南牧(読み)みなみまき

改訂新版 世界大百科事典 「南牧」の意味・わかりやすい解説

南牧[村] (みなみまき)

長野県東部南佐久郡の村。人口3528(2010)。千曲川上流域に位置し,南は山梨県に接する。村域は八ヶ岳連峰の東斜面を占め,標高1000m以上の高原地帯にある。明治以後,平沢,海ノ口,矢出原などの牧場が開かれ軍馬を産したが,第2次大戦後,復員者や引揚者の入植により開拓が進み,かつての原野が一面の野菜畑に変貌し,牧場は牛の放牧地となった。冷涼な気候に適したハクサイレタスキャベツなど高原野菜の産地として知られ,全国に出荷される。農業従事者の割合は50%以上を占め,農家の所得水準も高い。村内には八ヶ岳,野辺山原,海ノ口牧場,海ノ口温泉(含食塩重曹泉,30℃),本沢(ほんざわ)温泉(含セッコウ土類硫化水素泉,60℃)などの観光地がある。国道141号線のほか,JR小海線が通り,野辺山駅は日本一標高の高い駅(1346m)として有名。八ヶ岳のキバナシャクナゲ自生地は天然記念物。
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南牧[村] (なんもく)

群馬県南西部甘楽(かんら)郡の村。人口2423(2010)。鏑(かぶら)川の支流南牧川最上流域の山地を占め,長野県と接する。総面積の8割が山林で,耕地のほとんどは傾斜畑である。江戸時代からコンニャクの栽培が行われ,明治以降,農産物の中心を占めてきた。松井田町(現,安中市)など村外への出耕作が行われている。1972年から自然休養村事業が進められ,ブドウ,クリなどの果樹園やシイタケ,茶などの栽培を中心に観光農業の振興を図っている。砥沢(とざわ)には流紋岩の岩脈があり,江戸時代は幕府御用砥の産地として知られた。1960年以降,人口流出が著しく,70-95年に人口が半減,過疎地域に指定されている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「南牧」の意味・わかりやすい解説

南牧(村)(群馬県)
なんもく

群馬県南西部、甘楽郡(かんらぐん)の長野県境にある村。県境の余地(よち)峠付近より発する南牧川が、標高1000メートル前後の山腹急斜面をほぼ東流し、下仁田(しもにた)町で西牧(さいもく)川と合流して鏑(かぶら)川となる。斜面には、削り石で築いた石垣の上にわずかな畑があり、コンニャクイモを栽培している。近年ではブドウや、キクなどの花卉(かき)栽培も行われている。シイタケなどのキノコの生産も多い。中心集落は大日向(おおひなた)で、砥沢(とざわ)は流紋石を利用した砥石(といし)の特産で古くから知られている。下仁田からバスが通ずる。面積118.83平方キロメートル、人口1611(2020)。

[村木定雄]

『『南牧村誌』(1986・南牧村)』



南牧(村)(長野県)
みなみまき

長野県東部、南佐久郡(みなみさくぐん)の村。西部は八ヶ岳(やつがたけ)の裾野(すその)で、標高1000メートルを超える高冷地山村。東部を千曲(ちくま)川が北流する。JR小海(こうみ)線、国道141号が通じる。平沢は近世佐久甲州街道の宿場。その北の平沢峠は戦国末期に甲斐(かい)の武田軍の信州への進入口であった。南部の野辺山高原(のべやまこうげん)は高原野菜の産地で知られ、牧場、ゴルフ場もあって観光客も多い。国立天文台野辺山宇宙電波観測所があり、別荘地としても開発されている。八ヶ岳キバナシャクナゲ自生地は国指定天然記念物。中心地区の海ノ口には海ノ口温泉がある。面積133.09平方キロメートル、人口3242(2020)。

[小林寛義]


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