体の免疫システムがメラニン色素をつくる細胞を誤って攻撃する自己免疫疾患。発見者の名を冠した病名で、かつては「原田氏病」とも。頭痛などの前駆症状に続き視力障害が現れることが多い。ステロイド投与で軽快するとされる。
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日本では、ベーチェット病、サルコイドーシスとともに、頻度の高いぶどう膜炎のひとつです。日本人を含め、アジア系の人種に多くみられます。色素細胞に対して免疫反応が起こることが原因と考えられ、眼だけでなく、色素細胞がある脳、皮膚、毛髪、内耳などの組織も侵されるため、ぶどう膜・
どうして色素細胞に対する免疫反応が起こるのかは、わかっていません。遺伝的素因が関係しているといわれており、白血球の血液型にあたる組織適合抗原(HLA)のなかの特定の型(DR4やDR53)が深く関わっているといわれています。
発熱、のどの痛みなどのかぜのような症状、耳鳴り、難聴、めまい、頭痛などが先に現れることもあります。時に頭皮にピリピリするなどの違和感が出てきます。眼の症状としては、まぶしい、眼の奥のほうが痛い、物が見えにくいなどが、通常、両眼に現れます。
眼底検査を行うと、
発症早期におけるステロイド薬の大量点滴投与が有効と考えられています。
ステロイド薬は大量に投与すると血栓の形成、高血圧、血糖上昇などの重い副作用が出る危険性もあるので、入院が必要です。超大量のステロイド薬を短期間に集中して投与する、いわゆるパルス療法が行われることもあります。
多くの場合、発症後2カ月くらいで回復期に入り、網膜剥離の消失に伴って視力ももどってきます。回復後、眼底は色素脱失によりいわゆる“夕焼け状眼底”と呼ばれる特徴的な状態になります。色素細胞の損傷によって、皮膚や頭髪、眉毛などの一部が白くなることもあります。眼の炎症は一度治ってから再発することもあり、注意が必要です。
治療が遅れると炎症が慢性化しやすいので、早めの眼科受診が必要です。
河本 知栄, 喜多 美穂里
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
漿液(しょうえき)性髄膜炎を伴う両眼性の急性滲出(しんしゅつ)性ぶどう膜炎をいう。ぶどう膜(虹彩(こうさい)、毛様体、脈絡膜の総称)ばかりでなく、内耳、髄膜、皮膚、毛髪などを侵す全身病でもあり、白人に少なく有色人種、とくに日本人に多い。原因としてはメラノサイトを抗原とする自己免疫説が有力で、免疫遺伝的素因の関与も大きい。両眼の急激な視力障害で発病する急性びまん性脈絡網膜炎で、その数日前から頭痛、耳鳴り、難聴、感冒様症状などを訴えることが多い。初期の網膜には強い浮腫(ふしゅ)(むくみ)、混濁が多発し、しばしば視神経炎や網膜剥離(はくり)を認めるが、3~4か月で消炎し、眼底は夕焼け空のような赤みを帯び、視力もほぼ元どおりに回復するが、経過中に頭髪・眉毛(びもう)(まゆげ)・睫毛(しょうもう)(まつげ)の脱毛や白変、皮膚の白斑(はくはん)など全身症状のみられることが多い。原田病には、脈絡膜を強く侵す原田型と、虹彩、毛様体炎を主徴とするフォークト‐小柳(こやなぎ)型とがある。後者のほうが後遺症も多く、視力低下も強くて予後が悪い。治療で重要なことは、発病のごく初期に大量のステロイド全身療法を行うことである。そのほかは、ぶどう膜炎に準じた治療が行われる。
なお、病名は発見者である原田永之助(えいのすけ)(1892―1946)にちなんだものである。
[小暮美津子]
…
[各種のぶどう膜炎]
ぶどう膜炎では,特徴的な経過あるいは特異的検査結果などを組み合わせて臨床診断がされる。日本におけるぶどう膜炎の代表は,ベーチェット病,サルコイドーシス,原田病である。 ベーチェット病は,眼症状,口腔再発性アフタ,皮膚症状,外陰潰瘍を主要症状とする全身疾患である。…
※「原田病」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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