スペクトル

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百科事典マイペディアの解説

分子スペクトル【ぶんしスペクトル】

帯(たい)スペクトル

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世界大百科事典 第2版の解説

ぶんしスペクトル【分子スペクトル molecular spectrum】

分子が吸収する光または放射する光のスペクトル。分子は,分子全体としての回転状態,分子内の原子の振動状態,および分子内の電子分布の状態(電子状態)の相違によって,いろいろなエネルギーをもつ。これらのエネルギーは不連続である。不連続エネルギーの間隔(エネルギー準位の間隔)は,回転状態(波数数cm-1),振動状態(波数100~4000cm-1),電子状態(波数数万cm-1)の順に大きくなっている。基底状態の分子(通常の分子)に波数1cm-1程度のマイクロ波を吸収させると,分子はエネルギーの高い回転状態に移る。

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大辞林 第三版の解説

ぶんしスペクトル【分子スペクトル】

分子が吸収または放出する光のスペクトル。線状のスペクトルが数多く密集して帯状をなす。その吸収・放出に関するエネルギー準位は、分子内の電子の状態、分子を構成する原子核の振動状態、およびそれらの重心のまわりの回転状態による。帯スペクトル。バンドスペクトル。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

分子スペクトル
ぶんしすぺくとる
molecular spectrum

二原子分子や多原子分子が吸収または放射する光のスペクトル。原子スペクトルの場合と同様に、吸収または放射される光の光子エネルギーは、遷移に関与する上と下の状態のエネルギー差に等しい。原子の場合と異なり分子ではエネルギーは三つの部分すなわち回転エネルギー振動エネルギーおよび電子エネルギーの和として表される。エネルギーの値は列記した順に後者ほど大きい。
 3種の状態エネルギーに対応して3種のスペクトルが存在する。回転状態の変化のみによるスペクトルは純回転スペクトルとよばれ、マイクロ波から遠赤外の波長領域に現れる。異なる振動状態間の遷移には同時に回転状態の変化を伴い、普通、赤外領域に系統的に並んだ多数の線からなる帯(たい)スペクトル(バンドスペクトル)を生ずる。これは振動・回転スペクトルとよばれる。電子状態の間の遷移では、振動状態・回転状態の変化が同時におこり、可視から紫外領域に規則性をもって密集して並ぶ多数の帯系からなる帯スペクトルをつくる。これは電子項スペクトルとよばれる。
 分子の回転状態はその分子に固有の回転定数と回転量子数によって決まる。回転スペクトルは、分子の回転定数を測ることによりその慣性モーメント、したがって平衡核間距離などを調べるのに役だてられる。分子の振動状態は分子の共鳴振動数・解離エネルギーなどと振動量子数で表される。多原子分子では分子軸の方向の伸縮振動のみでなく、結合角の変化する変角振動もおこる。振動スペクトルの測定は分子の対称性を調べ、分子構造を決定するのに役だてられる。分子の電子状態は分子軸方向の軌道角運動量の成分を表す量子数その他の量子数の組合せで表される。分子の電子項は原子スペクトル項と似て1Σ、2Π、3Δなどという記号で表される。ここで、Σ、Π、Δは軌道角運動量の分子軸方向の成分ΛがΛ=1,2,3,……であることを表し、左肩の数は多重度(2S+1、ただしSはスピン量子数)を表す。電子項スペクトルの研究は分子の電子状態の情報を通して化学反応の研究にも役だてられている。
 分子スペクトルは光の発光や吸収を通じて分子の種類や状態を同定するのにきわめて有用な知識であり、たとえば星間分子の研究などにも広く応用されている。
 一方、レーザーの普及によって、分子スペクトルにラマン散乱が応用されるようになった。ラマン散乱(ラマン効果)は光子の物質による一種の非弾性散乱である(インドの物理学者ラマンによって1928年に初めて観測された)。光子が物質によって散乱されるとき、大部分はエネルギーの変化を受けない弾性散乱(レイリー散乱とよばれる)であるが、一部は物質との相互作用によってエネルギーが変化した光子となって散乱される。物質にエネルギーを与えて、その分だけエネルギーが減少した光子として散乱される場合(ストークス線とよばれる)と、物質からエネルギーを受け取ってその分だけエネルギーが増加する場合(アンチストークス線とよばれる)とがおこりうる。ラマン散乱のおこりやすさ(散乱断面積)は通常の吸収断面積に比べてとても小さいので、従来は分子スペクトルの研究に応用するのは困難であった。しかし、普通の光吸収過程(電気双極子遷移とよばれる)とラマン散乱過程とでは分子の励起(れいき)に関する遷移の選択則が異なるので、ラマン散乱は分子の振動や回転の研究には通常の吸収分光法では得られない情報が得られる。レーザーのような強度の大きい光源を使い、干渉計のような高い分解能の分光器と組み合わせると、分子の振動・回転スペクトルの研究に有力な方法を提供する。[鈴木 洋]

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世界大百科事典内の分子スペクトルの言及

【光スペクトル】より

…原子や固体中のイオンの電子状態の間の遷移に対応するスペクトル線はおもに可視から紫外の領域に現れ,励起状態の間の遷移は赤外領域にも現れる。分子が放出または吸収する光のスペクトルは分子スペクトルと呼ばれ,これは,電子状態間の遷移に対応する部分,分子を形成している原子の振動状態の遷移に対応する部分(振動スペクトルという)および分子の回転状態の遷移に対応する部分(回転スペクトル)に分けて考えることができる。このうち,電子遷移に対応するスペクトル線はほとんどが紫外領域に現れ,可視領域に現れることはまれである。…

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